第3章ー3 (イラスト込み)

7-4-2 市民ワークショップのスケジュール
普通は、コミュニティーで他に大きなイベントのない土曜日に行います。午前遅くから夕方くらいまでです。詳しいスケジュールは以下のようなものです。

9:30-10:00AM  ボランティアが到着し、会場と託児エリアを整える
10:30  参加者が到着する。資料を受け取り、コーヒーやクッキーなどをつまむ
10:45  司会者が開会の挨拶をする
11:00  コ・デザインの担当者が子供たちを対象にして「壁の町」エクササイズを行う
11:30  タイムラインに一日の活動を記入し始める
正午  現地視察と戸外での昼食(悪天候の場合は現地視察の後で会場に戻って昼食を食べて温まる。)
1:00PM  現地視察から戻って参加者の発言を書き出す
1:15  イメージ作りを開始する。ミュージシャンが演奏を始める
3:15  優先順位を決めるための投票を行う
4:00  司会者が閉会の挨拶をする。同時にコンセプト・デザインのための集中作業スケジュールと展示会のスケジュールを発表する。
4:15  後片付け担当のボランティア・グループが絵を回収し、会場を片付ける

7-5 ワークショップに必要なもの

およそ40名が参加するワークショップに必要なものは以下の通りです。

(紙) 幅48インチ(1.2メートル)長さ200フィート(60メートル)のものを1巻き。(新聞用紙よりも厚みがあること。)
18インチ(46センチ)x24インチ(60センチ)のベラム紙(上質紙)50枚
または36インチ(90センチ)x180フィート(55メートル)のベラム紙1巻き。

(フェルトペン)
 黒のフェルトペン15本、先細タイプ。
色付きフェルトペン10セット、先が平らになったタイプ。

(鉛筆) 柔らかい消しゴムがついたHBの鉛筆 1ダース

(マニラフォルダー) レターサイズ(21.59 × 27.94 センチ )のファイルフォルダー20個

(テープ) 4分の3インチ幅(2センチ弱)のマスキングテープ2巻き

(スチレンボード) 市民ワークショップ用 19インチ(48センチ)x 24インチ(60センチ) 20枚
子供ワークショップ用 同10枚
ワークショップのタイトルと写真用 同10枚

(写真) カラースライドフィルム 36枚撮り 4本

(案内用紙) 人々を会場に導くための張り紙

(見取り図)
 大縮尺の見取り図を壁に貼る。

(アセテート) 30インチ(76センチ)幅1巻き。絵を覆って保護するのに使う。

(資料) 組織委員会とコ・デザインが資料を用意する。参加者を歓迎する言葉、計画の内容の説明、その日のプログラムと将来の計画イベントを盛り込む。

8、 話し合いの決まり
とても大切な3つの決まりごとがあります。これによって参加者の間に共通の理解のための枠組みができ、ワークショップが滑らかに進行するようになります。

8-1 「私たち」ではなく、「私」と言う
(第1段落)代理人は誰もいません。自分についてだけ語り、他の人のことは他の人に語らせます。直接的な経験と個人的な反応に焦点を当てることによって、人々が自分の利害のために巧みに言葉を操りあうような事態を避けることができます。

つまり、ある人が他の人たちの意見を代表していると主張して議論を支配する危険を減らすことになります。ある人が他の誰かの意見を正確に代弁することはできません。そのため参加者たちに、自分自身の経験に基づいて自分自身の望みを自ら語るように頼みます。

他の人たちがどう感じているかを第三者が推測するということがないので、対話はもっと直接的で正確で正直なものになります。

(第2段落)この決まりを守ることで、参加者は自分の個人的で私的な意見が尊重されたという厚遇の感覚を得ることができます。これは彼らの個人的な権威の感覚を強めます。

特に子供にとっては、自分の意見には価値があると感じて成長するために、これは非常に大切です。
自分の意見は当然軽んじられるだろうと思っている人々についても同様です。こうすることで、彼らは権威者が自分の言うことを認めるかどうかとびくびくする必要がなくなります。

(第3段落)「コミュニティー全体に対して何か立派な意見を言うことを求められている、何か都市計画者らしいことを言わなければ」と感じて意見が出せなくなってしまう人々もいます。その場合には、「あなた自身は何を望みますか?」と尋ねることで、議論の流れを自由にすることができます。
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(写真)参考資料があると便利。この場合は現地の地図と写真。(撮影:スティーブン・ヘイワード)
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(イラスト)話し合いの決まり:
A、「私たち」ではなく「私」と言う
B、解決策を見出そうとしない
C、他の人のアイディアを批判しない


8-2 デザインの解決策を決めようとしないこと
(第1段落)デザインが生み出す効果についてのみ語り、解決策を決めるのは後回しにします。「解決策」とは、すべてのアイディアをコンセプトにまとめることを意味します。この時点では、それらは互いに無関係なパーツに過ぎず、大いに異なってさえいますが、それぞれが独自の状況において価値あるものです。

(第2段落)形成的な段階では、すべての可能性が考慮されます。そして、自由にアイディアを考えることが奨励されます。ワークショップはインスピレーションを得て視覚化する段階に当たるため、デザインの解決策を決めようとせず、すべてのアイディアが有効であることを確認し、アイディアの流れを奨励します。

(第3段落)こうすることで、コミュニティーの人々が後で取捨選択をするときの幅が広がります。これは創造性の二次的な段階に先行する一次的な段階なのです。デザイン作りに向けての再考、編集、コストの削減は次の段階でなされます。この第二段階は投票の後で行われ、コミュニティーの人々が投票したアイディアを優先度の高いものから取り入れてコンセプトデザインを作ります。早急に第二段階に入ってしまうと、踏査の段階が切り詰められ、考慮の幅を狭めます。

8-3 他の人のアイディアを批判しないこと
(第1段落)ある提案が気に入らないなら、自分は何が好きかと考えて自分なりの前向きなアイディアを出します。アイディアが流れ出るのを阻まないようにします。

(第2段落)コミュニティーが何らかのアイディアを本気で作り出そうとするときは、投票のためのたくさんの案が必要です。選択肢は多いほど良いのです。

最終的に実現されるアイディアの質を高めるため、コ・デザインのプロセスは前向きで非競合的であることを目指しています。あざ笑われることを恐れて発言を神経質に抑制するような雰囲気を助長することなく、調和と一致のある部分に焦点を当てることで前向きな雰囲気を作り出し、可能性について考えることを奨励します。

また、明確な発言ができない人々にも自分のアイディアを発言することを勧めます。これによって他の人々はそのあいまいなアイディアに更なる考慮を加えることができます。

9、起こりうる問題 - ワークショップでのトラブルの対処法
時として、他の人の見方を省みずに自分の意見を言う参加者がいて、問題が起こることがあります。よくあるパターンは以下のようなものです。

*政治的な発言や抗議をする
*既に完成された案を出す
*グループの中で支配的に振舞う
*法外なアイディア

9-1 政治的な発言
(第1段落)ワークショップを政治的な発言の場として利用する人々が参加している場合もあります。その場合には、新しい場所で行う活動に関する質問をします。政治的な返事を考えている人々は、「周りにもっと広い場所を取らないでいて、新しい場所のことなどどうやって考えろというのですか?」などと反論したり、もっと限定的に「市は町の中心部に母子家庭のための住宅を作る用意がありますか?」などと聞き返したりします。

(第2段落)そのような質問に対しては、彼らの政治的な心配事は十分に解決されたという前提で考えるように指示し、そしてその状態では現地で何をしていると思うか、と問いかけて場を和らげます。こうすれば参加者は一時的に政治的な事柄から離れることができます。

(第3段落)また、遅れてやってきて抗議をしたがる人々もいて、言いたいことをぶちまけたがります。その場合は現地図の横に貼っておいた白紙を示し、フェルトペンを渡して抗議の内容を書き出してもらいます。そうすれば対立的な心理状態が消えるので、それからグループに参加して一緒に作画してもらいます。

ワークショップの焦点である開発計画に関して政治的な論争が過熱している場合は、この目的のために大きな紙が必要になる場合もあります。参加者には、ワークショップでの反応は抗議も含めてすべて記録してレポートに含められることを伝えます。

9-2 完成された計画案
ときとして、イラストや模型など完成された計画案を持ち込む人がいます。その場合はそれを展示するのを手伝います。完成した計画案が口頭で述べられる場合は、ボランティアの書記をつけて詳細を書き取ります。あとで投票するとき、ワークショップで作られた他の絵と一緒にこれらも展示して、コメントを集め、投票を行います。

9-3 支配的な参加者
(第1段落)絵を描いているグループの中で、ある参加者が他の人たちのアイディアに同意せず、議論の流れを止める場合があります。集団力学の世界では、この人物はブロッカー(遮断する者)として知られています。そうなると、他の参加者は黙りこんでしまうかもしれません。目的は皆のアイディアを得ることなので、この場合の解決策はグループを分けることです。

(第2段落)ワークショップのときには、このようなトラブルに備えて控えているアーティストたちがいて、会場を見回っています。あるグループの議論の中にブロッカーがいることに気づくと、彼らはしばらくの間は議論の流れに耳を傾け、それから口を挟んで支配的な参加者にこう言います。「あなたのアイディアは力強いので、それを発展させましょう。あなただけのイラストを作りましょう。こちらでどうですか?」
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(写真)ある参加者が支配的になると、コ・デザインのアーティストはいったん手を止める。この状況では、別のアーティストをあてがうことが最良の対処方法である。(撮影:ジョン・マッケンジー)

(第3段落)その参加者をグループから離し、1対1のセッションを提供します。グループの他の人々は、これでブロッカーの脅しを恐れずに自分たちのアイディアを進めることができます。支配的な参加者は非常に確固たるアイディアを持っていて、イラストが自分のアイディアを厳密に反映していることを要求しがちなので、能力の高いアーティストが必要とされます。また、ブロッカーは自分の強いアイディアを視覚的に表すことに困難を感じる場合もあります。

9-4 法外なアイディア
ときには、コミュニティーの人々を憤慨させるようなアイディアを表明する人もいます。繰り返しますが、ワークショップの目的はすべてのアイディアを引き出すことです。この問題の対処法は投票にあります。本当に法外なアイディアは、投票で「ここではなく他の場所にふさわしい」という評価を得るものです。

こうすることで、その参加者は自分の心からのアイディアを表すことができ、「悪いもの」ではなく単に「もっとデザインに工夫が必要」あるいは「このコミュニティーではなくもっと他の場所に向いたアイディアだ」という理由で、他のアイディアと同じような優先順位を得られない、ということを知る機会が得られます。

9-5 十代の若者を巡る問題
(第1段落)十代の若者たちは、性的な落書きなどを含む多少反抗的な振る舞いをすることがあります。それでも彼らにも耳を傾ける価値があります。アーティストをあてがわれて議論をするように導かれたなら、彼らは往々にして最も創造的なアイディアを出します。

(第2段落)内気で無愛想で、仲間同士で固く結びついていると見られがちな彼らは、抜きん出て価値のある参加者です。社会のしきたりに対する彼らの反抗の態度は、創造的なアイディアの基盤であり、彼らの過度な感情は現状への敏感さから生じてきます。

往々にして、最も賢明なアイディアはそのような若者たちから出されます。彼らは通常、計画の初めから除外されるので、コ・デザインはまさに彼らのためにあるようなものです。
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(写真)子供たちが誇らしげに自分たちの絵を展示し、アーティストは背後に退けられる。参加者たちは、絵が本当に自分たちのものだと感じる。(撮影:スティーブン・ヘイワード)
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(写真)若者たちから創造的なアイディアが出される。(撮影:ジョン・マッケンジー)
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by ammolitering7 | 2013-06-21 07:53 | 「コ・デザインの手法」


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