コ・デザイン デザイン参加の手法3

2.Co-Designワークショップ
「典型的なCo-Designのワークショップ」
この情景を思い描いてください。土曜日の朝、Co-Designのワークショップの日です。地域の人々は、大きなイベントに期待を寄せながら何週間も計画を立ててきました。レクレーション・センターであれ、公園の計画であれ、大通りの活性化計画であれ、学校の新しい施設であれ、ワークショップの主題に馬取り組もうという希望が人々の心で躍動しています。

参加者が会場にやってきて、すっかりワークショップの用意が整っている様子を目にします。地域のボランティアの人たちが挨拶をして、その日のプログラムを手渡し、脇に用意されたテーブルでコーヒーやスナックでもてなし、小さな子供たちを託児室に連れて行きます。

別のボランティアの人たちが壁に当該地域の大きな航空写真と地図を貼ります。他の人たちは壁に大きな白い紙を貼り、その前に半円状に椅子を並べ、やってくる参加者たちに着席を促します。行政府の議員たちが挨拶をして周ります。参加者たちの間に記者たちが座り、最後の準備が進んでいます。

Co-Designのアーティストたちは芯にフォームが入ったスケッチボードに製図用紙を貼り付け、色とりどりのフェルトペンを揃えて絵を描く準備を整えています。彼らの周りの壁には、あらかじめ現地周辺を視察したときに描いておいたスケッチが何枚か貼ってあります。ワークショップの始まりが告げられ、地元のギター奏者の演奏が止まります。

「ワークショップを始める」
地域の町長など、地元の有力者を司会者として招き、開会の挨拶をしてもらいます。司会者は参加者に歓迎の言葉を述べ、その日のイベントの趣旨、ワークショップで取り扱われる計画問題の状況、そして長期的な計画過程における参加者の貢献を説明します。それから司会者は、これからワークショップを指揮するCo-Designの担当者を紹介します。担当者はワークショップで行われる活動の順番を説明し、子供たちを前方に招きます。ワークショップは子供たちから始まるのです。

「壁の街」
子供たちは壁に貼った長くて白い紙の前で床に座ります。そして、自分たちなりに原野が都会へと変わっていく様子を絵に描きます。子供たちは、海に突き出した想像上の場所を訪れて想像するように促されます。Co-Designの担当者が誰もいない場所の様子を描き、子供たちは自分がそこにカヌーでやってきて水辺に小さな家を建てる様子を想像します。次に子供たちは、そこに友達もやってきて近くに家を建てて住みたいかもしれない、と告げられます。ここで子供たちは村の発展の始まりを見て、新しい村で人々が何を必要とすると思うか、と尋ねられます。店、教会、あるいはスケート場かもしれません。子供たちが思い思いの答えを叫ぶと、彼らは前へ出てクレヨンで自分のアイディアを紙に描くように促されます。10分もしないうちに、50人もの子供たちが紙の前で押し合いへしあいしながら地域で必要なものを描きます。

(写真)海に突き出した土地

(写真)「壁の街」エクササイズで友人たちが近くに家を建てている(写真:ジョン・マッケンジー)

(写真)子供たちが店を描いている様子(写真:マーガレット・キング)

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「壁の街」エクササイズは、都市が発展する中で生じる多くの人間的な特徴を微細なレベルで表面化させます。子供たちは互いを押しのけてダウンタウンのスペースを確保します。街の真ん中に無理矢理高速道路が作られます。公園が無くなると不満の大声が聞こえます。ある子供はまだ空いているところに木々に囲まれて馬が家などがある緑の島を描き、その上に何か建てようとする子供から土地を守ります。別の者は脇に立って、他の子供たちがわいわいと我先に振舞う様子を疎ましそうに眺めます。自信たっぷりの子供は紙に突進し、他の子供たちもそれに続いて都市の破滅をもたらします。また別の子供は仲間たちに「ちょっと待って。どんな街にしたいか考えなくちゃ」と発言します。そして彼らがそう言ううちにも、その後ろにいる子供たちは描き続けます。(注8)

(写真)レストラン(写真:ジョン・マッケンジー)

一歩離れて自分たちの作った街を見ると、子供たちは直ちにがっかりした顔をします。自分たちの作った街に住みたいか、と聞かれると、彼らは決まって「住みたくない!」と答えます。30分の間に子供たちは街の始まりから破滅までを見ました。そして、指導者は、私たちの環境を滅ぼすのはどこかから来た宇宙人ではなく、私たち自身なのだ、と説明します。

(写真)Co-Designの指導者が子供たちに自分のアイディアを描き加えるように促す。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)これらの子供たちは自分たちが描いた「壁の街」を見てがっかりした様子を示す(写真:ジョン・マッケンジー)

「一日の活動」
Co-Designの指導者は、新しい紙に太陽の動きを表す螺旋を描いた時間線を引き、昼と夜を表す時間を書き込みます。そして「新しい場所で、何が行われますか?午前6時には?7時には?」と尋ねます。聴衆は、自分たちの日常の生活に照らした活動を返答します。「朝寝坊」、「ジョギング」、「歩いて仕事に行く」などです。それぞれの返答が時間線の対応する場所に書き込まれます。指導者は質問を続けます。新しい場所での平日と週末、祝日や特別なイベントのある日、すべての季節での生活のすべての側面をリストアップするように促します。もしも聴衆からの返答が多すぎて担当者が正しく記録できないなら、書記を選んで返答を指導者に伝えたり、すべての返答を記録したりして、誰も見落とされないようにします。

(図)活動の時間線

(写真)参加者は現地の様子を予想して、思いつく活動を発言する。(撮影:チャック・ニズベット)

(写真)ワークショップの指導者が時間線に活動のアイディアを書き入れる。(撮影:チャック・ニズベット)

これが終わると、参加者たちは筆記係一人あたりに3人のグループに分かれて、リストアップされた活動の中からどれか一つを選ぶように促されます。それからグループごとにCo-Designのアーティストを選び、皆で軽食テーブルに行ってサンドイッチをつまみます。

(写真)活動リストの詳細。実際のワークショップで作成された活動時間線の一部。参加者の発言が多く、多岐に渡ることが見て取れる。その中で、例えば「バスが子供たちをピックアップする」、「車が止まる」などの活動が続くイメージ・ワークショップのテーマとして丸で囲まれている。(写真:ドン・ワイズ)

「現地を歩く」
次に、天気がいい場合には、グループは昼食を持って現地に赴きます。それぞれのグループは、自分たちの選んだテーマに関わりのある特質に留意しながら現地を視察します。アーティストと筆記係は、参加者たちに体の動きや行動、時間や季節、周囲にいる人数、場所の雰囲気、光、方角、眺め、音、手触り、匂いなどの観点を考慮するように促します。残すべき特徴や改良すべきこと、制約などを書き留めます。

筆記係はすべてのコメントを記録し、その地域の地図に特徴を書き込みます。会場に戻ると、それぞれのグループが壁に貼った大きな地図にコメントを書き入れます。その際、ギター奏者が静かな音楽を奏でています。椅子は5つのグループ別に配置し直されています。それぞれのグループは、Co-Designのアーティストを中心として座ります。

「話し合いの決まり」
続く話し合いの間、参加者は3つの決まりを守るように言われます。
1、自分自身の意見だけを述べる。「私たちは」ではなく、「私は」と言い、他の人のことはその人の発言にまかせる。
2、否定的な発言をしない。もしも誰かが挙げるコメントが気に入らないなら、代替案を挙げる。
3、この段階で解決策を導こうとしないこと。その代わり、すべての案を記録しておく。アイディアが自然に流れ出るにまかせること。

「イメージ図を作る」
アーティストがスケッチ・ボードの上部に活動の名称を書きます。最初はその活動を行っている人物を描き、そしてアーティストはグループの指示に従って更に人物を加えます。質問と返答を通して、参加者たちは(屋外)家具や植え込み、車、建物その他の環境要因を示唆します。そのどれもがイメージ画に加えられます。示唆されるたびに、アーティストは参加者の目を見て、イメージが正しく描かれているかを確かめます。計画、メモ、その他の描写項目はイメージ画の横に列記されます。

(写真)現地の視察。筆記係はクリップボードを持ってアーティストと参加者たちに付き添い、一緒にデザイン課題の設定条件を自分の目で見ます。(写真:チャック・ニズベット)

筆記係は絵の作成と同時進行でコメントを記録し、「体の動きと行動」、「人々」、「時間」、「雰囲気」、「景色と光」、「色」、「音」、「手触り」、「味わい」、「匂い」などの項目の下に書き込みます。相反する提案がなされたときは、速やかに解決策が出されない限り、代替案も書き込みます。

(漫画)「8時には何をしていますか?」「ご飯を食べています。」「食べる」、と書き込む。
「温かい色」「光と色」の項目に「日光、日中の光、夜にはロウソクの明かり」と書いてある。
「どんな入り口ですか?」「アーチ型の、丸みのある入り口です。」

活動のリストからイメージ画までの流れ。
A.活動リスト
B.グループが一つの活動を選んで詳しく調べる。
C.現地を視察したあと、アーティストが活動の名称を書く。
D.参加者が情景を描写する。
E.F.アーティストがグループのアイディアを絵にする。

イメージ画の線画が完成したら、アーティストはグループに色やテクスチャーを加えるように促します。最後に、参加者が自分の名前を記入します。アーティストは最後にグループに促されてからサインをします。完成した絵とそれに添える説明書きを壁に貼ります。その横には今日のプログラムの最後の項目である採点評価のための用紙を貼ります。

「優先順位を決めるための投票」

参加者は軽食を手に会場を歩きまわり、たくさん貼り出された絵を見ていきます。彼らは互いにそれぞれの絵の特別な特徴を説明し、、アイディアの意味について議論します。

アーティストが絵の横に立って、採点方法に関する質問に答えます。参加者たちは、時間線の上の自分たちがテーマに選んだ項目を丸で囲みます。それから絵に添えられた評価表に、それぞれのイメージについて4段階の評価を行います。

1、すばらしい。ぜひ実現したい。
2、もっとデザインに工夫が必要だ。
3、費用がかかりすぎる。
4、ここには向かない。

評価の要点を強調するためにコメントを加えます。項目の横にたくさんの印がつけられるので、人気のあるアイディアはすぐに分かります。

(挿絵)情景ができあがっていく。

(写真)イメージ・ワークショップは多くの人々を結びつける。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)公共デザインはすべての人を引き入れる。Co-Designのアーティストが子供のアイディアを絵に描き、彼をグループの議論に参加させる。(写真:ジョン・マッケンジー)

(写真)アーティストが熱心なグループのために2枚目の絵を描き始める。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)参加者がアーティストを手伝っている。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)子供たちの中には自分で絵を描きたがる者もいる。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)参加者たちが自分たちが作り出した絵を評価して採点する。(写真:ドン・ワイズ)

「ワークショップを終える」
地域の代表者がプログラムの次の段階を説明してワークショップを終える。この後は、市民全体が見て採点できるように絵を展示され、都市計画者、デザイナー、そして行政府に報告書が提出されます。ボランティアたちが絵とコメント表を集め、地図と活動リスト図を丸め、会場を片付けます。

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(写真)アーティストたちと地域住人たちがアイディアを集めて構想プランに練り上げる。

「アイディアを有効化する ー 構想デザイン最終仕上げの討論」
Co-Designの中心的なアーティストたちがワークショップの後日に集まり、アイディアを持ち寄ります。都市計画専門家と一緒に社会計画、交通、経済などの事柄について議論します。地域の計画委員会も出席します。

アイディアを視覚化するセッションの結果は現地を何度も視察して議論を行いながら解析されます。Co-Designのアーティストは、イメージと言葉を相応のデザイン用語に翻訳します。例えば、ワークショップの参加者が静かに会話を交わせる場所を望んだ場合、これは音響状態を意味し、交通の騒音を無くしたり抑えたりする必要性を意味します。日光があるほうがいい、という希望があれば、それは南側の建物の高さを制限する必要性を意味します。活動に参加する人々の推定数は、必要とされる広さを示しています。徐々に、ワークショップの優先的なアイディアは「デザイン部品」へと発展します。それから部品は図案構想デザインへと組み合わされ、大きな設計図が描かれます。イメージとして表現されたそれぞれの優先項目が構想計画内に番号で示されます。

(写真)ワークショップで作成された絵と、それに基づいて作られた構想計画が市役所のロビーに展示されている。(写真:ジョン・ハート)

「一般展示」
絵、説明書き、構想デザインが一般展示で公表されている。その後2~3週間、展示物は地域の会合などで順次展示される。計画委員会が募集したボランティアがすべてのコメントを書きとめる。

「報告書」
報告書にまとめられたワークショップ・プログラム全体の結果は地域のアイディアを記録しています。報告書は、アイディアを現実に翻訳する意思決定者、開発会社、都市計画者、都市デザイナー、および建築家のための参照資料となります。

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3.組織化の原則
「Co-Designのワークショップの性質」
建築の専門家と都市計画者に自分たちが何を欲しているかを述べることによって、住人たちは創造性、地域精神そして政治的な影響力の驚くべき潜在力を発揮した。(注9)(リン・ニューマン・マクドウェル)

参加者たちは、しばしばCo-Designのワークショップに参加した何年も後で私たちに自分たちの経験について語ります。彼らは、結果としてできた建造物に誇りの感覚を感じ、「私はこれを作るのに関わったのだ」と言うことができます。疎外はありません。彼らはその場所を自分たち自身のものとして捉えます。これらの場所では生命力があふれます。それを使う人々によってデザインされたからです。

注目に値するような建造物が結果としてできます。アーサー・エリックソンによってデザインされたバンクーバーのロブソン広場と、その近くにある、バンクーバーの建築家チームと都市および造園デザイナーたちによってデザインされたフォールス・クリーク住宅団地は、すばらしい例です。これらについては後で詳しく述べます。

建築的な担当者として活動するCo-Designのアーティストたちにとっては、それは気分が高揚するような経験です。いったんそれを経験すると、他のすべての建築デザインの過程は不十分で、使用者が提供することができる必要不可欠な要素に欠けています。住人との話し合いはデザイナーの能力を引き延ばします。伝統的な方法だけよりももっと優れたデザイン能力が必要とされるからです。そして最後には、建築的な教育におけるデザインの非常な集中の甲斐のある課題を提供します。デザイナーの熱望のすべてを吸収するに十分な範囲を伴って。多量の情報を交換する中で、幅広いデザイン能力を振るう機会が生じます。計画、都市デザインそして造園建築のデザイン能力すべてが適用されます。

どのような人間の環境の改良でも、使用者によるデザイン参加に適しています。Co-Designのプロジェクトは、大きな都市空間から小さなレストランまで、大自然からとても小さな公園まで、様々です。環境の種類は住宅地、商業地域、教育的、レクレーション、宗教的、そして公共の用途まで含みます。すべてのワークショップの性質は、同じ基本的な形を持っています。

(写真)バンクーバーのロブソン広場。建築家:アーサー・エリックソン(写真:スタンレー・キング)

(挿絵)ワークショップ・プログラムの段取り
   活動を列記する
   現地視察
   アイディアを視覚化する
   優先課題を採点する
   構想デザインを作成する
   地域で展示する
   目的を達成するための方法について報告する

「Co-Designプログラムの段取り」

これらの7つの基本的なCo-Designワークショップの段取りは、住人の環境の改良のデザインのために参加者のアイディアを集めるにあたって指針となります。

1.当該現場が正しくデザインされた場合に行われるであろう活動を列記する
2.その特質を理解するために現地を視察する
3.それぞれの活動のための適切な環境のためのアイディアを視覚化して描写する。これらは「パーツ(部品)」と呼ばれる。
4.パーツの優先事項を採点する
5.パーツを組み合わせ、構想デザインにする
6.構想デザインを地域で展示し、さらなる意見を求める
7.目的を達成するための方法を議論するために、構想デザインを報告書にまとめる

様々に異なる市民が参加する場合、別個にワークショップを開いてアイディアを視覚化して構想デザインに貢献するのも良いでしょう。典型的には、子供のためのワークショップ、ボランティアのためのワークショップ、そして一般市民のためという3つが開かれます。商店主たちは朝食会を兼ねたワークショップに出席して、それから店に戻るのが都合が良い場合が多いようです。

「コ・デザインのワークショップにおいて考慮される場所」
街中や広場などのコ・デザインのワークショップで考慮の対象となる場所は、歩いて見て回るのに適している場合がほとんどです。参加者たちが見て回りたい活動の場所は大抵1マイル四方にあります。その活動のほどんどは歩行者を想定しています。例外としては、自転車や乗馬のための専用道路、ボートやクロスカントリースキーのルートをデザインする場合などがあります。

「コ・デザインのワークショップ・プログラムを行う時期」
コ・デザインのワークショップは、デザインの早い段階で行われます。該当地域を改良するという提案がなされてからコンセプトがデザインされる間のことです。専門的な用語で言えば、コ・デザインはプログラミングとコンセプト・デザインを繋ぐ役割をします。

この段階では、個人またはグループでアイディアを構築します。プランニングや建設委員会、地域の委員会、市の建設課、公園課、市民グループなどです。

一般に彼らの仕事はアイディアが実現可能であるかどうかを調べてコンセプトを構築することです。細かく言えば、プロジェクトに関心を集めること、対抗するグループ同士から寄せられる関心をコントロールすること、プロのデザイナーに指示を与えること、資金繰りをすること、共同体と市の必要性に合ったコンセプトを構築することなどです。コ・デザインのワークショップを開くことについて議論が行われるのはこの時期にあたります。
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by ammolitering7 | 2013-01-22 15:00 | 「コ・デザインの手法」


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