第4章 (イラスト込み)

第4章 建築例

1、コ・デザインのワークショップから受賞歴のあるデザインが生まれる
「ワークショップのアイディアは理想主義的に聞こえるかもしれませんが、その結果の前には反論を引っ込めざるを得ません。単純なコミュニケーションによって、地域社会の感覚と達成に多大な貢献ができるように見えます。コ・デザインのプロジェクトが終わってから何年も経っても、それがどうやってできたかが語り継がれます。そしてその精神も生き続けます。」リン・ニューマン・マクドウェル(注13)

1-1 BC州バンクーバー市ロブソン広場

(第1段落)この有名な広場が作られたときには、人口250万人の大きな国際都市全体で大きな関心を集めました。政治的な論争も過熱しました。直前に政権を握ったばかりの新しい政府はこの場所を「人々の場所」にする意図を宣言しましたが、そこには以前の政府が50階建ての高層ビルを建てる計画を発表していました。

(第2段落)複数の市民グループがこの場所のデザインについてアイディアを声高に述べ始めました。あるグループは市民によるデザイン・ワークショップを行うために私たちを招きました。ワークショップは現地から都市区画で半ブロック離れたキリスト教会聖堂で開かれました。会場の選択も更なる論争を引き起こしました。人々に愛されていたこの古い建物を取り壊す計画も発表されていたからです。

(第3段落)新聞、テレビとラジオでワークショップが予告され、大勢の記者が詰め掛けました。カナダ映画省がワークショップの様子を撮影して記録映画を作製したほか(”チェアーズ・フォー・ラバーズ〔Chairs for Lovers〕")、イベントの様子は全国のニュースでも放映されました。

(第4段落)市民の声を聞く姿勢をアピールするために政治家も参加しました。また、計画に抗議する人々はプラカードを持って会場の外をパレードしました。通りの向こう側のホテルで行われていた会議に参加していた建築家たちも飛び入り参加し、すべての利益団体が参加していました。

(第5段落)現地の近隣および周辺の学区の学校訪問も行ってワークショップに参加する子供たちを手配し、大勢の子供を含む200名以上が二日間にわたるイベントに参加しました。

(第6段落)ワークショップで出された提案には、ガラス張りの天井があって、冬は氷を張り、夏はローラースケート用にしたスケート場というものがありました。また、気楽にパフォーマンスを楽しめる屋外型劇場、パラソルを出した屋外型のレストラン、悪天候のためにガラス張りにした屋根、噴水、木を植えた散歩道、木の下で座れるところ、などのアイディアもありました。

(第7段落)全国的に有名なバンクーバーの建築家アーサー・エリックソン氏がワークショップでのインプットからデザインコンセプトを作り、現場近くに特設された場所で展示しました。エリックソン氏は、見る人たちにコメントを寄せるよう奨励しました。彼がそこから生み出したデザインは様々な賞を受賞し、市民参加から素晴らしいものが生まれるということを証明しました。

(第8段落)今ではロブソン広場は、ちょうどワークショップ参加者が描写したように、大人も子供もガラス張りのドームの下で大きな音楽に合わせてスケートできる場所です。(ドームの上でスケートをするというアイディアも出されましたが、それは建築家にとって技術的に難しすぎるものでした。)

さらに、広場の階段は下にあるステージで行われるパフォーマンスを座って気楽に見ることができる「ギリシャ風劇場」になっています。
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(写真)コ・デザインのアーティストと子供たちがロブソン広場のスケートドームのアイディアの核心をスケッチしている。(写真:カナダ映画省提供、”チェアーズ・フォー・ラバーズ 〔Chairs for Lovers〕")
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(写真)バンクーバーのロブソン広場。ワークショップで出されたローラースケートのアイディアが実現した。(撮影:シリア・キング=ベンダー)

1-2 フォールスクリークのイメージ調査、BC州バンクーバー市
(第1段落)バンクーバーのダウンタウン半島の入り江沿いにある住人3,000人の住宅地フォールスクリークのデザインには1,000人が参加し、できあがったデザインは数々の賞を受賞しました。1970年代初め、老朽化した海辺の産業地帯だったこの場所をバンクーバー市が買い取りました。

市民投票の結果、この場所は住宅・商業地域になることが決定され、コンセプト作りのために地元の建築家が委託されました。

(第2段落)1973年、バンクーバー市はコ・デザインに市民のデザイン嗜好を調べるように依頼しました。私たちは夏の間の3ヶ月を使って、およそ1,000人の人々にイメージ調査を行いました。調査はフォールスクリークに作られた一時的な公園、および市内の他の幾つかの公共の場所で行われました。公園内には建築デザインが展示されました。

(第3段落)参加者には、北米の暮らしの側面を手描きのイラストで表した5インチ(12センチ)x7インチ(18センチ)のカラーイラストのカードが配られました。人々はそれぞれにイラストを3つに分類しました。
(1)今の自分の暮らしにあてはまるもの
(2)(1)に入らなかったものの中から、してみたいこと
(3)フォールスクリークで自分がしていると思える活動
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(イラスト)1973年、フォールスクリークのために市民が選んだ活動の第1位はサイクリングだった。1976年にフォールスクリークのウォーターフロントがオープンしたときの様子と比較のこと。
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(写真)フォールスクリークのサイクリング道。(撮影:シリア・キング=ベンダー)
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(イラスト)1973年、フォールスクリークの市民投票で上位10位内に入ったファーマーズマーケット。その後、1978年にフォールスクリークにオープンしたグランビル・ファーマーズマーケットと比較のこと。
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(イラスト)子供のワークショップ画。完成した子供の遊び場と比較のこと。
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(写真)フォールスクリークの子供の遊び場。(撮影:スタンレー・キング)

(第4段落)それから参加者は、ワークショップと同じやり方でフォールスクリークの環境デザインの好みを議論しました。インタビューはそれぞれ約1時間に及びました。

(第5段落)結果として人気があったのは、自然な植栽のある場所、それを取り囲む集合的な低い住宅、サイクリングと歩行者のためのウォーターフロント、そしてマーケットでした。この結果は、高層建築とショッピングモールのある大いに都会化されたウォーターフロントという以前の建築デザインとは対照的でした。

(第6段落)さらに、住宅共同組合とのワークショップ、学校と遊び場のデザインのために子供や親たちを対象としたワークショップ、地域社会全体の人々を対象にして近くのグランビルアイランドのコミュニティーセンターのデザインをテーマとしたワークショップも開きました。

(第7段落)市は、受賞歴のある開発をデザインした建築家のチームを集め、イメージ調査の結果に沿ったデザインで計画を実現しました。

(第8段落)公園は自然の景観を見事に模倣したため、ビーバーが棲み付いて何本かの木を切り倒してしまい、捕獲して移動させねばなりませんでした。

(第9段落)商業的には、小さな商店と有名なグランビルアイランドマーケットがあります。
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by ammolitering7 | 2013-06-21 08:01 | 「コ・デザインの手法」


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