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学生ワークショップ (リバービューの続きです)

昨日、ダウンタウンの真ん中にある、、、
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こちらのビルに行ってきました。一番上に回転式の展望台がありますが、そこに行ったわけではありません。
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こちらの入り口から入って、、、
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この部屋に忍び込んだのです。
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窓からは駅の立派な建物や、、、
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往来の激しそうな港が見えます。
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部屋の後ろのほうには軽食が並んでいます。この様子はもしやまた、、、と思われた方もいらっしゃることでしょう。そう、今回再び例の都市計画ワークショップが開かれたので、私もやっぱりのこのこと参加したのでした。
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サンドイッチの種類は12種類もあります。決して食べ物に釣られたわけではありませんが、、、
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釣られなかったわけでもない、という事実があります。
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今回のワークショップは市内の大学のダウンタウンキャンパスで行われました。やっぱり大学はリッチだと見えて、軽食も立派です。野菜と果物のところには、グルテン無し、乳製品無し、ビーガン対応、と書かれています。
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普通のクッキーと並んでグルテン抜きのクッキーも用意されています。
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コーヒーはオーガニックでフェアトレード。
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ナプキンは大学のロゴ入り。きっと学費が高いのだろうなと思います。
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会場には前と同じく資料が展示されています。
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前のときと違って、受付のところには配るための資料も用意されていました。
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プロジェクターが用意されていたり、、、
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椅子の上に一つ一つこうやってペンとメモ用紙が用意されているところも前とはちょっと違います。実は今回のワークショップは一般市民を対象としたものではなく、市内の3つの大学(UBC,SFU,Langara)で主に都市計画を学ぶ学生たちを対象とした授業の一環として行われました。これからの都市計画を担う彼らに実際の都市計画で使われている手法を体験してもらうことが目的です。そのため、ワークショップの初めに一般市民にはしないようなちょっと難しい説明が30分くらいなされました。ワークショップの流れを説明するときには、いろいろなアイディアを出すように、と促す一方で、「予算というのもあるから、それも忘れないでね」と釘が刺されました。これは一般市民を対象としたワークショップではわざと絶対に言わない事柄です。また、ワークショップのテーマは前回と同じリバービュー精神病院跡地ですが、この病院に慣れ親しんだ地域住民と違って若い彼らには馴染みの薄い場所なので、そもそもこれがどんな施設なのか、どういう経緯で今に至ったのかなどの説明もなされました。

また、今回のワークショップは時間の制約がありました。普通だったら4時間くらいかける全体の流れを半分くらいにはしょったので、予定地が無事に理想通りに完成したと想定したときの一日の行動、という最初の部分もあまり時間をかけられません。本来は参加者に手を挙げてもらって、ちょっとした話も聞きながら大きな用紙を埋めていきますが、今回は学生に各自でアイディアをメモ用紙に書いてもらって前に出てきて貼り付けるという形式を取りました。
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なんと、定刻ぴったりに始まりました!カナダ人でもやろうと思えばできるのですね。彼らとて、いつもいつも30分遅れててれてれと生きているわけではないものと見えます。ただ、参加者のほうはやっぱりのんびりした人も多く、登録していた80人程度のうち10~15人くらいは遅れてやってきました。それでも、必修ではなかったらしい今回のような授業では、登録しておいてもやってこない場合が多いそうです。受付の人は、「土曜日だし、天気もいいしねえ。50人くればいいほうじゃないかなあ」とおっしゃっていたほどです。今回の場合はなんだかんだで結局席が足りなくなるほど集まったので、盛況だったといえると思います。

学生たちは大学で建築学その他を学んだあとで都市計画に進むので、年齢層は高めです。見たところ30歳前後の人たちが多く、男女比は7対3くらいに見えました。時間の制約のため別に軽食の時間を取ることはしなかったので、学生たちは適当に何か食べながら参加していました。でも、実際には休憩時間に軽食を取りながら参加者やスタッフが雑談をする時間というのも大切です。控えめな人たちなどは、そんなときのほうがくつろいで意見を言ったりするものです。私は書記として参加していますが、そういうふうな、ぽろっともれたような声でも聞き取っていくのが仕事です。学生たちには、これが時間を短縮したワークショップであることを伝え、本来のスケジュールで行うときとの違いなども説明しました。また、参加のときの心構えも伝え、市民を対象とした本物のワークショップへの参加も促しました。
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偉い人のお話の時間があります。最初は大学の関係者、次は開発に携わる公的な機関(BC Housing)の人の話です。この計画はおよそ一年前に始まったけれど、影響力の大きな大規模な開発なので一年かけて人々の声を聞いている、という背景が説明されます。実現のための段階に入るのは来年内を目処としているそうです。いろんな話をなさいますが、難しいことが多いのでよく分かりません。はっきりと分かったのは、「皆さん、トイレは部屋を出てあっちのほうです、軽食は適当に食べてください」というくだりです。主催者であるとは言え、偉い人が難しい説明をする中にこういう実際にはとても大切な説明が入るというのはカナダらしいなと思います。

これは原住民との兼ね合いを説明しているところ。ここは少なくとも1万年前からクウィケットレム族が暮らしている場所で居住地も隣接しているので、彼らの存在を絶対にないがしろにしてはいけないことが強調されます。なお、原住民の中にはこの土地の所有権そのものを主張して派手な開発を進めたいという意見もあるので、原住民とは一般市民とは別に特別なワークショップが開かれ、交渉が続いています。

この後もいろいろ説明していたので分かった範囲で書くと、古い歴史的な建物をできるだけ残したいけれど老朽化が進んでいて大変な費用がかかるので、実際にはごく一部の建物の外装を残すしかないこと、自然の維持と保護が大切であること、開発後に生じる利益が100%地元に還元されること、精神病院としての機能が維持されること、などです。また、一般市民や関係団体などから広く丁寧に意見を聞き取ることに十分な時間をかけることの重要性も強調されました。ここをはしょるとのちのち大変なことになる、ということを、都市計画の未来を担う若者たちに教え込んでいるのは素晴らしいことだと思います。

また、リバービュー精神病院の経緯としては、抗精神薬の発達に加えて、患者を隔離しないで地域内で家庭的に面倒をみたほうがいい、という理想主義的な思想が広まったことで、患者をグループホームなどに移したり家庭に戻したりするようになって患者数が減っていき、やがて現在のようなほぼ完全な閉館状態になったことも説明されました。1950年代には4,600人くらいいた患者が現在は重症患者64名になっています。

これはとても良いことだと思われていたのですが、実際には混乱が広がっただけで、軽度であっても精神的な病気を抱えた患者を家庭で面倒を見ることができなかったり、グループホームが足りなかったり、グループホームで働く人の負担がものすごく大きかったりいろいろで、結局バンクーバーは大量の路上生活者を抱えることになってしまいました。このことの反省から、やはり何らかの長期的な収容施設が必要であること、それが患者自身だけでなく、患者を抱える家族にとっても大切であることなども説明されました。

ワークショップに参加したのは精神病の子供を抱える老いた親たちが少なくなかったのです。社会生活のできない子供を残して先に自分が死んでしまうことの不安は切実なものです。入院できるほど重症ではなく、グループホームにも入れず、かといって家で自分が世話することもできず、ホームレスになっているのを手をこまねいて見ている場合もあるでしょう。個々のケースは本当に様々だと思いますが、共通しているのは自分にとっては幾つになっても大切な子供である患者たちが衣食住の心配をせずに死ぬまで安心して暮らせる施設が欲しいという願いであるようです。

これまでに3つのワークショップが開かれ、1,000人以上が何らかの形で参加したこと、ワークショップで出来た絵は6箇所で巡回して1,400人以上から反応があったこと、ソーシャルメディアなどを利用していること、幾つもの関係機関から意見を聞いていることなども説明されました。また、主要な開発業者であるBCHousingは公的な機関ではありますが行政府ではありません。今回の開発にあたっては、その重要性から、一番最初の段階から地元の自治体が積極的に参加していて、それはとても珍しくてありがたいことだ、という言葉もありました。開発計画ができたことが知られるようになってから参加した関係団体もあるそうです。
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by ammolitering7 | 2015-08-03 02:01 | ワークショップ


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