第9章 (イラスト込み)

第9章 色付けする

1、コ・デザインの絵における色の使い方

(第1段落)描画の最後の段階では、アイディアや提案の出されるスピードはずっと遅くなります。グループの人々はとても楽しげで、自分たちの作りだした絵を誇らしげにしています。スケッチはほとんど完成しているように見えます。

(第2段落)ここから本当に楽しくなります。色を付ける時間です!この段階では、すべての参加者が自分の好きな色付きマーカーを選んで、絵に確かな自分の印を加えます。そうすることで、絵を本当に自分のものにすることができるのです。

1-1 色付けすることの利点
大抵の場合、特に大切な情報は白黒の線画の中に含まれていますが、絵に色付けすることには多くの大切な理由があります。

(1)色はスケッチに生命感と動きを加えます。明るい目立つ色は、何ヶ月も経ってから見てもワークショップの興奮を伝えます。

(2)色は、参加者が望む雰囲気に関して大切な情報を伝えます。壁は明るい色に塗るのか、控えめなパステルカラーに仕上げるのか?人々は寛げるような静かで温かな空間が欲しいのか、それともエキサイティングで刺激的な環境を望んでいるのか?色は、これらの問いに対する答えを得るための助けになります。

(3)ワークショップ参加者に自らマーカーを持って色付けするように促すことで、自分たちは本当にスケッチの作成者なのだという感覚を持ってもらうことができます。

(4)色は、ごちゃごちゃした絵を見やすくします。そして、コ・デザインの絵はたいていごちゃごちゃしているのです!

単に青い空を加えることによって、デザインされた建物の輪郭をはっきりさせ、その高さを明らかにする助けにもなります。例えば、レンガの舗装に色を塗ると、特にそれが垂直な壁とぶつかるところでは、そうしなければはっきりそれと分からない表面を明らかにすることができます。

1-2 色付けするタイミング
色付けは描画の最後に行うのが最も効果的です。スケッチの初めの頃は、黒いマーカーを使って提案されるアイディアを描き込むだけで精一杯です。色はとても大切ですが、あまり早い段階で使うとアイディアの流れを複雑にするだけで、グループの人々のアイディアを素早くスケッチするというアーティストの仕事の邪魔になります。スケッチがほぼ完成してグループからのアイディアが出なくなるまで、色付けはしないでおきます。

1-3 画材
(第1段落)長い間の経験と多くの試行錯誤から、私たちは色付けに最適な画材は油性のフェルトペンだという結論に達しました。チョークパステルでも塗れないことはなく、横にして使えば広い部分を素早く塗ることができますが、マーカーの持つ力強さに欠けます。色鉛筆は細すぎるし、弱々しく見えます。先の太いマーカーが一番です。

(第2段落)マーカーは、色の選択が大切です。紙は、マーカーがにじまず、くっきりと鮮やかな色になるように、やや高価ですが特別なベラム紙を使います。ワークショップで使うにはA2サイズが適切です。できあがったスケッチの横に評価表とPEP図を付けるのにぴったりの大きさです。

描画の前にスチレンボードの上に用紙を貼り付けておきます。なお、時間が経つと色が褪せてくることを覚えておいてください。これは絵をレポートの形で記録するもう一つの理由です。

1-4 基本の色揃え
(第1段落)実際に必要な色はそれほど多くありません。空、水、レンガ、木材、植生、舗装などを描くには、以下の10色で十分です。人々の衣服(どこにでもあるブルージーンズを含む)、車、標識などは、青、赤、黄色の三原色を使って描けます。夜の景色を描く場合でさえ、これらの基本色以上は必要ありません。

(第2段落)ワークショップのときには以下の色を揃えておきます。

 (用途)
 (レイアウト、線画、影、夜景)
 (標識、衣服)
濃い青 (水、ジーンズ、暗い空)
薄い青 (空、水)
濃い緑 (植生、衣服)
薄い緑 (植生、衣服)
薄い黄色 (標識、照明(夜)、衣服、木の壁板)
茶色 (レンガの壁と舗装、濃い色の木材)
薄い茶色 (薄い色の木材、壁の表面、床)
薄い灰色 (影、舗装、他の色と混ぜる)

ワークショップでは、それぞれのグループにあらかじめこれらの基本色を渡しておきます。マーカーは密閉できるビニール袋に入れて整理しておきます。こうしておけば誤って衣服や家具にマーカーがついてしまうことを防げるほか、ワークショップとワークショップの間にマーカーのインクが乾いてしまう心配もなくなります。

(第3段落)ときにはグループの中の数人が同時に同じ色を使いたがる場合もあり、特別な色が必要なデザインもあります。皆が使えるように、中央にいろいろな色の予備のマーカーを用意しておくと良いでしょう。

1-5 マーカーで色付けするときの便利なテクニック

(第1段落)色づけのとき、若い人も年配の人も、皆心から楽しそうに熱心に、塗り絵のように塗っているのを見るのは素晴らしいものです。技術の足りない分は熱気でカバーしているのです!

(第2段落)しかし、大人は往々にしてグループ全体で作った絵に色付けし始めるのを躊躇するものです。自分が色付けすることで絵が駄目になるのではないかと恐れていたり、色塗りは子供のすることだと思っていたりするからです。そのため、アーティストはまず自分で少し塗ってみて、人々の動きを促す必要があります。

(第3段落)色付けを始める前に、グループの人々がスケッチは既に十分に出来上がったと思っていることを確認します。これはなかなか難しいことです。人々はちょっとした改良や変更を思いついて、いつまでも提案を続けがちだからです。

まず参加者に、これでだいたい完成したかと聞いてみます。そうだという答えが返ってくれば、色付けを提案します。どちらにしても、色付けの前の描画は30分程度に留めます。

(第4段落)アーティストは、絵の中で特徴の大きな部分、特に植生や窓など、素人にはうまく描くのが難しい部分から色付けを始めます。マーカーは大胆に使います。簡素を心がけ、絵全体を塗ろうとしないことです。スケッチ全体の4分の1ほど塗れば十分です。折を見て参加者にマーカーを渡し、絵は皆が色付けできるように椅子の上に置いて、人々に自分で少々の色付けをするように促します!

10~15分ほどしたら、熱心に塗っている途中であっても切り上げてもらい、サインをしてもらってワークショップの他の参加者も見ることができるように展示します。

(第5段落)アーティストの仕事はこれで終わりです。コーヒー片手に休憩するのもいいし、新しい絵を始めるのもいいでしょう!

2、夜景を描く
2-1 夜景の必要性

コ・デザインの絵の90%は昼間の様子ですが、ときには夜景を描くように頼まれることもあります。建築予定地の夜の様子は忘れられがちなものですが、夜の活動はプロジェクトデザインにおいて非常に重要な要素です。映画館や劇場のある地域、商店街、屋外のカフェ、ショッピングモールなどは、暗くなってから活気が出ることも多いものです。
f0239150_2212833.jpg

(イラスト)夜景の中の人ごみを描いたコ・デザインのアーティストの練習画。
f0239150_223155.jpg

(イラスト)夜景を描いたワークショップ画。(ソース:アルバータ州ハイリバー)

2-2 昼の景色を夜景に変える
(第1段落)夜景は、前述のデザイン対話を使って、現地の昼間の様子を描くのと同じように描きます。描画のテーマとなっている活動は夜に行われていることを心に留めて、参加者も夜景を描いていることを忘れないように注意します。

(第2段落)絵がほぼできあがって、主なアイディアがすべて描きこまれたら、色付きのマーカーと先の太い黒のマーカーを使って、本当の夜の様子に仕上げます。このとき、人工的な照明が景色にどのように影響しているかを心に留めておきます。街灯、商店のウィンドウ、車のヘッドライトなどが主な光源です。太陽ではありません。

(第3段落)このためには、昼間を描くのとは異なるマーカーの使い方が必要です。

2-3 夜景を描くためのマーカーのテクニック
(第1段落)昼の景色と夜景の間の最も明らかな違いは暗い空です。単に空を黒く塗るだけでも、夜景の印象が得られます。

(第2段落)しかし、昼と夜では物の見え方に多くの違いがあります。光源が違うので、景色の中の物は夜景ではかなり違って見えます。以下は、コ・デザインの絵に登場する典型的なものと、それを夜景として効果的に、かつ素早く描くためのヒントです。

テクニックの例はカラーイラストを参照してください。参加者が夜景の色付けをするときは、アーティストの助けが必要な場合もあります。

アイテム (夜景での描き方)

 (黒または濃い青。遠くの町並みのスカイラインを形成する建物群を描くときは、黄色に塗った窓をいくつか加える。)

植生 (黄緑色。近くの街灯に主に横または下から照らされている。)

商店のウィンドウ (商店のショーウィンドウは、明るく照らされているように描く。小売店エリアの場合、これが一番目立つ特徴である。光に照らされた看板やひさしは、通りに華やかな印象を与える。ショーウィンドウにはところどころ色を加える。ウィンドウの前に立つ人物は、ほぼ真っ黒なシルエットにする。店舗はウィンドウ以外の部分は暗い色にする。)

 (車の下部と中の人物は暗く、ほとんど黒にする。車で目立つのはヘッドライトとテールライトである。ヘッドライトはとても大きく見え、光源の周りに黄色い光の輪ができる。雨が降っていないときでも、ヘッドライトとテールライトは舗装の上に反射した光の帯を照らし出すので、まっすぐな線で塗る。)

街灯 (車のヘッドライトと同様に、街灯も周りに驚くほど大きな光の輪を作るので、それを黄色のマーカーで描く。街灯の近くの建物の表面、道の舗装、植生などは、くっきりと描いて色付けする。)

水の上の光
 (港や湖など水の夜景を描くときは、遠くの岸の明るい看板や街灯から反射した水平な光の帯の他は黒く見えることに留意する。)

2-4 夜に現地スケッチをするときの注意点

(第1段落)ワークショップの対象が夜間の活動を含む可能性があるなら、あらかじめ夜に現地を訪れます。昼間とはずいぶん違って見えることに驚くことでしょう!ワークショップでの提案次第では、いろいろな新しい夜間の様子が描かれることになるかもしれません。しかし、景色の一部は変化しません。遠くのスカイラインのシルエット、目立つ建物などは、大抵はそのままです。そのため、そのような要素が夜はどう見えるかに注目する必要があります。
f0239150_2255179.jpg

(イラスト)夜景を描いたワークショップ画。(ソース:アルバータ州カルガリー市シビックセンター)

(第2段落)夜間スケッチには特有の問題があります。路地に立っているとスケッチブックが見えにくいし、光の様子を描くために色付きマーカーを使うのも、普通はほぼ無理です。そのため、現地では絵を完成させようとしないことです。その代わり、光の様子と主な特徴について簡単なメモを取ります。これは後でワークショップでの描画のときに使います。
f0239150_326179.jpg

(イラスト)夜景を描いたワークショップ画。(ソース:BC州ケスネル)
f0239150_327350.jpg

(イラスト)色は人ごみのところどころにつける。衣服に青と赤が多いことに注目。
f0239150_3273352.jpg

(イラスト)色づけは最初の白黒の絵ができてから行う。
f0239150_3281098.jpg

(イラスト)色は資材を示し、ガラス張りのエリアを示している。
f0239150_3283849.jpg

(イラスト)参加者が色付けした絵。
f0239150_329432.jpg

(イラスト)黄色は資材および光源を示している。
f0239150_3293276.jpg

(イラスト)人々と車は光源を背景に影になった輪郭で描かれている。
f0239150_3295740.jpg

(イラスト)夜景に輝きを加えるため、色付けした部分の横に白い部分を残す。
f0239150_3303330.jpg

(イラスト)コンセプトプランの中で、色で歩行者の動きをハイライトしている。
f0239150_3305893.jpg

(イラスト)色とりどりの人々が建築図面に人間らしさを加える。
f0239150_3313032.jpg

(イラスト)このコンセプト画の中で、色は参加者たちのアイディアを経験として想像する助けになっている。
[PR]
by ammolitering7 | 2013-06-22 03:31 | 「コ・デザインの手法」


<< 第10章 (イラスト込み) 第8章ー2 (イラスト込み) >>