先日のワークショップ

幾つか前の記事になりますが、郊外の町で予定されている大規模な開発のためのワークショップをご紹介しました。その補足をちょっとしておこうと思います。
この開発計画の公式サイトはこちらです。

この土地はIOCO、Imperial Oil Companyという石油会社が精製工場を持っていた土地で、会社で働く人たちだけが住むカンパニータウンが形成されていました。村の名前はそのまんまIOCOといいます。

村の歴史を説明した英文がありますが、全部翻訳するのは気分的に無謀だと判断しまして簡単に言うと、まず、1914年に精製工場が稼動しました。場所は一番近い町からちょっと離れたところで、交通の便は全くなかったので、会社は労働者が職場の近くに住めるように町を作りました。1921年のことです。それからカナダの国力が増すのにつれて町も栄えましたが、戦後は状況が一変しました。これはグランビルアイランドのあたりも同じことですが、軍需がなくなって急速に経営が悪化し、工場が次々に潰れてしまったのです。IOCOも寂れる一方で、すっかりゴーストタウンになってしまいました。町は1992年には隣接するポートムーディー市に編入されましたが、土地の所有者はインペリアルオイル社のままでした。

なお、このインペリアルオイル社というのはカナダで2番目に大きな石油会社で、今も元気に内陸のほうで石油を掘っているようです。全然儲からないゴーストタウンなど持っててもしょうがないということだと思いますが、ともあれ、とうとうこの土地が売り出され、2年ほどかけてようやく今年の初めにBrilliant Circle Group (BBG)が買い取ることが決まりました。この会社の社長さんは香港の人ですがカナダ市民でもあり、彼がJames Cheng(ジェームズ・チェン)さんという中国系カナダ人の建築家を雇いました。

この土地は「最後のフロンティア」とさえ呼ばれるところで、私の聞いた限りでは原住民の部族との利権の摩擦もなさそうだし、たぶんカナダで最後に一から(比較的)自由な開発ができる機会です。(環境保護のことなど、それなりにたくさんの制約はあります。)そのため、この土地を買った会社はここに住宅地やその他の設備のある小さな町を作ろうとしています。「小さな」というところが大切みたいで、近くにあるバンクーバーのような大きな都市ではなく小さな町に住みたいという人たちを購買者に想定しています。もともと隔絶した町として作られていて交通の便はすごく悪いので、道を作ったりあるいは橋を架けたり、そんなところから始めなくてはならないことになります。

ポートムーディーでは以前の幾つかの開発で住民の意見が反映されなかったり、そもそも開発のことをろくに知らせなかったりして反対運動が起きたので、その失敗を繰り返さないように今回は開発の一番最初にスタンレー・キングさんが招かれたというわけです。スタンレーさんは業者と住民が激しく対立してどうしようもなくなったときにSOSで呼ばれるような方ですが、やっぱりそういうのはものすごくストレスが大きいそうです。今回のように白紙の状態のときから住民を尊重して、一緒に作る姿勢を貫くと結局は誰にとっても良い結果になるのではないでしょうか。私もほんのちょっとだけですが反対運動の片鱗を見たことがあって、ちょっと怖かったのです。

この大掛かりな開発を手がけるBBGという会社は実はこれまで一度も開発をしたことがないそうです。この会社が香港ベースであることもどう影響するのだろうと思います。どちらにしても、今時こうやって森の中に一から町を作るに近い作業を間近にすることができるのはすごいことだなと思います。ほんとうに、滅多に見られるものではないと思うのです。私がこれまで垣間見てきたものはどれも既存の町のほんの一部をちょこっと変えるというもので、スタンレーさんの代表作であるグランビルアイランドやフォールスクリークでさえバンクーバーという町の一部です。(スタンレーさんは市民参加の面で参加したもので、実際の建築デザインをしたのは別の建築家です。)今回のようなのはスタンレーさんでさえ滅多に見ないものだと思います。私の知る限りでは、彼が町を一から作るための計画に関わったのはアルバータ州で町を丸ごと移転したときのケースだけです。これは既に住民層が確立していたので、またちょっと違うかもしれませんけれど。

なお、スタンレーさんは建築家である一方で教育者でもあります。若いときは高層ビルなど建てていましたが、だんだん市民参加の手法のほうに熱心になっていて、あとからはそればっかりするようになりました。町が壊されて新しいものが入ってくることで人々が深く悲しむことを知り、それが自分の行く先々で起こるので自分が破壊と嘆きの使者であるような気持ちになっていったのだそうです。今は一応引退していて、お弟子さんの指導にあたることが多いです。お弟子さんたちはスタンレーさんを深く敬愛していて、お元気なうちにできるだけ多くを学んでおきたい、自分もやがては彼のようになりたい、と言って熱心に学んでおられます。また、スタンレーさんの手法はサステイナビリティー教育にも応用されて各地の学校で使用されているので、それを体験した若者たちの中からもワークショップアーティストが生まれてきています。

私は個人的に、この手法は人生のいろんな場面で応用できるものだと思っています。何人かの人が一緒に何かをするときの心構えとして、穏やかな状況の中で個々の理想像を具体的に描いてみることは、起こらなくて済む誤解を避けるためにも大切な役割を果たすと思います。個人的にも、何か夢があればそれを一人二役で自分に問いかけて絵にしてみることで得るものは多いと思うのです。

Co-Designが関わるのは最初の段階だけですが、この興味深い開発については継続して注目しておきたいと思います。ワークショップでできた絵と、その後の市民の反応などは、こちらのページで随時更新される予定です。殴り書きみたいなイラストは、次の段階では内容はそのままにもう少し整った形に描き直されます。ああ、それから、会場の様子の写真がありますね。誰か前に立って挨拶をしています。ほんとはスタンレーさんが挨拶をする予定でしたが、始まるのを待っているうちに蜂に刺されてしまって、薬を飲んだらぼーっとしてしまったので、急遽代わりの人が挨拶しました。スタンレーさん、お気の毒に。。。蜂が服にとまっても払いのけるものではありません、ほんと。

The Imperial Oil Company built an oil refinery in 1914 on the north shore of Burrard Inlet, across the way from Port Moody, BC. It was isolated from Port Moody by road, but “Shift Ferries” brought workers to and from work by boat. The Company began construction of theIoco Townsite – an abbreviation of Imperial Oil Company – in 1921, adjacent to the refinery.

Before the Townsite was built, some refinery workers lived in tents or shacks. By the late 1920s, Ioco had developed into a thriving community consisting of 89 structures including 83 homes, 2 churches, a community hall, a lawn bowling green, a baseball diamond, a tennis courts, and a horseshoe pitch. The people of Ioco were active in their community, participating in parades and May Day celebrations, holding regular community picnics and dances, and participating in sports or community service clubs.

Things began to change after WWII. The Company no longer wanted to be a
landlord, and people began to move away. Houses were also moved. By 1975, the Companyclosed the store, though the Community Hall was used up to
the early 1990s. Ioco was incorporated into the city of Port Moody in 1992. The remains of the townsite still offer a unique look at Ioco as it was originally laid out. In 2002, the City of Port Moody declared thetownsite a Heritage Conservation Area. A festival – ‘Ioco Ghost Town Day’ – has been held annually on the first Sunday of October in commemoration.

以下のサイトには土地の売買などに関する記事があります。
http://www.thenownews.com/news/ioco-townsite-sold-to-novice-developer-1.1733021
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by ammolitering7 | 2015-08-05 15:18


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