第8章ー2 (イラスト込み)

3-4 前景の植生
前景にも植生の要素を加えることで、奥行きの感覚を強めることができます。絵の中に誘い込むような葉の形を使って、特定の植生の種類を示すこともできます。葉の形をくっきりさせるために光と影の関係を使います。

絵の一番上に木の枝を配置すること、あるいは下端に椰子の葉を大きく入れることで、見る人を絵に引き込みます。これによって絵に縁取りを与えたり、バランスの取れていない絵にバランスを与えたりすることができます。
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(イラスト)前景の植生は見る人を絵に引き込む。
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(イラスト)絵に縁取りするために植生を使う。
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(イラスト)前景の植生が構図上の要素になっている。
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(イラスト)ワークショップの絵の中に様々な植生を描く。(ソース:カルガリー市、ランジェヴィン・コミュニティースクールの温室の調査)

4、ガラスと水
コ・デザインのアーティストが受ける最も難しいリクエストの一つは、ちょっと聞くと簡単に聞こえる「あの壁に窓をたくさん描いてください」、あるいは「食事をするところがありますが、ガラスの向こう側です」などです。もっと難しいのは、噴水、光を反射したプール、または波止場の景色です。これらの対象を少し観察すると、素早くそれらしく描く助けになります。
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(イラスト)遠くの窓は黒い四角として描かれている。

4-1 ガラス
ガラスを見ると、反射性と透明性という捉えどころのない性質を持っているのが分かります。ガラスは、商店やオフィスの窓、温室、中庭など、現代の建築のいたるところにあります。外からは黒または黒に近く見えるので、そのように描くのも効果的です。

ガラス板は、最初の2~3階までは周りの物や色を反射します。これ以上は空の様子を反射します。この方法は、中くらいの距離および背景の窓を描くときに特に効果的です。近くにある窓はもっと詳しく、透明性と反射性の両方を表して描きます。これはたとえば、窓の中のカーテンやブラインドが見えて、窓枠や窓の縦仕切りが半分開いたカーテンの上に影を落としている、という様子です。室内は、窓に近いランプシェードなど以外はほとんど真っ黒になります。
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(イラスト)窓枠と窓の縦仕切りが背後のカーテンに影を落とし、はっきりとした日光の様子を表している。カーテンのひだにも影が落ちている。
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(イラスト)窓の細部:
A.窓の縦仕切りが背後のカーテンに影を落としている。
B.C.ベネチア式ブラインドの特徴的なジグザグのパターン。
D.近くの窓の向こうに人や物の形が見える。

4-2 水
(第1段落)水の反射的な性質は、2、3の基本的な特徴をグラフィック的に使うことで描くことができます。まず、水はめったに完璧な反射を作り出すことはありません。波の動きのため、壊れた鏡がつながったような表面をしているからです。反射したものの歪みは、波の性質によります。風の強い日には波が高いため粗い反射になり、風の穏やかな日には丸みを帯びた単純な形の黒っぽい塊になったりします。

暗い色のものは水の上に点在する暗い色の塊として反射し、明るい色のものは同じ色の反射を作ります。また、海岸部分は隣接する水の上に濃い色の帯を作るのが普通です。屋内プールや湖などの水の広がりを見渡すと、向こうの景色が鏡のように、ただ、もちろん逆さまで映ります。反射した景色もまた、同じ遠近法に従うことを覚えておいてください。
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(イラスト)反射は水の表面の様子を明らかにする:
水の表面の一部を描くだけでよい。


(第2段落)流れる水と噴水は、もはや反射することさえしないほどに水の表面を乱します。噴水から噴出す水は空気をたくさん含んでいるので、静かな水に特徴的な青っぽい色もありません。水を噴出している噴水を描くときは、このしぶきを描くために白を多用します。
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(イラスト)水を描く:
A.水の上の反射のトーンは、反射されるものの性質に左右される。
B.静かな水。
C.風に揺れる水。

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(イラスト)噴水と滝:
流れ落ちる水は、縦の線を並べて素早く描くことができる。噴水には白を多用する。水面は乱れている。


5、インテリア要素を立方体を使って描く
遠近法に立方体を使うのは、階段や家具などのインテリアの要素を正しく配置するための便利なテクニックです。そのような立方体は、壁、天井、床を定めるのに使ったのと同じ遠近法の基準点を使って定められます。

基本になる立方体を描いたら、それを望む形に「彫る」ことで形を変えることができます。彫刻家が石の中に隠れた形を想像して石の塊を彫るようなものです。望む大きさを得るために立方体を加えることもできます。この描画テクニックをしばらく練習し、さらに現実のインテリア要素を注意深く観察することにより、やがてそのようなテクニックに頼る必要がなくなり、何も見ないでも同じように描けるようになるでしょう。
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(イラスト)立方体を使って家具を描く:
A.二つの立方体が縦に重なり、大きさの比較のために横に人物が立っている。これが椅子の基になる。
B.同様に、立方体を二つ並べてソファが作られる。

5-1 家具
コ・デザインの絵は人物で始まり、それが環境に包まれていきます。例えば、屋外のカフェで食べている様子が考慮されているなら、まず座っている人を描き、それから椅子を描きます。人物は椅子と屋外のテーブルの絵に正しい比率を提供します。テーブルは一つの大きな立方体の中に描くことができます。実物らしいテーブルにするために、テーブルの表面を見せすぎるというよくある失敗を避けるようにします。

椅子の形は縦に二つ重ねた立方体から描けます。また、横に二つ並べた立方体からソファや公園のベンチを描くことができます。

5-2 階段
(第1段落)完全な遠近法の正確性を求めるのではなく、コ・デザインの絵では特定の環境要素の主な特徴を捉えようとします。階段を細かく描こうとするとかなりの時間がかかり、デザイン討論の流れを妨げます。そのため、階段を素早く描く方法を使わなくてはなりません。階段の斜めになった平面は立方体のシステムを使って素早く描くことができます。

階段の段の相対的な大きさを決めるために、比較用の人物を描きます。階段の枠組みを定め、個々の段をはっきりさせるために、太いマーカーを使います。段が高くなるにつれて、踏み板の見えている部分がどんどん小さくなっていることに注目してください。

二つに分かれた階段の間の踊り場は、ちょうど比較用の人物の目の高さにあります。参加者たちが望むなら、手すりをつけます。隙間の多い鉄製の手すり、木の手すり、あるいは石の手すりなどの種類があります。
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(イラスト)立方体の集まりから階段を作る:
A.人物および目の高さの線は大きさの目安となる。
B.まず、階段部分と踊り場を塊として描く。個々の段の側面を決めるために、立方体の側面をさらに分割する。
C.段と踏み板を描き加える。
D.階段の上に人々を描く。

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(イラスト)景色の中の要素を立方体を使って描く:
A.景色の中の大切な要素、この場合は階段とベンチは、想像上の立方体の中に作られる。立方体そのものは、人物を基準として遠近法の中に置かれる。
B.踏み板、手すり柱、手すりを加えて景色が完成する。階段は細部を加えるのではなく背景との対比によってはっきり表されている。

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(イラスト)踏み板の下に落ちた影のある階段の側桁を描くことによって、段の間に隙間のある階段であることを示している。段が目の高さに近付くにつれて踏み板の見える部分が小さくなっている。

(第2段落)螺旋階段は、市民ワークショップでよくリクエストされるものの一つです。しなやかな線がロマンチックな雰囲気を醸し出すからでしょう。比較用の人物の目の高さを半分の高さとして使って、幅と高さの比率が1対1.5の長方形を描きます。これが階段を入れるための筒のもとになります。

筒の上と下の楕円は階段が通り抜ける床と天井の開口部を示します。階段の側桁の曲線は、一本の筆遣いで描きます。これは上から3分の1のところで長方形の一面に触れ、反対側は下から3分の1のところで同様に触れます。手すりの曲線はこれをそのまま辿ります。

内側の側桁は、中央の支柱の周りのすぐそばを回ります。ここでも、階段を上ったり下りたりしている人物が階段の相対的な大きさを知る目安になります。最後に、階段の下の部分や手すりなど細部を加えます。
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(イラスト)螺旋階段を描く:
A.筒の輪郭は人物の目の高さの2倍。
B.上と下に楕円を加える。
C.外側の側桁を示すため、筒の中に曲線を描く。
D.内側の側桁は中央の主軸の周りを間近に回る。手すりは外側の側桁と並行している。

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(イラスト)円形の階段:
A.螺旋階段の中点は目の高さにある。
B.同様に、曲がった階段の踊り場も目の高さにある。

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(イラスト)ワークショップで素早く描かれた螺旋階段:
曲線の下の部分には黒く影が落ちている。(カルガリー市、シビックセンター)


5-3 遠近法の中の円
遠近法理論の基本的な概念では、円は楕円として表されます。前の例では、階段を含む筒は床と天井の丸い開口部に対応して両端に楕円形の開口部がありました。丸いプランター、噴水の土台、カフェのパラソルも同様にして描くことができます。
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(イラスト)遠近法の中の円:
A.様々な角度の楕円は遠近法の中の円を表している。
B.楕円はパティオのパラソルの基本である。テーブルとパラソルの大体の大きさに注意。
C.パティオ家具は一群の楕円で構成されている。
D.脚、細部、影を入れる。

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(イラスト)コ・デザインのワークショップでは屋外のテラスの景色がリクエストされることが多い。カフェのパラソルが幾つかあると、それらしい雰囲気が出る。

6、資材の表現
(第1段落)ワークショップの絵では、様々な資材を描き表す能力も大切です。資材とそのテクスチャーを描き出すことは、絵に面白さを加えるだけでなく、考慮されている環境に関する情報をより豊かにします。つまり、使用する資材に関して視覚的なメモを入れることになります。

他の特徴を描くのと同じように、資材も素早く、簡潔かつ直接的に描きます。例えば、屋内庭園で目立つところに作られるレンガの壁は、レンガを一つ一つ描くには及びません。大体の大きさと方向を示すだけで十分です。前景の一部を細かく描き、壁の他の部分は水平に走る線とレンガのような赤色を塗って表します。

(第2段落)光が当たっている方向を意識的に決めることで、光のあたっているところを明るくし、影の部分は濃く描くことができます。光と影のバリエーションは、表面のテクスチャーを生き生きとさせます。テクスチャーの描き方に関して決まったルールはなく、現実の例を観察して様子を感じることにかかっています。主な指針は、コ・デザインのアーティストは簡素さを旨とするということです。

(イラスト)資材を表す:
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ひだのついた金属

舗装用の石板

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杉のこけら板
木の壁板
敷石

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スペイン風の素焼きの屋根瓦
コンクリートまたは化粧しっくい
玉石

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アスファルトのこけら板
レンガ
はめ込み式の舗装材

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(イラスト)様々な資材とテクスチャーの現地スケッチ。

7、車両
(第1段落)車を描くときは、まず指標として人物を描きます。乗用車の屋根は胸の高さ、車輪のホイールハウジングの上端は、この半分の高さになります。前輪は脚室の中に納まり、後輪との間には車輪3つ分の間隔があります。ドアのパネルの下は車輪の中心、あるいは全体の高さのおよそ3分の1になります。

窓枠は上から3分の1です。フードとトランクは窓枠の線から曲線で繋がり、車輪の前後に車輪一つ分のところまで伸びています。屋根枠の後ろの柱は後輪の真上、そして屋根枠の前の柱は前輪の中心から45度の角度で描きます。

(第2段落)遠近法の中の乗用車には、同じ基本的なプロポーションが当てはまります。ここでも人物から始めます。上は胸の高さ、窓枠は上から3分の1の高さです。車輪の上のホイールハウジングを滑らかな曲線で描きます。ドアのパネルの下は車輪の中心の高さです。屋根枠の後ろの柱は、一番後ろのものは45度くらい、前に近いものはほぼ垂直に描きます。

車の内部、下部、脚室を暗くします。車輪には少し立体感を加えます。この時点で、バンパー、ドアとドアの間の線、ライトなど細部を加えても良いでしょう。
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(イラスト)立面図で乗用車を描く:
A.屋根の線を胸の高さで描く。ホイールハウジングはその半分の高さ、そして前後の車輪は車輪3つ分離れている。
B.窓枠は屋根から3分の1の高さに描く。車体の下部の線は車輪の真ん中の高さ。
C.屋根枠の柱に角度をつける。後ろの枠柱は後輪の上、前の枠柱は前の枠柱から45度の角度で描く。
D.内部の人、ドア、フェンダーを描く。

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(イラスト)前から見た立面図を描く:
A.車の屋根を胸の高さで描く。幅は高さのおよそ1と4分の1倍。
B.車輪は外側の縁に描き、屋根枠の柱は上に向かって内側に傾く。(屋根、窓枠、フェンダーの上部)


(第3段落)車をそれらしく描くには、車輪を正しい位置に描くことが大切です。遠近法における円の基本は楕円であり、これが車輪を描くときの基本です。楕円の長い主軸は、遠近法の中で描かれた車軸に対して90度の角度になります。

(第4段落)乗用車や他の車両を描くときは、簡素を心がけます。屋根の線、ホイールハウジング、車輪、窓枠の線など、車らしく見せるための鍵となるいくつかの線を描くだけで十分な場合が多いのです。同様に、駐車場などの複雑な景色も、あまり熱心に描きこむ必要はありません。むしろ、前景に詳しく描いた車を一台置いて、その向こうの車は屋根の形やミラー、暗い内部などで車が並んでいる様子を思わせるように描きます。
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(イラスト)遠近法を使って車を描く:
A.屋根を胸の高さで描き、上から3分の1の高さに窓枠の線を描く。
B.車輪の上のホイールハウジングを曲線で描き、車体の下部を車輪の中心の高さに描く。
C.屋根枠の遠くの柱を約45度の角度で描き、近くのものはほぼ直角に描く。
D.内部、下部、向こう側の車輪に影をつける。

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(イラスト)車輪は楕円として描く。車軸の線に対して長い主軸が正しい角度になるようにする。
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(イラスト)形とプロポーションを知るために車をスケッチし、ワークショップで描くために線を単純化する。
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(イラスト)見慣れた物は最も難しい対象である。車を観察し、車輪の上の曲線、屋根、暗い内部、暗い下部など、重要な特徴を想像させるために可能な限り簡略化する方法を探す。
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(イラスト)一定した目の高さを保ち、バイク、キャンピングカー、ジープなど様々な車両の大きさを定めるために、人物を使う。
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(イラスト)人物を基準として小型トラックとバンが描かれている。車両が正しく道路上にある様子を表すために影が使われていることに注意。
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(イラスト)タンカーやセミトレーラーのような大きなトラックには独特の特徴がある。人物との大きさの対比に注意。
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(イラスト)走行中の車両と駐車中の車両を人物の目の高さと関連付けて描く。
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(イラスト)道の景色を描く:
A.最初の車を屋根やホイールハウジングの曲線、前のバンパー、暗い内部などの主な特徴を捉えて胸の高さに描く。
B.背後の車両は、屋根の形、暗い内部とヘッドライトの塊として素早く描く。
C.街灯、木、建物、舗装などを簡素に示して景色を完成させる。

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(イラスト)自転車は簡単なフレームで繋がった二つの楕円として描く。車輪のスポークを描く必要はない。
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(イラスト)ワークショップで描かれた車と自転車。(ソース:アルバータ州ハイリバー)
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(イラスト)船も車両のグラフィック語彙の一部である。手漕ぎボート、モーターボート、帆船は、それぞれ独特の形をしている。
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(イラスト)波止場の景色は、部分を調べていくと思ったより難しくはない。船体と帆はほとんどいつも白である。マストの垂直の線は暗い水面の水平な平面と対照的である。
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(イラスト)船体の複雑な曲線の形を描くときの助けとして、想像上の直線で囲まれた箱を使う。
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(イラスト)マリーナの景色:
A.詳しく描いた前景の船から始める。
B.他の船は、マスト、索具、暗い窓、そして明るい船体の形の塊として描く。

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by ammolitering7 | 2013-06-21 14:10 | 「コ・デザインの手法」


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