第3章ー2 (イラスト込み)

6-3 高齢者
(第1段落)高齢者の中には、「若者たちのいいようにさせたらいい。私たちの時代は終わった」と言って参加を渋る人たちがいます。彼らは往々にして、現地の歴史や過去の様子や問題について語ることのほうを好み、そうすることで大きな役割を果たすことができます。高齢者の語ることはこれから起こる変化を歴史的な継続性に基づいたものにする助けとなるほか、過去に現地で改善に向けて働いた多くの住民たちに対し、コミュニティーとしての尊敬の念を強めることができます。

(第2段落)グループでの話し合いの中で、高齢者たちはしばしば若者たちへの親近感を見せ、彼らのアイディアを喜んで受け入れます。そして若者たちもまた、高齢者の経験に喜びと驚きをもって耳を傾けます。普通は若者と高齢者は互いに大いに楽しみながら参加します。しかし、一部の高齢者は、若者たちのエネルギーに当惑し、彼らがいることに怒りのこもった抵抗感さえ示します。若者たちがいることで、会合が正式なものではなく、議論も取るに足らないと感じるのです。そのため、イベントを組織する段階で、この会合には若者たちも参加するということを知らせておく必要があります。

(第3段落)社交的なイベントとして計画されているこのワークショップでは、高齢者のために特別な手配がされています。それは無料の軽食です。これは往々にして高齢者を惹き付けるための重要な要素になります。さらに、現地の歴史について語ることを希望する高齢者のためには、ボランティアの書記を用意します。明確な発言のできる高齢者が希望する環境について語るときは、特に注意深く記録します。それは普通、黄金とも言うべき知恵の言葉です。長い経験と人生に対する深い理解に基づき、誰に対して偉ぶるでもなく語られるからです。それは特に強調するでもなく小さな声で語られることが多く、繰り返して語ってもらえない場合もあります。したがって、書記は注意して聞き、必要であればよく聞き取れるように他の人たちの議論を静めます。

6-4 政治家と都市計画者
コ・デザインのワークショップでは、政治家は現地を市民と共に楽しんで利用するコミュニティーの一員として受け入れられます。彼らは明確な発言ができ、各地に旅行した経験も豊富である場合が多いので、すばらしい参加者になります。彼らにとっても個人的な好みを語る機会が得られ、喜ばれます。政治家の存在はコミュニティーと政府の間の結びつきを強め、政府がコミュニティーのアイディアを認識するような雰囲気を作ります。

同様に、都市計画者の存在は、ワークショップに続く実践的な計画に関する議論への継続性を作ります。都市計画者は、コミュニティーが目的を達成するのに必要なデータを提供します。そして、コ・デザイナー(特別にコ・デザインの訓練を受けたアーティストたち)は、コミュニティーのために自分たちの才能を共有し、自らの表現能力を高めます。

6-5 メディア
(第1段落)コ・デザインのワークショップは新聞やテレビその他のメディアによって好意的に取り上げられます。市民、特に子供たちが建築家と一緒に絵を描くということは、ニュースにする価値のある事柄です。さらに、ワークショップはしばしば政治的な議論のある中で行われます。

(第2段落)アーティストが人々のアイディアを目に見える形にして描いているところは、テレビにとって格好の主題になります。ボランティアによるワークショップが放映されると、それは後に続く市民ワークショップにとって格好の宣伝になります。

(第3段落)ジャーナリストも参加者として加わって対話の一部として記者会見を行うと、一般への周知に役立ち、最高のデザイン材料を作り出すことにもなります。ジャーナリストたちは描写能力に優れており、公けのイベントを報じてきた経験から公共の場所の性質について深く知っているからです。

6-6 開発者にとっての利点
(第1段落)開発者たちがコ・デザインのワークショップを主催する場合もあります。これは経済的な理由によります。コ・デザインを行うのにかかる費用は、開発案のイラストができる、そしてそこで営まれる暮らしのイラストができる、ということで正当化されます。

そのようなイラストは、開発者が政府の都市計画責任者や近隣の住民や将来的な投資家や賃貸人にデザイン提案をするときに役立ちます。初期の段階で市民を交えることは、開発アイディアのための市場を、多額の投資をして資材を確保する必要が生じる前の段階でテストすることになります。

(第2段落)開発プロセスの初期における市民対話によって、デザイン要素に対する反対意見を早期に発見して、時間の余裕をもってそれらに対処することが可能になります。反対する開発の要素に変更を加え、それをデザインの長所として取り込むこともできるので有益です。

市民対話によって調和と意見の一致が可能になります。それがなければ反対する市民の声は硬直した立場になることを余儀なくされます。そして、市民による反対運動が非常に高くつくことは、開発者なら皆よく知っています。

(第3段落)コミュニティーにデザインへの助言を求めることで、開発者はもっと実質的なことでも利益を得ます。例えば、参加者の中には引退したエンジニアや経験豊富な管理職の人々もいるかもしれません。そのような参加者たちは、地元に関する知識に基づいた確固たるアイディアを喜んで提供してくれるものです。

開発者たちは、普通なら高いコンサルタント料金を払わねば得られないこうした広い経験を無料で得られます。先立つものが不足しているとき、これは多大な利点です。このようにして貢献を依頼された参加者たちは、提案や開発計画や開発者を自分のものと感じるようになります。

コミュニティーが開発によって利益を受けることが分かると、「彼ら」が「私たち」となります。そして、計画が受け入れられることが確実になります。

7、組織化の段階
組織化には、大きく分けて4つの段階があります。

(1)準備
(2)ボランティアを集める
(3)ボランティアによるワークショップ
(4)市民ワークショップ(子供ワークショップ、早朝ワークショップ、イメージ作りを含む)

7-1 準備
コ・デザインのワークショップを開催するための議論は、およそ3ヶ月前に始まります。中心委員会と関心のある住民が出席する最初の会議でコ・デザインが準備とプロセスについて話し、ワークショップの段取りを説明し、過去のワークショップの例とその結果を紹介します。

生徒が参加する「壁の町」エクササイズについて、学校の担当者への説明も行われます。こうしたプロジェクトの詳細は契約書の中で説明されていますが、内容はケースによって大いに幅があります。通常、ワークショップの料金はこれらすべての段階を含む均一料金です(準備、ワークショップ、展示、レポート)。

しかし、中心委員会がボランティアの役割を果たしてワークショップの組織化を行うなら、割引料金が適用されます。ワークショップの組織化そのものに委員会を招き入れることによって、皆でワークショップを行うという感覚がさらに強まります。

7-2 ボランティアを集める
(第1段落)ワークショップのおよそ6週間前、中心委員会がワークショップの組織化に責任を持つ少人数のボランティアグループを作ります。このグループは中核グループと呼ばれ、強いチームワークでワークショップを可能にします。

(第2段落)コ・デザインの代表者は、コミュニティーの中核グループのメンバーと頻繁に顔を合わせます。最初の頃の会議では、ワークショップの目的は何か、ボランティアの役割は何か、ボランティアはどういう段取りで行動するのか、組織するにはだいたいどれくらいの時間がかかるのか、などの疑問に答えます。

(第3段落)中核グループの役割は2つあります。
(1)ワークショップをコミュニティーのイベントにすること
(2)ワークショップにできるだけたくさんの人を集めること

40人~100人分の参加者の助けを必要とする多数の小さな仕事が明確化されます。ワークショップの準備にたくさんの人が関わると、これらの人々が実際のイベントに参加する可能性が高まります。

(第4段落)中核グループは、最初に最大60人のボランティアを集める必要があります。これが不可能だと考える人もいます。「ボランティアをしようという人を60人もどうやって集めたらいいのか?委員会の会議に出る人を集めるのだって難しいのに!?」しかし、これは案外簡単に実現できます。

(第5段落)まず、コ・デザインとの準備会議に出席する中核グループのメンバーは、ワークショップで使われる市民参加のプロセスについてよく理解している場合が多く、ボランティアを集めるのに長けています。

ボランティア候補者に打診するにあたっては、参加したくなければ断ってもよい、ということを分かってもらうことが大切です。また、他にもその仕事ができる人はたくさんいること、参加したいなら仕事が一つある、ということを知らせます。

コミュニティーで既に積極的にボランティア活動をしている人は、他の人々にその役割を譲るために辞退するかもしれません。それでも彼らは通常、このイベントに大きな関心を寄せ、成功すると安心するものです。

(第6段落)ボランティアを集めるときの要点は、あまり煩わしくない仕事、誰にとっても楽しい仕事、というものです。次に挙げるボランティアのリストは、およそ40人の参加が見込まれるワークショップのものです。それぞれの役割を果たすために必要なボランティアの人数(合計40人)は括弧の中に記されています。
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(図)ボランティア構成:
中心委員会組織委員会
進行係アーティスト
コ・デザイン
広告チーム電話チーム受付司会者 カメラマン書記軽食担当者
音楽担当者レポート作成チーム準備・後片付けチーム

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A、組織委員会イベントを計画し、レポートの作成を監督する(4~5名)
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B、広告チームポスターを作って掲示する(4~5名)
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C、準備・後片付けチーム壁に紙を貼り、あとで絵を丸めてラベルをつける。椅子を並べる。受付のテーブルを用意する。イベントの後で会場を片付ける。(4~5名)
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D、電話チームすべてのグループとコミュニケーションを取り、全員にワークショップへの参加を忘れないように連絡する。(4~5名)
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E、受付参加者を迎える。資料を手渡す。遅れてきた人たちを会場に案内する。(2名)
(イラスト)「本日、コ・デザインのワークショップを開催」
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F、司会者ワークショップの開会、目的の説明、コ・デザインの進行係を紹介する。ワークショップの閉会(1名)
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G、ワークショップ進行係タイムラインにすべての活動を記入し、アーティストを紹介する(コ・デザイン)
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H、書記現地の視察でグループに同行し、発言を記録する。また、現地の様子を描写する少人数のグループでの話し合いをリードし、参加者がアーティストに描画の指示をする間、絵では表せない知覚的な発言を記録する。(10名以上。参加予想人数の4分の1)
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I、アーティスト参加者の指示に従って活動の様子を描写する。(コ・デザインのアーティスト、参加者4人に対し1人)
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J、軽食担当飲食物の購入、並べる準備、ドリンクの用意(4~5名)
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K、音楽担当ギター、フルート、ハープなどで緩やかな音楽を演奏して議論の流れを和やかにし、デザインワークショップに穏やかなBGMを作り出す。ミュージシャンの手配ができない場合は、静かでリズミカルな音楽を録音したもので代用する。(1名)
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L、カメラマンイベントの様子や、ワークショップで作られたデザイン画や表をレポートのために記録する。(2名)
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M、レポートチームレポートを書いてまとめる。(4~5名)

書記、軽食担当者、音楽係、カメラマンなどは本番のワークショップの間は仕事で忙しくしているので、通常一週間前に行われるボランティアのためのワークショップに招いて参加してもらいます。

7-3 ボランティア・ワークショップ
(第1段落)ボランティア・ワークショップは、典型的なワークショップを予行する形で行われます。これによってボランティアは自分のデザイン・アイディアを表すことができます。(本番のときには時間がないため。)また、これによって市民ワークショップ当日の流れを知ることができます。

(第2段落)3時間のセッションの間、コ・デザインのアーティストを補助する地元のアーティストたちは、それぞれに描画を練習します。その後、イメージ・ワークショップの間、アシスタント・アーティストはコ・デザインのアーティストが大まかに描いた絵を完成させます。

(第3段落)コ・デザインのアーティストは、地元のアーティストと書記を含むボランティアグループと一緒に、アイディアを視覚化するためのセッションを行います。コミュニティーのアーティストらは、これによってグループ・ディスカッションの流れや描画、描画に必要なメモの取りかたなどを実地に経験します。

それぞれのグループの絵が完成したら、コ・デザインのアーティストと書記はコミュニティーの人々と交代します。別のドローイング・ボード(フォームのついた厚みのある画用紙)を使って地元のアーティストと書記がコ・デザインのプロセスを練習し、参加者たちが絵と文章の作成を指示していきます。

大勢の人々の前で絵を描くことに尻込みする人もいますが、それを楽しむ人々もいます。練習を重ね続けることによって、人々に作画能力を試されているという感覚は消えていきます。

(第4段落)セッションはとても心楽しいものです。ボランティアたちは自分のアイディアを発言する機会を得るし、市民ワークショップへの期待が高まってきます。そして自分たちのアイディアがすべて市民の声の一部として本番のイベントで展示されることにもわくわくしてきます。

7-4 市民ワークショップ
本番のイベントは大きなホールや体育館などの場所で開きます。窓やドアのない壁が少なくとも一面あること、40人以上が座れるように椅子を並べる広さがあること、アクティビティーに必要な明るさがあること、軽い飲食のための設備があること、が条件です。

コミュニティーの中での位置づけも大切です。地元の学校の体育館、教会の地下室、公民館などが向いています。そのような場所がないときは、テントを立ててワークショップを開く場合もあります。

7-4-1 イメージ作りのための参加を促す
参加者は4人ずつ半円状に詰めて座り、アーティストが一人ついて絵を描きます。アーティストは、参加者からの提案に応じて絵を描き加えていき、デザイン作りを行います。参加者と軽く目を合わせ、人々が提案に同意しているか、そして作画が参加者の意向に沿って進んでいるかを確認します。4人より大きなグループだと、素早く目を合わせることが難しくなります。
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(イラスト)ワークショップのための典型的な会場の間取り:
*子供たちのための作画エリア
*ステージ
*ミュージシャン
*作画タイムのときに子供たちが描いた絵の展示
*アーティストと書記のトレーニングの際に描かれた絵の展示
*アーティストと書記、および4~5人の参加者、「デザイン・タイム」のステージ用
*軽食エリア
*受付
*入り口(1つ)
*案内エリア
*PEP図、3つの決まり、現地見取り図、現地写真、スケッチなどを大きく展示
*タイムライン上のリストのための長くて白い紙
*進行係
*開会時および活動をタイムラインに記入する時に使う椅子を並べる

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(写真)実際的な理由により、グループの最大人数は参加者4人およびアーティスト1人に留める。この写真のような大きなグループだと、どうしても1人や2人の視界が遮られ、積極的な参加が難しくなる。(写真提供:SAIT電子メディアサービス)
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by ammolitering7 | 2013-06-21 07:48 | 「コ・デザインの手法」


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