ユースマニュアル5

「個人的な経験と知覚」

43ページ
図書館での調べ物(1-3時間)
生徒たちは4組に別れ、地元の図書館でリサーチを行いました。それぞれのグループにテーマを選んでもらいます。(生徒たちが自分たちの時間で行うか、あるいは授業時間に行う。2時間)

持続可能な暮らしのテーマ

エネルギーを作り出す
*風、アクティブ・ソーラーとパッシブ・ソーラー、地熱、極小タービン(モーター)
(訳注:太陽熱を取り込む際に動力を使って機械的に行うものをアクティブ・ソーラーと呼び、そのような要素がごく少ないかゼロであるものをパッシブ・ソーラーと呼ぶ。)
*エネルギー効率と保持技術

動きと循環
大人数を移動させる交通機関、自転車、スケートボード、歩く

食物や水などの生活必需品を集める
有機栽培の食べ物、都市での農業、完結自給型農業開発。

ゴミ処理システム
人間の糞尿を含む生ゴミのための堆肥作りシステム
リサイクル戦略、ゴミをゼロにする

庭と景観
屋根に作った庭、緑の壁、 ゼリ造園(訳注:水の節約のために工夫を凝らした造園技術)、菜園

持続可能な建築資材

リサイクルした資材、伝統的な建築資材


グループ一つにつき課題2つ。


A.学習の成果を披露するために、以下のうちの一つを用意します。ポスター、口頭でのプレゼンテーション、歌による披露、またはボードゲーム(訳注:すごろくのような紙に描いたゲーム形式の展示)

B.持続可能な住宅あるいは持続可能な学校の模型を作る。材料は自由。模型にはすべてのテーマを盛り込むこと。例えば、太陽光パネル、菜園、 わらの束を使った断熱材、雨水を集める設備があり、リサイクルした建築資材を使用し、ドアのところに誰かのスケートボードが置いてある住宅の模型など。(生徒たちが自分の時間または授業時間に行う。1時間)

課題を評価する
生徒たちが作ったプロジェクトを評価する。教師や他の生徒たちによる評価、および自己評価(1時間)

ボードゲームの例(次項)

44ページ(写真のみ)

45ページ
地域の年長者(専門家)と関わりを持つ
来賓として地域の年長者(専門家)を招いて話をしてもらいます。地域の年長者(専門家)は生徒たちに持続可能な一日の暮らしについて教えてくれます。例えば、原住民の長老や語り部は、生徒たちの住む地域で土地と海がすべての必要をまかなっていた頃の暮らしはどうであったかを教えてくれます。おばあさんは冷蔵庫を使わないで食糧を保存する技を教えてくれます。園芸家は有機栽培の技術について語ってくれます。

私たちの学校は持続可能な空間をデザインする人に依頼することにしました。デザイナーは1時間かけて生徒たちに持続可能なデザイン戦略について教えてくれました。来てくれた年長者(専門家)は、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design、エネルギーと環境デザインにおける リーダーシップ)に認可された 構造設計技師であるダイアナ・クライン氏、そして造園技師であるコーネリア・ハーン・オバーランダーOCでした。

オバーランダーOCはブリティッシュ・コロンビア州大学のCKチョイ・ビルにおいて、自分がデザインした景観を13歳の若者たちのグループに説明して歩きました。彼女たちは、専門知識を生徒たちと共有してくれただけでなく、生徒たちにとって将来の職業として建築と工学を考える前向きな見本ともなってくれました。

コーネリア・オバーランダーOCは、その芸術的、現代的、かつ持続可能なデザインで、カナダ勲章受賞者(オフィサー)となりました。(訳注:「カナダ勲章」はカナダ国民に与えられる最高の栄誉勲章であり、「オフィサー」は上から2番目。)

46ページ
持続可能な場所を訪問して調べる
持続可能な特徴で知られる場所を訪ねる遠足を準備します。訪問対象地として考えられるのは、有機農場、太陽熱発電を利用している場所、開拓者の暮らしを見せる歴史村、産業化以前の原住民の暮らしを展示している博物館などです。

当校の生徒たちはブリティッシュ・コロンビア大学のCKチョイ・ビルを訪ねました。このビルは建築家のエヴァ・マツザキ氏が率いるデザインチームによってデザインされました。私たちのツアーガイドはCKチョイ・ビルの構造技師であるリード・ジョーンズ・クリストファーソン社のダイアナ・クライン氏でした。(上は写真。)

この建物の特徴は、環境に与える影響が少ないこと、リサイクルされた建築資材、そして パッシブ冷房(訳注:電力や機械を使わずに温度を下げること)です。流しとトイレから出た水はすべて庭園内で処理されます。この繊細な仕事をするのは、コーネリア・ハーン・オバーランダーOC(写真右)がデザインした廃水処理溝に植えられた、湿地帯に育つ植物です。

それらの植物によって処理された水は1ミリリットル当たりの 大腸菌の量が10ないし50であり、飲用にも適します!私たちはトイレを訪問し、「人糞堆肥」の箱を開けました。(訳注:トイレのフタを開けた)生徒たちは匂いがしないことに驚いていました。

47ページ
トイレを観察する16歳の生徒。(写真上)
BC州大学のCKチョイ・ビルを見学する子供たち。(写真右)

48ページ
年長の生徒たちをトレーニングする(1時間)

ユースマニュアルの中の主な活動の手順をおさらいします。

(写真)「壁の街」エクササイズを指揮する年長の生徒たち

49ページ
年長の生徒たちが子供たちを指導する(3-4時間)

プログラム
第1部:年長の生徒たちと子供たちを引き合わせる
第2部:「壁の街」エクササイズ、「人生の一日」エクササイズ、「持続性とは何か」エクササイズ 
第3部:サイトマップに活動を記入する
第4部:仕上げ

以上のようなクラスを3-4回行う。各クラス1時間。

第1部:年長の生徒たちと子供たちを引き合わせます。もしも図書館でのリサーチプロジェクトを終了した生徒たちのグループが8つあれば、子供たちのグループも同じ数だけ手配します。年長の生徒たちに、彼らが担当する子供たちを紹介します。彼らは子供たちと図書館でのプロジェクトを共有します。クッキーとホットチョコレートなどの軽食や飲み物を用意します。

第2部:年長の生徒たちが「壁の街」エクササイズ、「持続可能な学校での一日」エクササイズおよび「持続の可能性とは何か」エクササイズを行います。年長の生徒たちが描画エクササイズで子供たちの手助けをします。子供たちはそれぞれ自分と友人たちが持続可能な活動にいそしんでいる様子を描きます。それから活動を取り巻く周囲の様子を描きます。

年長の生徒たちは、提案をしたり 子供たちのあいまいな想念を明確にしたりして助けます。部屋中を見て回り、テーマが描画の中に盛り込まれているかを確かめます。もしそうでない場合は、以下のようなテーマを盛り込むように促します。

  持続可能なエネルギーの選択肢
  動きと循環
  生活に必要な物を集める
  ゴミ処理システム
  菜園・庭園と景観
  エネルギー効率と保持技術

第3部:学校の見取り図を描き、活動をその地図の中に配置します。
第4部:追加レッスン:絵をもっと良くするために、色を塗って仕上げます。

年長の生徒たちは、絵を分析して短く要約した文章を添え、上記のカテゴリーに分類します。

50ページ 活動の絵
51ページ 活動の絵
52ページ 現地の地図
53ページ 現地の地図

54ページ 
第3章 持続可能なデザイン・アイディア・フェア

55ページ 準備

56ページ 準備の詳細
*年長および年少の子供たちに仕事をあてがう。(訳注:生徒たちが自分でしたい仕事を希望する)
*どの生徒にも何らかの仕事を与える:挨拶をする者、音楽を演奏するもの、部署ごとに配置した担当者。
*生徒たちが仕事の希望を出す。
*後片付けは生徒全員で行う。
*服装はあまりカジュアルでなくある程度正式なもの。
*緑化改装のための補助金を受け取るために政府の担当者を招く。そうすることで、子供たちの熱意を代弁するために保護者も招きやすくなる。
*地域の年長者(専門家)を招き、テーマに沿った挨拶をしてもらう。
*イベントの資金を援助してくるスポンサーを招く。(私たちのイベントのスポンサーはグリーン・ブリックス教育協会とバンクーバー市)
*地元の企業に寄付を募る。ドア・プライズ(訳注:入場券やくじを販売し、抽選で商品が当たるというもの。資金集めに使われる手法)、食べ物、コーヒーなどの飲み物。
*保護者や学校の役員や都市計画者を招く。

(挿絵:どうぞおいでになって開会の挨拶をしてください。。。敬具)

57ページ
持続可能なデザイン・アイディア・フェアのプログラム 全4部
第1部:体育館での正式なプレゼンテーション:35分
第2部:広いカフェテリアでカジュアルな集いをする:人々はフェアの体裁をとった会場で各部署を見て回る。一時間半。
第3部:ドア・プライズの抽選、スポンサーへの謝辞、地域の年長者(専門家)への謝辞、閉会の挨拶。10分
第4部:後片付け。

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プログラムの詳細
第1部:体育館での正式なプレゼンテーション:35分
生徒たちがプログラムを説明するための楽しくてテンポの早いプレゼンテーションを行う。
市の担当者による緑化改装のための補助金の贈呈。
生徒たちが歌を披露する。「ウォーター・ラップ(水のラップ音楽)」
開会の挨拶:コーネリア・ハーン・オバーランダーOC(訳注:カナダ勲章受賞者の肩書き)、造園技師。

第2部:広いカフェテリアでカジュアルな集いをする:人々は各部門を見て回る。科学フェアに似た様式。一時間半。
それぞれの部署に用意するもの:
  フレンドリーな担当者たち:若者たちと子供たち
  若者たちの図書館でのプロジェクトと子供たちのデザイン(模型やポスター)
 
展示器具は保護者や市や他の教師たちから借りて、生徒たちがディスプレイした。
  パスポートに押すはんこ。招待客一人一人にパスポートが渡される。
  はんこが押されたパスポートがドア・プライズのためのくじになる。

各部署:および展示器具のアイディア

動きと循環
*スケートボード、スクーター、自転車、おもちゃの列車セット、おもちゃのバス、持続可能ないろいろな公共交通機関を描いたポスター
*年少の生徒たちがスケートボードで抽選のくじを集めて回った。

持続可能な建築資材
竹でできた床材、リノリウム(訳注:天然素材から作られる建材の一種。)

エネルギー
太陽発電、太陽光パネル、ソーラー・カー
• パッシブ・ヒート(訳注:機械や動力を使わずに得る熱)
• 地熱

ゴミ処理システム
シマミミズを使った生ゴミ処理施設、台所の生ゴミで堆肥を作るのための箱


雨水を溜める樽、廃水処理のための溝(訳注:前述の湿地帯に育つ植物を使った排水処理設備)の展示

食べ物
フェアでは地元で採れたリンゴと地元で製造されたチーズが供された。地元の農場のパンフレット、カナダ農業省とBC州の有機農業組織からの情報もあり。

その他
イベントの間中、生徒たちによるライブのジャズ演奏。
市のブースでは緑化改装のための補助金に関するパンフレットの配布。
ゆっくりした自転車競走(写真)

第3部:ドア・プライズの抽選、スポンサーへの謝辞、地域の年長者(専門家)への謝辞、閉会の挨拶。10分

第4部 後片付け

59ページ ゆっくりした自転車競走
60ページ (写真のみ)

61ページ
著者について
E.スタンレー・キング
*建築学士、イギリス、レスター (Leicester) 県。(1953)
*建築学修士号(BC州大学)(1971)
*MAIBC (Member of the Architectural Institute of British Columbia)BC州建築協会会員 (引退)
*MRAIC(Member of The Royal Architectural Institute of Canada)カナダ王立建築協会会員
*コ・デザイン(一緒にデザインする)グループの創設者であり社長。建築家(現在は引退)。イギリスとカナダのモントリオールで建築家として活動。(1953ー68)
*モントリオール市に建てられた43階建てのCIBC(訳注:カナダの主要な銀行の一つ)高層ビル・プロジェクトの建築家。(1962-63)
*モントリオール万博のコンセプト・デザイナー。描画はカナダ全国および国際的に展示された。(1967)
*モントリオール市で都市デザイナーとして活動。(1962ー68)
*バンクーバー市、カルガリー市、レスブリッジ市、レッドディア市、およびアルバータ州メインストリート・コミュニティー・プログラムの中の多くのコミュニティーにおいて、都市デザインコンサルタントおよび公共プログラムコンサルタントとして活動。(1969ー現在)
*サイモン・フレーザー大学の環境教育学部(1971-76)、およびビクトリア大学の環境学部(1982-86)で教鞭を取る。
*南アルバータ州工業大学(SAIT)で建築テクノロジー学のプログラム・スーパーバイザーおよびインストラクター。(1979-92)
*コ・デザインの「都市イラスト上級編」コースを設立し、カルガリー市とビクトリア市で指導。(1981-86)
*アメリカ合衆国に基盤を置く教育支援委員会によって「本年の国際的な教授」の候補に選出される。(1989)
*SAITの最高の学究的な賞である「学究的な業績を讃えるラルフ・T・スカーフィールド賞 」を受賞。(1990)

*スタンレー・キングは都市計画への市民参加という事柄に関する国際的に認められた権威であり、著作や論文は世界各国で出版・掲載されている。また、パブリック・ダイアログ(市民対話)という手法を開発したパイオニアでもある。

*BC州大学における研究の間にコ・デザインの方法をデザイン(1968-71)。その業績はカナダ映画庁にとって取り上げられ(「恋人たちの椅子」1972)、CBCとCTV(訳注:どちらも日本のNHKに当たるようなテレビ局)で全国に放映された。

*「コ・デザイン --- デザイン参加の方法」(ヴァン・ノストランド・レインホールド社、ニューヨーク、1989)の主な著者であり、「若者たちを中央大通りへ」(アルバータ州中央大通りプログラム・マニュアル、メリンダ・コンリー編集、2000)と題する学校マニュアルの著者でもある。

スーザン・エン・チャン
*BC州大学にて理学士号 、教育学士号、教育修士号取得。
*プリンス・オブ・ウェールズ・セカンダリー・スクールにて教師。バンクーバー教育委員会所属。カナダ、BC州、バンクーバー市。(1993ー現在)
*「プリンス・オブ・ウェールズ・コミュニティー・ガーデン・グループ」のコーディネーター。生徒たちは官僚的な障害を乗り越えて菜園を始めた。バンクーバー教育委員会は、「学校での菜園を推奨するために園芸ガイドラインを修正する」という当グループからの提案を受諾した。
*コーネリア・ハーン・オバーランダーOC(訳注:カナダ勲章受賞者の肩書き)に師事。(2009年6月ー現在)
http://www.primeearth.org/projects/garden.html
*http://www.box.net/shared/2a9gyr9bzi
*「持続可能なデザイン・アイディア・フェア:世代を超えて年長者(専門家)から学ぶ」は、「グリーン・ブリックス生徒の挑戦」賞を受賞。(2009)
*http://www.box.net/shared/i03a96ksko
*http://www.sustainablebuildingcentre.com/forum-topic/%5Btitle%5D_7
*「キャモサン湿地:年長者(専門家)から学ぶプログラム」:生物学を学んでいる生徒たちが小学生に湿地帯のエコロジーを教えた。(2005-2009)
*公共交通機関の 支援運動家。署名運動を企画し、教師たちから草の根の支援を得た。メディアでの発言も行い、バンクーバー教育委員会に提案書を提出。さらにトランスリンク社(訳注:バンクーバー地域で独占的に公共交通手段を提供する半私企業)に働きかけ、すべての教師たちと10ヶ月以上継続して雇われているすべての被雇用者への定期券の支給を実現させた。(2006年5月)
* http://www.cbc.ca/canada/british-columbia/story/2007/05/08/bc-buspasses.html
*「ホット・チョコレート天文学の夜」:初等科学を学ぶ生徒たちのための星を見る集い。1996ー2002)
*犯罪科学教材「スヴェトラナ・ミロフ博士のミステリー」の著者。
*触媒会議に参加。(訳注:触媒学会の会議ではなく、各国の若者のリーダーが集う集まり。触媒のように、きっかけとなって世界を変える、という意味がある)BC州ウィスラー市。(2000)
*上記の教材を教室で使用して指導。(1997ー2009)
*同教材は他の教師によっても活用された。南バーナビー・セカンダリー・スクール(1999)。キング・ジョージ・セカンダリー・スクール(2006)。触媒会議でも紹介された。
*http://kgdragons.vsb.bc.ca/whatsnew/newsletters/vol3/3.pdf
*バンクーバー水族館海洋科学センターのナチュラリスト。(1992)
*コ・デザイン・グループ社のコ・デザイン・アーティスト。(1994ー2009)
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by ammolitering7 | 2013-01-22 13:00 | 「ユースマニュアル」


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