第17章 (イラスト込み)

第4部 デザインが公けのものになる
第17章 市民参加を通して器物破損を防ぐ

1、市民参加が器物破損を減らす:1977年春、BC州バーナビー市、ウェストバーン公園

子供たちが公民館の外壁全体に壁画を描くというこのプロジェクトを通して、重要な市民会議が必ずしも市民の声を代表しているものではないと証明されました。また、市民参加の結果、器物破損が減少しました。

1-1 概要
BC州バーナビー市のウェストバーン公園内にある公民館は補修の必要があり、市の美化委員会のメンバーが「また茶色でなければならないのだろうか」という問いかけをしました。「明るい色はどうだろう?」「しかし、近所の人はどう思うだろう?」

1-2 コ・デザインのワークショップ
(第1段落)コ・デザインは、近所の人々の意見を探るように依頼されました。公民館で行われたワークショップでは、子供を含めた住人たちに立面図の線画とパステルの箱が渡されました。

(第2段落)子供たちは運動場に面した外壁のための色鮮やかなアイディアを描き出しました。驚いた委員会の人々は、あわててもっとたくさんの住人の参加を促しました。大人たちは、周辺の家々に面した壁のために、太陽、アルブツスの木(地元によく見られる種類の木)、雪を被った山、花などの叙情詩的な絵を描きました。

1-3 市民への提示
近所の人々を集めた会議でこれらのデザインが提示されたとき、数人が大声で繰り返し非難しました。あまりの悪評に提案を却下しようかというとき、周辺の家族の意見を知るための調査が提案されました。合計28家族のうち、26軒が「大いに賛成」、一軒が「反対」、そして一軒が「大いに反対」でした。つまり、大いに反対した家族が会議ですべての反対意見を述べていたのであり、市民会議は必ずしも公共の意見の公正な反映ではないという私たちの疑念が確認されました。
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(写真)ワークショップで描かれたこの絵を、次の写真の最終的な壁画と比較のこと。(撮影:マーガレット・キング)
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(写真)完成した壁画。(撮影:マーガレット・キング)

1-4 器物破損の予想
(第1段落)壁画の下地には、プロのペンキ職人が薄い青2色を塗りました。彼らが通常、市との契約で行う仕事には、地域の住人が参加するということはありません。青い下地が完成したあと、冬になって雨季に入り、数ヶ月の間は作業が中断しました。地域の人々は、心無い者がその間に壁を落書きで汚すのではないかと不安な思いで待ち受けていました。この地域ではよくあることだったのです。ところが、春になっても何も傷つけられていませんでした。

(第2段落)同地域の教師たちは、壁画の下準備と製作に500人ほどの生徒たちを駆り出しました。地元の商店はペンキを寄付しました。プロのペンキ職人たちは刷毛の取り扱い方を助言しました。地元のアーティストたちと近所の人たちも子供たちを手伝いました。

(第3段落)完成して数週間経ったころ、心無い者が壁にスプレーペイントで落書きしましたが、数時間のうちに子供たちがやってきて、ペンキの缶を開けて落書きを上塗りしました。

(第4段落)子供たちは、自分たちのデザインに基づいて作られた建物や空間を熱心に使い、用心深く守ります。誰であれ、散らかす人に対する彼らの叱責はすさまじいものがあります。器物破損は全くありません。

また、バンクーバー市の東部地区にあるグエルフ公園は、建設から2年経ってもゴミが落ちていません。人口の密集した地域で利用者が多いにも関わらず、唯一の破損していたのはツリーハウスの板を留めるボルトの穴が広がって、板がぐらぐらしていたことくらいでした。

この現象は教師たちにはよく知られています。カルガリー市の高等学校の校長はこう書きました。「私は、『もしも子供たちが自分たちのための場所を作り出すことに関わるなら、器物破損はありえない』という考えに心の底から同意します。」(注33)
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(写真)子供たちが、あらかじめスケッチしたデザインに沿って公民館の壁を熱心に塗っている。その後、器物破損と落書きはほぼ皆無だった。(撮影:マーガレット・キング)
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(写真)壁画はコミュニティーの努力の積極的で力強い表現である。(撮影:マーガレット・キング)
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by ammolitering7 | 2013-06-22 04:05 | 「コ・デザインの手法」


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