カテゴリ:「コ・デザインの手法」( 36 )

第14章 (イラスト込み)

第14章 メディアの利用

1、革新的なコミュニティーテレビ:コ・デザインにテレビ上で電話参加する

コ・デザイン・ワークショップへのテレビ上の電話参加は、家でベッドから出ることのできない人にも、あるいは長時間に渡る市民会議に参加する時間のない人にも、計画過程への参加を可能にします。

1-1 概要
(第1段落)コ・デザインのテレビでの電話参加ワークショップは、都市計画とコミュニティー開発という事項にもっと幅広い市民参加を促すため、1980年に開発されました。この手法では、双方向の対話のためにテレビを創造的な方法で利用しました。視聴者がテレビ局に電話して画面上のアーティストと繋がり、アーティストが視聴者の指示に従って描く、というものです。

この手法では、デザイン対話の視覚的な面に重点を置くことで、テレビの視覚的な可能性を十分に利用します。視聴者はアーティストの姿を見ることも声を聞くこともでき、テレビ局のスタジオで絵ができていくのを指図することができます。

(第2段落)プログラムが進行するにつれて、電話の向こうの人とアーティストの間に緊密な一対一の対話ができていきました。同時に、目の前でできていく絵は視聴者の興味を引きつけ、市民参加が実現しているということを大勢の人々に証明しました。これはおそらく、テレビでの電話参加の最も重要な側面です。
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(イラスト)テレビでの電話参加:計画会議の様子。

(第3段落)能力のあるアーティストが絵を描いている様子は、それだけでも注目を集めるテレビ映像です。それに言葉による描写が伴うことで、テレビで作画の様子を見ている他の人々は、それを身近でリアルなものとして感じることができます。

1-2 テレビ参加の様々な適用例

コ・デザインの電話参加はカルガリー市で3回行われ、大きな成功を収めました。最初は1979年に都市部のアールトン地区で再開発計画のために開催されました。2回目は1981年にカルガリー市のシビックセンター地区を対象に行われました。これは全国建築競技会に提出するために市役所の増築デザイン条件を確立することが目的でした。

3回目は1983年に行われ、高齢者施設「ゴールデンエイジ・クラブ」のデザインのために優先する設備を決定することをテーマとしていました。

1-3 テレビのためのプロセス

(第1段落)プログラムはデザイン提案の紹介で始まり、現地の様子を見せ、現地に関係する活動を放映します。それから視聴者に向かって、テレビ局に電話して自分は現地をどのように使いたいか、どんな場所になってほしいかを描写するように頼みます。

電話をかけてきた人は、まず受付係と話して名前と電話番号と住所を伝えます。これは受付係がプログラムの後で電話を掛け直して、できあがった絵を一緒に見ることができるようにするためです。また、電話番号を調べて確認することによって、いたずら電話を防ぐためでもあります。

その後、電話の主はスタジオの中でテレビに出ている司会者に取り次がれます。司会者は電話の向こうの人に挨拶し、アーティストがどんな質問をするのかを伝えます。それから、アーティストの手が空くまで会話をもたせます。

(第2段落)順番が来ると、ヘッドセットを被って襟にはマイクをつけたアーティストが電話口に出て、前述の対話における描画のテクニックを使って作画が始まります。絵が出来上がっていく過程では、書記が詳しいメモを取ってアーティストを支えます。

スタジオのカメラは出来上がっていく絵の様子を撮影して放映します。画面分割のテクニックによって、同時に4つまでの絵の進行状況を伝えることができます。スケッチと対話は6~8分で終了します。電話の主は、番組を見続けるように、そしてスタジオから約20分後に電話がかかってくるのを待つように指示されます。

(第3段落)画面上でラフに作られたスケッチは、アーティストの助手が完成させます。助手はメモを読みながら色と細部を加え、完成したら壁に貼って放映に備えます。受付係が先ほどの視聴者に電話を掛け直し、スタジオの司会者に繋げます。出来上がった絵が画面上に現れると、アイディアを出した視聴者は期待通りにできたかどうかをコメントし、変更や追加があればアーティストにその旨を指示します。

(第4段落)2時間のプログラムが終わる頃には、およそ20件の電話が受付られます。すべての絵が放映された後で、各家庭の視聴者は電話で、またはあからじめ郵送されていた書式に記入したりして、優先順位の決定に参加することができます。

(第5段落)プログラムが進行している間、スタジオではコミュニティーからの訪問者グループによる小さなワークショップもライブで行われます。このライブのワークショップの様子は電話と電話の間に間断的に放映されます。

(第6段落)テレビワークショップは、スタジオ内の活動の様子も含むカジュアルなイベントです。視聴者、スタジオの受付係、司会者およびアーティストの間の複雑なコミュニケーションを滑らかに運ぶために、慎重な準備が必要です。
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by ammolitering7 | 2013-06-22 03:50 | 「コ・デザインの手法」

第13章 (イラスト込み)

第13章 都心部のコミュニティー

1、コミュニティーの活力の問題に取り組む:1987年5月アルバータ州カルガリー市イングルウッド地区

低所得の都心部のコミュニティーが町の中央商店街を改善する方法を模索し、合意されたコンセプトプランに達しました。

1-1 概要

(第1段落)ほとんどの都心部のコミュニティーには、買い物をしたり友人に会ったり、そぞろ歩きや食事やウィンドウショッピングをしたりするための昔ながらの中央大通りがあります。イングルウッドも例外ではありません。そして、他のコミュニティーの中央大通りと同じく、ここも都市部からの圧迫に苦しんでいました。

交通量が多く、建物は老朽化し、空き店舗が多く、中古車店といかがわしい夜の店が急増する、というものです。一方で、多くの良い点もありました。市役所での交渉に精通し、都会での生活勘のある強力なコミュニティー団体がありました。同地区には、地元のビジネスを改善するための特別な資金援助プログラム、および一般住宅地の調査が予定されていました。

また、通りには19世紀末前後に建てられた多くの建物があり、近くの川岸区域との連結の可能性もあり、毎週土曜日の朝に開かれる青空市場も賑わっていました。

(第2段落)商店街には改善が必要でした。コミュニティーに任命された都市計画者とコミュニティー委員会は、コ・デザインに依頼してワークショップを開くのが最良の手段だと考えました。

1-2 コ・デザインのプロセスを一歩先に進める

(第1段落)コ・デザインのスタッフは、コミュニティーの鍵となる人々や市の担当者と協力して、ワークショップの結果を実際のコンセプトプランへと拡大しました。子供たちを対象とした学校でのワークショップと大人を対象としたワークショップの後で、アイディア画は商店街のためのコンセプトプランにまとめられました。

これは、コ・デザインのワークショップで描かれた絵と、都市計画者や建築家が描く普通の初期デザインとを繋ぐ役割を果たしました。コ・デザインのスタッフは、ワークショップで出されたアイディアをもとに、単にそれを描き直す以上のことをしたのです。それは、市民ワークショップで描写された様々な活動を体系化する、という作業です。コンセプトの主な要素は、実際の物理的なデザインというより、方針と方策の開発でした。

(第2段落)例えば、「専門店街を作る」というアイディアは、ワークショップの直接の結果ではなく、ワークショップで出された「建物を保存する、小型の公園を作る、いろんな種類の買い物ができる」などの幾つかのアイディアを整理するための方法でした。言い換えると、ワークショップの結果は次のデザインの段階、すなわちコンセプトプランへと発展するのに使われました。
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(イラスト)ワークショップ画。(ソース:アルバータ州カルガリー市イングルウッド地区)

1-3 多くの人々に見せる
(第1段落)ワークショップでできた色付きの絵は、その後二週間カルガリー市の市役所で展示されました。絵にはワークショップのプロセスを短く描写した文章が添えられました。この展示は、市民デザインの過程の延長線上にあります。ワークショップに参加しなかった人々に、何が行われたかを知ってもらうことができるようにするのです。

(第2段落)イングルウッドのコミュニティーにとっては、ワークショップは終わりではなく始まりでした。彼らは、現在空き地となっている産業用地の見込み利用者を交えて、コ・デザインのワークショップを近い将来に2回開くことを検討しています。また、コ・デザインの手法を今後も継続的にガイドラインとして使う計画です。参加者の目から見たこのワークショップのさらなる詳細は、19章を参照してください。

(第3段落)都市計画者にとっては、コンセプトプランは作画ワークショップのばらばらなアイディアを実用的な方策にまとめるものになりました。
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by ammolitering7 | 2013-06-22 03:44 | 「コ・デザインの手法」

第12章 (イラスト込み)

第12章 小さな町の開発

1、中央大通りの活性化と経済開発:1984年10月、アルバータ州ハイリバー

小さな町の役人たちが危機的な状態にある中心部の調査にあたってコ・デザインに協力を依頼しました。

1-1 概要
(第1段落)ハイリバーは転換機にありました。もはや近隣の農家や牧場に重要なサービスを提供する中心地ではなくなっていたのです。町の中央にある鉄道と穀物倉庫は移転が決まっていました。30マイル(50km弱)離れた大きな都会のベッドタウンとして、町は経済的に都会の影になる危機にありました。地元の商業主たちは都会の同業者にかなりの売上げを奪われていました。

(第2段落)町の経済開発委員会は、住民がどのような開発を望んでいるのか、はっきりした形を知る必要に迫られていました。しかし、どうやって内輪もめと意見の不一致で座礁することなく創造的にこの課題を進行させることができるでしょうか?彼らはコ・デザインに助けを求めることにしました。

1-2 広報によって高い出席率が確保される

大平原の吹雪の中、100人以上の人々が勇敢にもワークショップにやってきました。出席者の数が多かった主な理由は、事項の緊迫性、すなわち町の中心部の存続というテーマそのものです。しかし第2の理由は、ワークショップの広報が徹底していたことでした。

住人による組織委員会は、地元の団体に連絡を取ったり、戸別にチラシを配ったり、メディアに宣伝を依頼したりしました。また、当日はワークショップに地元や州のメディアを招くなど、平均以上の努力がなされていました。

1-3 商店主を対象とした早朝ワークショップ
土曜日の午前中は、商店主にとっては市民ワークショップに参加する好適な時間とはいえません。店を開けなければならないからです。そのため、一般市民のための主なワークショップの前に、朝食込みの特別な早朝ワークショップを開きました。これは大成功でした。商業主たちは、仕事に行く前に自分たちのアイディアを表明する機会を得ることができ、それをその場でコ・デザインのアーティストによって絵にしてもらうことができました。
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(イラスト)ワークショップ画。(ソース:アルバータ州ハイリバー)

1-4 ワークショップの絵を分類するのにチェック表を使用する
ハイリバーのワークショップの絵を見ていると、同じテーマやモチーフが幾つもの絵に繰り返し現れることが分かりました。例えば、多くの絵に西部のテーマやレンガの舗装が描かれていました。錬鉄のベンチも幾つもの絵に登場しました。

こうした共通の特徴がどれくらい人気があるのかを知るために、チェック表が作られました。表の左端には、すべての絵のタイトルを記入しました。上端には多くの絵に繰り返し現れた特徴を記入しました。木や潅木、昔風の街灯、二階部分の利用などです。これらの特徴が絵の中に現れるたびにチェック表に印を入れていきました。その結果、どの特徴が人気があるのか一目で分かるようになりました。

1-5 新しい自己イメージの結果

(第1段落)コミュニティーの人々はワークショップ画を驚くべき合意をもって受け入れました。作画ワークショップと、その後で行われた一般公開による評価ワークショップによって、住人たちは共通の目標を得た感覚を持つことができました。

(第2段落)他の多くの場合と同様に、ワークショップは始まりの点として、すなわち開発計画に対する態度の変化として機能することができました。ハイリバーは現在、ワークショップ画を現実のものにするために大いに努力しているところです。
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(イラスト)ハイリバーのワークショップ画。
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(表)活動のチェック表の例
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by ammolitering7 | 2013-06-22 03:42 | 「コ・デザインの手法」

第11章 (イラスト込み)

第11章 都市部のデザイン

1、都市部のデザインに町全体が参加する:1981年アルバータ州カルガリー市中心地の川岸
1-1 川岸改善のためのデザインに子供たちが参加する

カルガリー市内の川岸地区は、人口が密集した中心地の北側を流れるボウ川に沿って、およそ14区画に渡って続いています。ここは商業の中心地に近い大きなレクレーション地域であるため、中心地で働く人々や都市部のコミュニティーの住民たちが頻繁に利用しています。

北米の他の多くの都市と同じく、カルガリー市は川に面した空き地を十分に利用しておらず、ボウ川の存在を完全に無視している場所もあります。この一連のワークショップは、川岸でのレクレーションの可能性を踏査することが目的でした。

1-2 調査の範囲
ワークショップを開催するという提案がなされたとき、カルガリー市教育委員会がワークショップに子供たちを参加させることに関心を示し、このプログラムを教科課程の一部として認可しました。ワークショップには市内の各地域から小学校3校、中学校1校、高等学校1校、合計5つの学校が参加しました。生徒は合計約150名でした。

ワークショップに先立って、コ・デザインのスタッフがそれぞれの学校を訪ね、「壁の街」エクササイズを行いました。また、学校ごとに川岸へ赴き、調査プログラムを実施しました。

1-3 コ・デザインのワークショップ
(第1段落)ワークショップは川岸に隣接した都市部の古い学校で行われました。生徒たちの他に、およそ75名の近隣の住民たちも参加しました。生徒たちは各学校から1名ずつ、合計5人ずつのグループに分けられました。

高校生は、年少の生徒たちの指南役および進行係を務め、年少の生徒たちはそれぞれに絵を描きました。コ・デザインのアーティストたちは大人の参加者たちと一緒に描画しました。

描画作業の間は、ギターに合わせてフォークソングを歌う歌手が小さな音量で演奏し、議論の流れを滑らかにしました。

(第2段落)まもなく、冬の景色や夏の景色、スケートやジョギング、サイクリング、散歩などをする人々、ピクニックテーブルや屋外のレストランで座っている人々、屋外のコンサートで踊っている人々などの絵が会場全体で現れ始めました。

バラエティー豊かな都市部でのレクレーションの様子を描いた鮮やかな絵がたくさんできあがりました。どれも、長年川と親しんで、心の中で川岸の可能性について考えていた人たちのアイディアの表れです。今、彼らはアーティストが自分のアイディアを本当の絵にしてくれる機会を得たのです。作画への熱意と高揚感が会場一杯に溢れていました。川岸を愛しているということの他に何ら共通する関心事のない大勢の人々の間に、意思の統一がありました。

(第3段落)絵と言葉によるアイディアの描写はレポートにまとめられ、その後カルガリー市が開発した川岸の遊歩道の計画指標として機能しました。ホテルとレストランを含む川岸のマーケットは現在建設中です。
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(イラスト)ワークショップ画。(ソース:アルバータ州カルガリー市、ダウンタウンの川岸の調査)
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by ammolitering7 | 2013-06-22 03:36 | 「コ・デザインの手法」

第10章 (イラスト込み)

第3部 コ・デザインのプロセスの実例
第10章 コミュニティー計画

1、千人以上の人々が関わったコミュニティー・レクレーション施設:1985年8月、BC州ビクトリア市エルク・ビーバー湖地域公園
多くの人々に利用されている公園の環境改善計画と意思決定にあたって、地域公園管理課が公園利用者に参加の機会を提供しました。

1-1 概略
エルク・ビーバー湖コ・デザイン・プロジェクトは、首都地域公園課とBC州ビクトリア大学との協力によって実現しました。目的は、エルク・ビーバー湖地域公園のハムスターリー海岸地域の改善にあたって、公園利用者、特別利益団体、および公園スタッフから意見を聞くことにありました。

調査には、一般市民のほかに、ビクトリア大学の環境研究プログラムで環境学を学ぶ25名の学生たちがユーザー・クライアントとして参加し、環境的な側面、そして市民参加に重点を置いた意思決定手法の研究を行いました。

1-2 調査の対象範囲
(第1段落)エルク・ビーバー湖はビクトリア市の中心部から車で15分以内のところにあるレクレーション地区であり、多くの人々に利用されています。ブッチャートガーデンのような人気の観光地や、BC州バンクーバー市やワシントン州アナコルテスへのフェリー乗り場にも近い場所です。

(第2段落)調査では、ピクニック用の建物、飲食物の売店、トイレ、アクティビティー・エリア、商業地区、管理用の建物、駐車場などを含む、エルク・ビーバー湖公園の改善のための建築および造園デザインを行いました。

デザインには、当時は公園内の柵に囲まれた部分に制限されていた身体障害者のための特別施設も含まれました。また、ボート類(モーターボート、帆船、カヌー等)利用者などの特別利用者団体のための施設も含まれました。

1-3 デザインの流れ

デザインはいずれも、以下のような共通の過程に沿ってなされました。

(1)実用的なプログラミングをする。
(2)特別なデザインを考慮する。
(3)内容積と外部物質の関係、建物面の調査、機能的関連性と隣接地、照明、および音響に関する部分をデザインする。
(4)コンセプトデザイン案を用意する。
(5)最初のデザイン基準にのっとった好ましいコンセプトデザインの分析と選択を行う。
(6)クライアントに見せるために、選択されたデザインをスケッチ画にする。

学生たちとのセミナーによって、現地の共感(エンパシー)、動き、景色、黄金率の比率、光、音、テクスチャー、アーチの内側とその上部にある看板の接合部、柱と梁の間の接合部など、デザインの幅広い側面を調査しました。調査の際に行われた議論はデザインの流れの中に組み込まれました。

1-4 コ・デザインのワークショップ
(第1段落)プログラムは、情報とフィードバックの継続的なソースとしてユーザー・クライアントからのインプットに全面的に依存しました。エルク・ビーバー湖プロジェクトは、一般市民と公園スタッフの参加によってインプットの幅を広げました。第一段階では、ワークショップを2回開きました。1回は環境学の学生用、もう1回は一般市民を対象としました。

(第2段落)最初のワークショップでは、ユーザー・クライアント役の学生たちは、コ・デザインのデザイナー役の建築学の学生たちと一緒に作業を行いました。ワークショップの後で、 ユーザー・クライアント役の学生たちは、環境保護あるいは公園の改善のためのアイディアを描写して書き出しました。コ・デザインのデザイナー役の建築学の学生たちは、これを受け取ってパーツのデザインをするときの指標として使いました。

(第3段落)一般市民のために開かれた次のワークショップは、環境学と建築学の学生たちが主導しました。現地での活動を書き出し、現地の視察も行った後で、環境学の学生たちは公園利用者から出された数百ものアイディアを基に議論を促し、描写された事柄を記録しました。建築学の学生たちは、参加者の指示にしたがって描画しました。

1-5 ワークショップの反応を査定する
(第1段落)ワークショップの翌週、環境学の学生たちは二つのワークショップイベントで得られた情報を要約しました。この第2段階では、現地の特別な特徴を考慮するため、そしてアイディアをもっと詳細に描写するために、クリストファー・アレキサンダーの著書「パタン・ランゲージ」を参照しました。そして、コ・デザインの指導スタッフは彼らに、建築学の学生たちがワークショップで描いた活動環境について、自分の好みを詳しく描写するように指示しました。

(第2段落)一方で、建築学の学生たちは実用的なプログラミングの段階を開始しました。これには以下のようなものが含まれます。

(1)現地の査定と機能的な関連性の予備的な図(気泡型ダイヤグラム、関係のマトリックス、その他のシステム)
(2)パーツの予備的なデザイン。それぞれの案に構想計画を伴った詳細な関係図をつける
(3)身体障害のある利用者のための環境やピクニックをする人のための環境など、それぞれのパーツのための予備的なデザイン

(第3段落)最初の週には、建築および環境の分野においてなされる仕事の流れを補足するために、様々な議論がなされました。たとえば、ビクトリア市公園管理課が行った、意思決定と市民参加の手法の調査では、手順計画に関する議論が行われました。管理課の担当者が、地域の公園の管理や融資と予算のための手順について、学生たちに講義をしました。

1-6 パーツをデザインする
第2週は、主に第3段階、つまりパーツのデザインに集中しました。まず、建築学の学生たちがユーザー・クライアントと公園スタッフにパーツのための予備デザインを提示しました。パブ・レストラン、駐車場兼ウィンドサーフィンの準備のための場所、レンタルスペースのある一般用のドックなどのデザインです。

予備デザイン画には、遠近図、設計図、断面図、照明の調査、建築的な細部の調査などが含まれます。ユーザー・クライアントと公園スタッフは、建築学の学生たちによるデザインが利用者の期待に沿うように、最終的な意見を述べ、更なるアイディアを提案した後、優先するアイディアの選択を行いました。

1-7 参加者たちが自分たちで出したアイディアに否定的な反応を示す

(第1段落)この段階で、ユーザー・クライアントは自分たちのアイディアに対して非常に否定的な反応を示しました。彼らは、自分たちの出したアイディアが壮大すぎて、現地の自然な性質を壊しているということに気づいたのです。過剰開発のアイディアが建築家あるいは開発業者の中の何らかの匿名の力ではなく、自分たち自身から発していたことをユーザー・クライアントたちは知ることになりました。

それから彼らは自分たちのもともとの考えを翻し、公園の自然な環境が主体で、商業的な側面はあくまで従属的であるべきだ、ということで同意しました。彼らは、建築学の学生たちが描いてくれた自分たちのアイディアの多くを放棄し、新しい期待を持って対話をやり直しました。

(第2段落)これは、市民参加の手法がうまくいかなかったということでしょうか?そうではありません。普通の開発計画では、模型と詳細なプレゼンテーションを添えた、時間とお金をかけて作った洗練された提案書が作られますが、それでもアイディアは退けられるものです。今回、ユーザー・クライアントが公園の美を守ることの大切さに自ら気づく機会が得られたので、ワークショップは大成功でした。

開発の規模を縮小されることになり、クライアントもデザイナーも、開発に対する新しい理解と繊細さを共有することになりました。結果として以後のワークショップは、現存する自然の性質を引き立てることと、飲食施設と情報センターのためのさらに改善されたデザインを作ることという、2点に集中することになりました。

この時点で建築学の学生たちは、ユーザー・クライアントによる最終的な認可のために、様々なパーツのデザインを提示しました。ユーザー・クライアントは建築家役の学生たちに、作業を続けてスケッチ・デザインの段階に入るように、そしてパーツのデザインを総合的なコンセプトデザインにまとめるように指示しました。

1-8 最終的なデザイン
(第1段落)最後の第3週目には、ユーザー・クライアントからコメントを集めるための一般展示の準備として、最終的に選ばれた案を建築家役の学生たちが入念なスケッチの形にしました。

(第2段落)結果は非常に肯定的でした。それぞれのユーザーは、デザイナーの描画能力を通してプロジェクトの中で特定のパーツを作成することができ、それを別のパーツについて調べていた他のユーザーの結果と比較することができ、さらに、パーツがどのように現地の包括的な計画に適合するかを見ることができました。

最後には、アイディアのすべてが利用できるわけではなく、すべてが適切なわけでもありませんでした。しかし、ユーザーは計画に貢献する機会を得て、自分のアイディアが適切かどうかを自ら判断する機会を得ました。

公園スタッフと地域の公園管理課を含むユーザー・クライアントは、公園の可能性についての高揚感を表明し、「市民参加エクササイズは開発の問題点に対する最も実用的な解決策であり、適切な意思決定のための優れた手段だった」という感想を述べました。ワークショップの結果は行政の基本計画に取り込まれました。
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(イラスト)「パーツのデザイン」を描いた例。
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by ammolitering7 | 2013-06-22 03:34 | 「コ・デザインの手法」

第9章 (イラスト込み)

第9章 色付けする

1、コ・デザインの絵における色の使い方

(第1段落)描画の最後の段階では、アイディアや提案の出されるスピードはずっと遅くなります。グループの人々はとても楽しげで、自分たちの作りだした絵を誇らしげにしています。スケッチはほとんど完成しているように見えます。

(第2段落)ここから本当に楽しくなります。色を付ける時間です!この段階では、すべての参加者が自分の好きな色付きマーカーを選んで、絵に確かな自分の印を加えます。そうすることで、絵を本当に自分のものにすることができるのです。

1-1 色付けすることの利点
大抵の場合、特に大切な情報は白黒の線画の中に含まれていますが、絵に色付けすることには多くの大切な理由があります。

(1)色はスケッチに生命感と動きを加えます。明るい目立つ色は、何ヶ月も経ってから見てもワークショップの興奮を伝えます。

(2)色は、参加者が望む雰囲気に関して大切な情報を伝えます。壁は明るい色に塗るのか、控えめなパステルカラーに仕上げるのか?人々は寛げるような静かで温かな空間が欲しいのか、それともエキサイティングで刺激的な環境を望んでいるのか?色は、これらの問いに対する答えを得るための助けになります。

(3)ワークショップ参加者に自らマーカーを持って色付けするように促すことで、自分たちは本当にスケッチの作成者なのだという感覚を持ってもらうことができます。

(4)色は、ごちゃごちゃした絵を見やすくします。そして、コ・デザインの絵はたいていごちゃごちゃしているのです!

単に青い空を加えることによって、デザインされた建物の輪郭をはっきりさせ、その高さを明らかにする助けにもなります。例えば、レンガの舗装に色を塗ると、特にそれが垂直な壁とぶつかるところでは、そうしなければはっきりそれと分からない表面を明らかにすることができます。

1-2 色付けするタイミング
色付けは描画の最後に行うのが最も効果的です。スケッチの初めの頃は、黒いマーカーを使って提案されるアイディアを描き込むだけで精一杯です。色はとても大切ですが、あまり早い段階で使うとアイディアの流れを複雑にするだけで、グループの人々のアイディアを素早くスケッチするというアーティストの仕事の邪魔になります。スケッチがほぼ完成してグループからのアイディアが出なくなるまで、色付けはしないでおきます。

1-3 画材
(第1段落)長い間の経験と多くの試行錯誤から、私たちは色付けに最適な画材は油性のフェルトペンだという結論に達しました。チョークパステルでも塗れないことはなく、横にして使えば広い部分を素早く塗ることができますが、マーカーの持つ力強さに欠けます。色鉛筆は細すぎるし、弱々しく見えます。先の太いマーカーが一番です。

(第2段落)マーカーは、色の選択が大切です。紙は、マーカーがにじまず、くっきりと鮮やかな色になるように、やや高価ですが特別なベラム紙を使います。ワークショップで使うにはA2サイズが適切です。できあがったスケッチの横に評価表とPEP図を付けるのにぴったりの大きさです。

描画の前にスチレンボードの上に用紙を貼り付けておきます。なお、時間が経つと色が褪せてくることを覚えておいてください。これは絵をレポートの形で記録するもう一つの理由です。

1-4 基本の色揃え
(第1段落)実際に必要な色はそれほど多くありません。空、水、レンガ、木材、植生、舗装などを描くには、以下の10色で十分です。人々の衣服(どこにでもあるブルージーンズを含む)、車、標識などは、青、赤、黄色の三原色を使って描けます。夜の景色を描く場合でさえ、これらの基本色以上は必要ありません。

(第2段落)ワークショップのときには以下の色を揃えておきます。

 (用途)
 (レイアウト、線画、影、夜景)
 (標識、衣服)
濃い青 (水、ジーンズ、暗い空)
薄い青 (空、水)
濃い緑 (植生、衣服)
薄い緑 (植生、衣服)
薄い黄色 (標識、照明(夜)、衣服、木の壁板)
茶色 (レンガの壁と舗装、濃い色の木材)
薄い茶色 (薄い色の木材、壁の表面、床)
薄い灰色 (影、舗装、他の色と混ぜる)

ワークショップでは、それぞれのグループにあらかじめこれらの基本色を渡しておきます。マーカーは密閉できるビニール袋に入れて整理しておきます。こうしておけば誤って衣服や家具にマーカーがついてしまうことを防げるほか、ワークショップとワークショップの間にマーカーのインクが乾いてしまう心配もなくなります。

(第3段落)ときにはグループの中の数人が同時に同じ色を使いたがる場合もあり、特別な色が必要なデザインもあります。皆が使えるように、中央にいろいろな色の予備のマーカーを用意しておくと良いでしょう。

1-5 マーカーで色付けするときの便利なテクニック

(第1段落)色づけのとき、若い人も年配の人も、皆心から楽しそうに熱心に、塗り絵のように塗っているのを見るのは素晴らしいものです。技術の足りない分は熱気でカバーしているのです!

(第2段落)しかし、大人は往々にしてグループ全体で作った絵に色付けし始めるのを躊躇するものです。自分が色付けすることで絵が駄目になるのではないかと恐れていたり、色塗りは子供のすることだと思っていたりするからです。そのため、アーティストはまず自分で少し塗ってみて、人々の動きを促す必要があります。

(第3段落)色付けを始める前に、グループの人々がスケッチは既に十分に出来上がったと思っていることを確認します。これはなかなか難しいことです。人々はちょっとした改良や変更を思いついて、いつまでも提案を続けがちだからです。

まず参加者に、これでだいたい完成したかと聞いてみます。そうだという答えが返ってくれば、色付けを提案します。どちらにしても、色付けの前の描画は30分程度に留めます。

(第4段落)アーティストは、絵の中で特徴の大きな部分、特に植生や窓など、素人にはうまく描くのが難しい部分から色付けを始めます。マーカーは大胆に使います。簡素を心がけ、絵全体を塗ろうとしないことです。スケッチ全体の4分の1ほど塗れば十分です。折を見て参加者にマーカーを渡し、絵は皆が色付けできるように椅子の上に置いて、人々に自分で少々の色付けをするように促します!

10~15分ほどしたら、熱心に塗っている途中であっても切り上げてもらい、サインをしてもらってワークショップの他の参加者も見ることができるように展示します。

(第5段落)アーティストの仕事はこれで終わりです。コーヒー片手に休憩するのもいいし、新しい絵を始めるのもいいでしょう!

2、夜景を描く
2-1 夜景の必要性

コ・デザインの絵の90%は昼間の様子ですが、ときには夜景を描くように頼まれることもあります。建築予定地の夜の様子は忘れられがちなものですが、夜の活動はプロジェクトデザインにおいて非常に重要な要素です。映画館や劇場のある地域、商店街、屋外のカフェ、ショッピングモールなどは、暗くなってから活気が出ることも多いものです。
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(イラスト)夜景の中の人ごみを描いたコ・デザインのアーティストの練習画。
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(イラスト)夜景を描いたワークショップ画。(ソース:アルバータ州ハイリバー)

2-2 昼の景色を夜景に変える
(第1段落)夜景は、前述のデザイン対話を使って、現地の昼間の様子を描くのと同じように描きます。描画のテーマとなっている活動は夜に行われていることを心に留めて、参加者も夜景を描いていることを忘れないように注意します。

(第2段落)絵がほぼできあがって、主なアイディアがすべて描きこまれたら、色付きのマーカーと先の太い黒のマーカーを使って、本当の夜の様子に仕上げます。このとき、人工的な照明が景色にどのように影響しているかを心に留めておきます。街灯、商店のウィンドウ、車のヘッドライトなどが主な光源です。太陽ではありません。

(第3段落)このためには、昼間を描くのとは異なるマーカーの使い方が必要です。

2-3 夜景を描くためのマーカーのテクニック
(第1段落)昼の景色と夜景の間の最も明らかな違いは暗い空です。単に空を黒く塗るだけでも、夜景の印象が得られます。

(第2段落)しかし、昼と夜では物の見え方に多くの違いがあります。光源が違うので、景色の中の物は夜景ではかなり違って見えます。以下は、コ・デザインの絵に登場する典型的なものと、それを夜景として効果的に、かつ素早く描くためのヒントです。

テクニックの例はカラーイラストを参照してください。参加者が夜景の色付けをするときは、アーティストの助けが必要な場合もあります。

アイテム (夜景での描き方)

 (黒または濃い青。遠くの町並みのスカイラインを形成する建物群を描くときは、黄色に塗った窓をいくつか加える。)

植生 (黄緑色。近くの街灯に主に横または下から照らされている。)

商店のウィンドウ (商店のショーウィンドウは、明るく照らされているように描く。小売店エリアの場合、これが一番目立つ特徴である。光に照らされた看板やひさしは、通りに華やかな印象を与える。ショーウィンドウにはところどころ色を加える。ウィンドウの前に立つ人物は、ほぼ真っ黒なシルエットにする。店舗はウィンドウ以外の部分は暗い色にする。)

 (車の下部と中の人物は暗く、ほとんど黒にする。車で目立つのはヘッドライトとテールライトである。ヘッドライトはとても大きく見え、光源の周りに黄色い光の輪ができる。雨が降っていないときでも、ヘッドライトとテールライトは舗装の上に反射した光の帯を照らし出すので、まっすぐな線で塗る。)

街灯 (車のヘッドライトと同様に、街灯も周りに驚くほど大きな光の輪を作るので、それを黄色のマーカーで描く。街灯の近くの建物の表面、道の舗装、植生などは、くっきりと描いて色付けする。)

水の上の光
 (港や湖など水の夜景を描くときは、遠くの岸の明るい看板や街灯から反射した水平な光の帯の他は黒く見えることに留意する。)

2-4 夜に現地スケッチをするときの注意点

(第1段落)ワークショップの対象が夜間の活動を含む可能性があるなら、あらかじめ夜に現地を訪れます。昼間とはずいぶん違って見えることに驚くことでしょう!ワークショップでの提案次第では、いろいろな新しい夜間の様子が描かれることになるかもしれません。しかし、景色の一部は変化しません。遠くのスカイラインのシルエット、目立つ建物などは、大抵はそのままです。そのため、そのような要素が夜はどう見えるかに注目する必要があります。
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(イラスト)夜景を描いたワークショップ画。(ソース:アルバータ州カルガリー市シビックセンター)

(第2段落)夜間スケッチには特有の問題があります。路地に立っているとスケッチブックが見えにくいし、光の様子を描くために色付きマーカーを使うのも、普通はほぼ無理です。そのため、現地では絵を完成させようとしないことです。その代わり、光の様子と主な特徴について簡単なメモを取ります。これは後でワークショップでの描画のときに使います。
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(イラスト)夜景を描いたワークショップ画。(ソース:BC州ケスネル)
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(イラスト)色は人ごみのところどころにつける。衣服に青と赤が多いことに注目。
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(イラスト)色づけは最初の白黒の絵ができてから行う。
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(イラスト)色は資材を示し、ガラス張りのエリアを示している。
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(イラスト)参加者が色付けした絵。
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(イラスト)黄色は資材および光源を示している。
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(イラスト)人々と車は光源を背景に影になった輪郭で描かれている。
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(イラスト)夜景に輝きを加えるため、色付けした部分の横に白い部分を残す。
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(イラスト)コンセプトプランの中で、色で歩行者の動きをハイライトしている。
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(イラスト)色とりどりの人々が建築図面に人間らしさを加える。
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(イラスト)このコンセプト画の中で、色は参加者たちのアイディアを経験として想像する助けになっている。
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by ammolitering7 | 2013-06-22 03:31 | 「コ・デザインの手法」

第8章ー2 (イラスト込み)

3-4 前景の植生
前景にも植生の要素を加えることで、奥行きの感覚を強めることができます。絵の中に誘い込むような葉の形を使って、特定の植生の種類を示すこともできます。葉の形をくっきりさせるために光と影の関係を使います。

絵の一番上に木の枝を配置すること、あるいは下端に椰子の葉を大きく入れることで、見る人を絵に引き込みます。これによって絵に縁取りを与えたり、バランスの取れていない絵にバランスを与えたりすることができます。
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(イラスト)前景の植生は見る人を絵に引き込む。
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(イラスト)絵に縁取りするために植生を使う。
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(イラスト)前景の植生が構図上の要素になっている。
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(イラスト)ワークショップの絵の中に様々な植生を描く。(ソース:カルガリー市、ランジェヴィン・コミュニティースクールの温室の調査)

4、ガラスと水
コ・デザインのアーティストが受ける最も難しいリクエストの一つは、ちょっと聞くと簡単に聞こえる「あの壁に窓をたくさん描いてください」、あるいは「食事をするところがありますが、ガラスの向こう側です」などです。もっと難しいのは、噴水、光を反射したプール、または波止場の景色です。これらの対象を少し観察すると、素早くそれらしく描く助けになります。
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(イラスト)遠くの窓は黒い四角として描かれている。

4-1 ガラス
ガラスを見ると、反射性と透明性という捉えどころのない性質を持っているのが分かります。ガラスは、商店やオフィスの窓、温室、中庭など、現代の建築のいたるところにあります。外からは黒または黒に近く見えるので、そのように描くのも効果的です。

ガラス板は、最初の2~3階までは周りの物や色を反射します。これ以上は空の様子を反射します。この方法は、中くらいの距離および背景の窓を描くときに特に効果的です。近くにある窓はもっと詳しく、透明性と反射性の両方を表して描きます。これはたとえば、窓の中のカーテンやブラインドが見えて、窓枠や窓の縦仕切りが半分開いたカーテンの上に影を落としている、という様子です。室内は、窓に近いランプシェードなど以外はほとんど真っ黒になります。
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(イラスト)窓枠と窓の縦仕切りが背後のカーテンに影を落とし、はっきりとした日光の様子を表している。カーテンのひだにも影が落ちている。
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(イラスト)窓の細部:
A.窓の縦仕切りが背後のカーテンに影を落としている。
B.C.ベネチア式ブラインドの特徴的なジグザグのパターン。
D.近くの窓の向こうに人や物の形が見える。

4-2 水
(第1段落)水の反射的な性質は、2、3の基本的な特徴をグラフィック的に使うことで描くことができます。まず、水はめったに完璧な反射を作り出すことはありません。波の動きのため、壊れた鏡がつながったような表面をしているからです。反射したものの歪みは、波の性質によります。風の強い日には波が高いため粗い反射になり、風の穏やかな日には丸みを帯びた単純な形の黒っぽい塊になったりします。

暗い色のものは水の上に点在する暗い色の塊として反射し、明るい色のものは同じ色の反射を作ります。また、海岸部分は隣接する水の上に濃い色の帯を作るのが普通です。屋内プールや湖などの水の広がりを見渡すと、向こうの景色が鏡のように、ただ、もちろん逆さまで映ります。反射した景色もまた、同じ遠近法に従うことを覚えておいてください。
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(イラスト)反射は水の表面の様子を明らかにする:
水の表面の一部を描くだけでよい。


(第2段落)流れる水と噴水は、もはや反射することさえしないほどに水の表面を乱します。噴水から噴出す水は空気をたくさん含んでいるので、静かな水に特徴的な青っぽい色もありません。水を噴出している噴水を描くときは、このしぶきを描くために白を多用します。
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(イラスト)水を描く:
A.水の上の反射のトーンは、反射されるものの性質に左右される。
B.静かな水。
C.風に揺れる水。

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(イラスト)噴水と滝:
流れ落ちる水は、縦の線を並べて素早く描くことができる。噴水には白を多用する。水面は乱れている。


5、インテリア要素を立方体を使って描く
遠近法に立方体を使うのは、階段や家具などのインテリアの要素を正しく配置するための便利なテクニックです。そのような立方体は、壁、天井、床を定めるのに使ったのと同じ遠近法の基準点を使って定められます。

基本になる立方体を描いたら、それを望む形に「彫る」ことで形を変えることができます。彫刻家が石の中に隠れた形を想像して石の塊を彫るようなものです。望む大きさを得るために立方体を加えることもできます。この描画テクニックをしばらく練習し、さらに現実のインテリア要素を注意深く観察することにより、やがてそのようなテクニックに頼る必要がなくなり、何も見ないでも同じように描けるようになるでしょう。
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(イラスト)立方体を使って家具を描く:
A.二つの立方体が縦に重なり、大きさの比較のために横に人物が立っている。これが椅子の基になる。
B.同様に、立方体を二つ並べてソファが作られる。

5-1 家具
コ・デザインの絵は人物で始まり、それが環境に包まれていきます。例えば、屋外のカフェで食べている様子が考慮されているなら、まず座っている人を描き、それから椅子を描きます。人物は椅子と屋外のテーブルの絵に正しい比率を提供します。テーブルは一つの大きな立方体の中に描くことができます。実物らしいテーブルにするために、テーブルの表面を見せすぎるというよくある失敗を避けるようにします。

椅子の形は縦に二つ重ねた立方体から描けます。また、横に二つ並べた立方体からソファや公園のベンチを描くことができます。

5-2 階段
(第1段落)完全な遠近法の正確性を求めるのではなく、コ・デザインの絵では特定の環境要素の主な特徴を捉えようとします。階段を細かく描こうとするとかなりの時間がかかり、デザイン討論の流れを妨げます。そのため、階段を素早く描く方法を使わなくてはなりません。階段の斜めになった平面は立方体のシステムを使って素早く描くことができます。

階段の段の相対的な大きさを決めるために、比較用の人物を描きます。階段の枠組みを定め、個々の段をはっきりさせるために、太いマーカーを使います。段が高くなるにつれて、踏み板の見えている部分がどんどん小さくなっていることに注目してください。

二つに分かれた階段の間の踊り場は、ちょうど比較用の人物の目の高さにあります。参加者たちが望むなら、手すりをつけます。隙間の多い鉄製の手すり、木の手すり、あるいは石の手すりなどの種類があります。
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(イラスト)立方体の集まりから階段を作る:
A.人物および目の高さの線は大きさの目安となる。
B.まず、階段部分と踊り場を塊として描く。個々の段の側面を決めるために、立方体の側面をさらに分割する。
C.段と踏み板を描き加える。
D.階段の上に人々を描く。

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(イラスト)景色の中の要素を立方体を使って描く:
A.景色の中の大切な要素、この場合は階段とベンチは、想像上の立方体の中に作られる。立方体そのものは、人物を基準として遠近法の中に置かれる。
B.踏み板、手すり柱、手すりを加えて景色が完成する。階段は細部を加えるのではなく背景との対比によってはっきり表されている。

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(イラスト)踏み板の下に落ちた影のある階段の側桁を描くことによって、段の間に隙間のある階段であることを示している。段が目の高さに近付くにつれて踏み板の見える部分が小さくなっている。

(第2段落)螺旋階段は、市民ワークショップでよくリクエストされるものの一つです。しなやかな線がロマンチックな雰囲気を醸し出すからでしょう。比較用の人物の目の高さを半分の高さとして使って、幅と高さの比率が1対1.5の長方形を描きます。これが階段を入れるための筒のもとになります。

筒の上と下の楕円は階段が通り抜ける床と天井の開口部を示します。階段の側桁の曲線は、一本の筆遣いで描きます。これは上から3分の1のところで長方形の一面に触れ、反対側は下から3分の1のところで同様に触れます。手すりの曲線はこれをそのまま辿ります。

内側の側桁は、中央の支柱の周りのすぐそばを回ります。ここでも、階段を上ったり下りたりしている人物が階段の相対的な大きさを知る目安になります。最後に、階段の下の部分や手すりなど細部を加えます。
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(イラスト)螺旋階段を描く:
A.筒の輪郭は人物の目の高さの2倍。
B.上と下に楕円を加える。
C.外側の側桁を示すため、筒の中に曲線を描く。
D.内側の側桁は中央の主軸の周りを間近に回る。手すりは外側の側桁と並行している。

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(イラスト)円形の階段:
A.螺旋階段の中点は目の高さにある。
B.同様に、曲がった階段の踊り場も目の高さにある。

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(イラスト)ワークショップで素早く描かれた螺旋階段:
曲線の下の部分には黒く影が落ちている。(カルガリー市、シビックセンター)


5-3 遠近法の中の円
遠近法理論の基本的な概念では、円は楕円として表されます。前の例では、階段を含む筒は床と天井の丸い開口部に対応して両端に楕円形の開口部がありました。丸いプランター、噴水の土台、カフェのパラソルも同様にして描くことができます。
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(イラスト)遠近法の中の円:
A.様々な角度の楕円は遠近法の中の円を表している。
B.楕円はパティオのパラソルの基本である。テーブルとパラソルの大体の大きさに注意。
C.パティオ家具は一群の楕円で構成されている。
D.脚、細部、影を入れる。

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(イラスト)コ・デザインのワークショップでは屋外のテラスの景色がリクエストされることが多い。カフェのパラソルが幾つかあると、それらしい雰囲気が出る。

6、資材の表現
(第1段落)ワークショップの絵では、様々な資材を描き表す能力も大切です。資材とそのテクスチャーを描き出すことは、絵に面白さを加えるだけでなく、考慮されている環境に関する情報をより豊かにします。つまり、使用する資材に関して視覚的なメモを入れることになります。

他の特徴を描くのと同じように、資材も素早く、簡潔かつ直接的に描きます。例えば、屋内庭園で目立つところに作られるレンガの壁は、レンガを一つ一つ描くには及びません。大体の大きさと方向を示すだけで十分です。前景の一部を細かく描き、壁の他の部分は水平に走る線とレンガのような赤色を塗って表します。

(第2段落)光が当たっている方向を意識的に決めることで、光のあたっているところを明るくし、影の部分は濃く描くことができます。光と影のバリエーションは、表面のテクスチャーを生き生きとさせます。テクスチャーの描き方に関して決まったルールはなく、現実の例を観察して様子を感じることにかかっています。主な指針は、コ・デザインのアーティストは簡素さを旨とするということです。

(イラスト)資材を表す:
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ひだのついた金属

舗装用の石板

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杉のこけら板
木の壁板
敷石

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スペイン風の素焼きの屋根瓦
コンクリートまたは化粧しっくい
玉石

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アスファルトのこけら板
レンガ
はめ込み式の舗装材

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(イラスト)様々な資材とテクスチャーの現地スケッチ。

7、車両
(第1段落)車を描くときは、まず指標として人物を描きます。乗用車の屋根は胸の高さ、車輪のホイールハウジングの上端は、この半分の高さになります。前輪は脚室の中に納まり、後輪との間には車輪3つ分の間隔があります。ドアのパネルの下は車輪の中心、あるいは全体の高さのおよそ3分の1になります。

窓枠は上から3分の1です。フードとトランクは窓枠の線から曲線で繋がり、車輪の前後に車輪一つ分のところまで伸びています。屋根枠の後ろの柱は後輪の真上、そして屋根枠の前の柱は前輪の中心から45度の角度で描きます。

(第2段落)遠近法の中の乗用車には、同じ基本的なプロポーションが当てはまります。ここでも人物から始めます。上は胸の高さ、窓枠は上から3分の1の高さです。車輪の上のホイールハウジングを滑らかな曲線で描きます。ドアのパネルの下は車輪の中心の高さです。屋根枠の後ろの柱は、一番後ろのものは45度くらい、前に近いものはほぼ垂直に描きます。

車の内部、下部、脚室を暗くします。車輪には少し立体感を加えます。この時点で、バンパー、ドアとドアの間の線、ライトなど細部を加えても良いでしょう。
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(イラスト)立面図で乗用車を描く:
A.屋根の線を胸の高さで描く。ホイールハウジングはその半分の高さ、そして前後の車輪は車輪3つ分離れている。
B.窓枠は屋根から3分の1の高さに描く。車体の下部の線は車輪の真ん中の高さ。
C.屋根枠の柱に角度をつける。後ろの枠柱は後輪の上、前の枠柱は前の枠柱から45度の角度で描く。
D.内部の人、ドア、フェンダーを描く。

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(イラスト)前から見た立面図を描く:
A.車の屋根を胸の高さで描く。幅は高さのおよそ1と4分の1倍。
B.車輪は外側の縁に描き、屋根枠の柱は上に向かって内側に傾く。(屋根、窓枠、フェンダーの上部)


(第3段落)車をそれらしく描くには、車輪を正しい位置に描くことが大切です。遠近法における円の基本は楕円であり、これが車輪を描くときの基本です。楕円の長い主軸は、遠近法の中で描かれた車軸に対して90度の角度になります。

(第4段落)乗用車や他の車両を描くときは、簡素を心がけます。屋根の線、ホイールハウジング、車輪、窓枠の線など、車らしく見せるための鍵となるいくつかの線を描くだけで十分な場合が多いのです。同様に、駐車場などの複雑な景色も、あまり熱心に描きこむ必要はありません。むしろ、前景に詳しく描いた車を一台置いて、その向こうの車は屋根の形やミラー、暗い内部などで車が並んでいる様子を思わせるように描きます。
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(イラスト)遠近法を使って車を描く:
A.屋根を胸の高さで描き、上から3分の1の高さに窓枠の線を描く。
B.車輪の上のホイールハウジングを曲線で描き、車体の下部を車輪の中心の高さに描く。
C.屋根枠の遠くの柱を約45度の角度で描き、近くのものはほぼ直角に描く。
D.内部、下部、向こう側の車輪に影をつける。

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(イラスト)車輪は楕円として描く。車軸の線に対して長い主軸が正しい角度になるようにする。
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(イラスト)形とプロポーションを知るために車をスケッチし、ワークショップで描くために線を単純化する。
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(イラスト)見慣れた物は最も難しい対象である。車を観察し、車輪の上の曲線、屋根、暗い内部、暗い下部など、重要な特徴を想像させるために可能な限り簡略化する方法を探す。
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(イラスト)一定した目の高さを保ち、バイク、キャンピングカー、ジープなど様々な車両の大きさを定めるために、人物を使う。
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(イラスト)人物を基準として小型トラックとバンが描かれている。車両が正しく道路上にある様子を表すために影が使われていることに注意。
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(イラスト)タンカーやセミトレーラーのような大きなトラックには独特の特徴がある。人物との大きさの対比に注意。
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(イラスト)走行中の車両と駐車中の車両を人物の目の高さと関連付けて描く。
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(イラスト)道の景色を描く:
A.最初の車を屋根やホイールハウジングの曲線、前のバンパー、暗い内部などの主な特徴を捉えて胸の高さに描く。
B.背後の車両は、屋根の形、暗い内部とヘッドライトの塊として素早く描く。
C.街灯、木、建物、舗装などを簡素に示して景色を完成させる。

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(イラスト)自転車は簡単なフレームで繋がった二つの楕円として描く。車輪のスポークを描く必要はない。
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(イラスト)ワークショップで描かれた車と自転車。(ソース:アルバータ州ハイリバー)
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(イラスト)船も車両のグラフィック語彙の一部である。手漕ぎボート、モーターボート、帆船は、それぞれ独特の形をしている。
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(イラスト)波止場の景色は、部分を調べていくと思ったより難しくはない。船体と帆はほとんどいつも白である。マストの垂直の線は暗い水面の水平な平面と対照的である。
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(イラスト)船体の複雑な曲線の形を描くときの助けとして、想像上の直線で囲まれた箱を使う。
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(イラスト)マリーナの景色:
A.詳しく描いた前景の船から始める。
B.他の船は、マスト、索具、暗い窓、そして明るい船体の形の塊として描く。

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by ammolitering7 | 2013-06-21 14:10 | 「コ・デザインの手法」

第8章ー1 (イラスト込み)

第8章 グラフィックな語彙

1、グラフィックな語彙を広げる

(第1段落)コ・デザインのワークショップでは、アーティストはいつ何を描いてくれと言われるか分かりません。一度も見たことのないようなものでも、参加者に満足してもらうためにそれらしいものを描き出さねばなりません。グランドピアノ、帆船、サーカスの象、螺旋階段、バロック式の噴水なども、普通の住宅地の道の様子と同じくらい気楽にリクエストされます。

そのためアーティストは、常に身の回りのものに注意を払い、それをすばやくスケッチするにはどうしたらいいかと考えておく必要があります。指示に従ってどんなものでも描くというのは、アーティストにとって大変な仕事です。そのためにグラフィックな語彙を広げておくと便利です。

これは記憶から簡単に引き出せる頭の中の倉庫のようなもので、ワークショップの場でグループの人々と一緒に遠近法を使った絵を描いているときに、そこから取り出して使うことができます。

(第2段落)以下に、ワークショップで頻繁にリクエストされるためアーティストの心の中に備えておいたほうが良いものの一部を紹介します。人々、車、木々、屋外の家具、ガラス、水、様々な資材などです。

ワークショップ参加者が特定の環境的な要素をリクエストしたら、アーティストはそれをすばやくそれらしい絵にしなければなりません。これまでの経験から、ある種のスケッチ法は他のものより手早くできて、しかもそれらしく見えることが分かりました。

基本的には、簡素さが大切なので、参加者が視覚化したいと望むものを最低限の数の線で表す努力をします。もっと落ち着いて整った環境の中で一連の練習をしておくことで、他の人たちのために描くことに一層の自信が持てます。

2、人物を描く
(第1段落)前述のように、コ・デザインの絵は常に人物から始まります。そのため、アーティストはある程度の自信を持って人物をそれらしく描くことができなければなりません。絵の最初の2、3本の線は、参加者がこれからの過程に信頼を置くことができるように、いかにも自信あり気に描かなければなりません。

人物は手が込んでいる必要はありませんが、ある特徴を備えていなければなりません。例えば、フィギュアスケートをしている、自転車に乗っている、公園のベンチに座っている、カフェで食事をしているなど、グループの人々が考えている活動にいそしんでいるべきです。

このためには、絵の中で正しい比率を表すための幾つかの大切な基本ルールを初めとして、解剖学と基本的な体のプロポーションをある程度知っていることが必要です。

(第2段落)コ・デザインの絵にとって人物を描くことはとても大切なので、人間の体に関する観察をするためにスケッチすることから始めるのが良いでしょう。人物の姿を素早く捉えるためにスケッチブックを持ち歩き、グラフィックな語彙を広げ始めます。

(第3段落)最初の人物には、ごく簡素な表現が向いています。そうすれば参加者が自分の想像力で欠けている部分を補うことができるからです。コ・デザインの人物は、ほとんど漫画的ともいえる表現になります。あまり細かく注意深く描くと、絵が本来踏査すべき環境的な側面から参加者の注意をそらしてしまいます。人物は、参加者が絵の中の活動を自分の活動だと感じられるように、そして絵に比率の感覚を出すためにあります。
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(イラスト)人物の目の高さに基づいた体のプロポーション - 目の高さ、肩、ウエスト・肘、腰・手首、膝・足 - 目の高さ=頭8個分

2-1 体のプロポーション
(第1段落)人ごみをよく見ると、ある共通点があることに気づきます。それぞれの人物は部分(頭、肩、腕、手、胴回り、腰、膝、足)に分けられます。これらの各部分は、体全体に対して特定のバランスを持っています。プロポーションと呼ばれる対照の美です。

(第2段落)腰の重点が目と足の関係でどこにあるか、脚に対して膝の関節がどこにあるか、胴回りの線と、その上の肩との関係で、肘はどこにあるか、そして手首と腰の対応にも注目してください。これらの各部は、他の部分との特定の関係において位置しているため、アーティストはこれに基づいて想像し、様々な姿勢の人物を描くことができます。

2-2 頭
(第1段落)手をぐるっと回して丸や楕円を描けば、それが頭になります。髪の生え際のラインは、頭が上を向いているか下を向いているかを示します。頭が小さくなってしまったら、頭の線より上に髪を加えて修正します。頭が大きすぎるなら、生え際から内側に髪を加えて修正します。
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(イラスト)頭を描く:
A.髪の生え際の線と目は頭の向きを示す。
B.頭が小さすぎるなら、上に髪を加える。
C.頭が大きすぎるなら、生え際から内側に髪を加える。

(第2段落)男女の特徴の違いは明らかです。男性は通常、女性より丸くて顎が角ばった頭をしています。首は太くて、筋肉がついています。一方、女性の頭は普通、もっと楕円または卵型で、顎は尖り、細くて長い首をしています。こうした細かな違いは、絵の中で人物の特徴をはっきりさせます。

首を描くときは、人間はヘビでもコウノトリでもないことを覚えておきましょう。首を縦に太くまっすぐ描いたり、極端に細く描いたりするのは避けます。首が肩の上に繋がる緩やかな曲線を観察し、これを絵の中に描き出します。
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(イラスト)頭の特徴:
A.男性と女性の顔の違い・・・男性(角ばった顎と太い首)、女性(尖った顎と細い首)。
B.首の緩やかな曲線を観察する。コウノトリ、太すぎる。ヘビ、細すぎる。人間。


(第3段落)それらしく見える人物を描く鍵は、頭と首の関係にあります。頭は首の真上にあるのではなく、少し前に傾いています。肩の上の普通の状態の頭を見ると、頭の後ろはからだの中心とほぼ一致することが明らかになります。

高齢者の場合、頭は胸のほうに下がっていて、体の中心からずれています。顎の下の線は首のうなじより下です。また、首と肩が交わるところでは、首はいつも後ろより前が下がっています。

(第4段落)人物を描くときには、顔の主なパーツの大体の位置を定めるプロポーションのシステムが役立ちます。このシステムでは、顔をまず目の位置で半分にし、それから口の場所を決めるために4分の1にします。耳の上端はまぶたの端と同じ線上にあり、顎の下は首と背骨が交わる点と同じ線上にあります。
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(イラスト)頭と首の関係:
A.大人の姿勢と老人の前かがみな姿勢。
B.顎、首、肩の基本的な関係。
C.顔の主な部分を位置づける。

顎の下端は首のうなじより低い。
首の付け根は後ろより前が低い。
耳の上端は目と同じ高さ。
顎の下端は首の付け根と同じ高さ。


2-3 腕と手
(第1段落)腕もまた簡略化されます。この描き方を身につけると、輪郭の基本的な曲線は2本のすばやい線で描くことができます。普通は衣服を着ているため、腕は手ほど問題ではありません。むき出しの腕のしわを描くより衣服のしわを描くほうが簡単だからです。

(第2段落)手は人物の小さな部分ではありますが、活動と雰囲気を表すために大切です。様々なポーズの手を詳しく観察することは、うまく描く上で必要な準備です。手は最も単純な形、つまり指無しの手袋の形にまで単純化し、3つの部分で表します。手の甲が一つ、指の曲がった部分が二つです。
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(イラスト)腕と手:
A.腕は2、3本の滑らかな線で表す。
B.手は最も単純な指無しの手袋の形で表す。


2-4 脚と足
足を描くときも同じように、横からは三角、前からは半円、上からは四角に単純化します。一番難しいのは、特に動いている人物において、足と脚の正しいバランスを取ることです。実際の人物を見て、これらの関係を観察します。
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(イラスト)脚と足:
A.正しく描かれた脚は絵に生命感と動きを与える。
B.足は基本的な三角に単純化される。


2-5 衣服
色付きのワークショップ画の中では、衣服のバラエティーは景色に面白さを与えます。ところどころチェックや縞模様のシャツを入れても良いでしょう。男性と女性は衣服でも区別できます。また、衣服で人物画の中にリズムを生み出すこともできます。

肩、肘、膝のしわは、アーティストの手と目にとってちょっとした休憩になります。これを描きながら絵全体をチェックして、次の筆遣いの準備をすることができます。

2-6 曲がった姿勢の人物、踊っている人物
ここに挙げたイラストは、体の分割点を見つけるために使う方法を表しています。まず、体を腰で二つに分けます。上の半分は体全体の6分の1に、下半分は4分の1に分けます。この分割は、人物がどんな姿勢で描かれても同じであることに注目してください。この知識があると、どんなポーズの人物でも描くことができます。

プロポーションが正しいと、体は自由に動いているように見えます。紐のついた操り人形を思い浮かべてみてください。すべての部分の動きが生命感と動きをもたらします。
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(イラスト)曲がった姿勢の人物と踊っている人物:
A~D.体の姿勢がどう変わっても、基本的なプロポーションは一定である。


2-7 胴体の線
胴体は、歩くとき、駆け足をするとき、あるいは走るときに体のバランスを維持する人体の柱です。それはいつも均衡の中心であり、いつも私たちの体の重さを下へ、足のほうへ、体の中心を通る目に見えない力の線を通って配分します。もしも力の線がこの中心線を通って下向きに走っていないなら、私たちの体は均衡を失い、ぐらつきます。

たとえば走っている人は、もしもこの中心線が上体と足を正しいバランスに維持しないなら、前に倒れます。同様に、活動にいそしむ人物を描くときも、アーティストは人物がバランスの取れた姿になるように想像上の中心線を考えなければなりません。
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(イラスト)
胴体の線は、人物がいつもバランスの取れた姿となるよう、想像上の中心線に基づいて配分される。


2-8 人ごみのある景色
(第1段落)人ごみのある景色は、ワークショップの絵の中で頻繁に必要となります。歩行者が集まる広場、あるいは公会堂などは、たくさんの人々がいる様子ですばやく空白を埋めなければなりません。コツは、前景に細かく描いた人物を2~3人置き、背後の人々を頭と体と足のもつれ合ったような塊として表すことです。前の人物には色づけし、背景の人物はところどころ色づけして活気と動きを出します。
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(イラスト)人ごみのある景色を描く:
A.背景の人々の前で前景の人々が際立つ。
B.人物の配置は空間を決定する。


(第2段落)複数の人物の大きさの関係は絵に奥行きを与え、空間を決定します。人物の目の高さを観察すると、人物を不自然に高い位置に配置するというよくある間違いを避けることができます。遠くのほうの人物には、細部はほとんど必要ありません。
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(イラスト)人間の活動の平面を重ねて作られた絵:
複数の人物の大きさの間の関係が奥行きを出す


2-9 人物を遠近をつけて描く
(第1段落)高さの変化は、体のプロポーションに遠近をつけて描くことで示されます。バルコニーなどの高いところを見上げると、床の縁が人物の一部を隠しています。隠された部分の大きさが人物の相対的な距離を示します。横を向いている人物の肩の線と頭の位置に注目してください。
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(イラスト)上のほうにいる人物を見ると、下半身の一部が視界から消えている。

(第2段落)下のほうにいる人々は、肩の線、頭と足の位置、そして人物の配置によって特徴づけられます。人物全体が短くなり、上半身は下半身より大きく見えます。頭はほとんど髪だけに見え、肩が強調されます。高い位置からはより多くのものが見えるので、視野の中の物体、車、人々のすべてを同じ地面という平面状に配置するように注意が必要です。
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(イラスト)風景を見下ろす:
体のプロポーションに遠近が出て、視界は大きく広がる。


2-10 子供
(第1段落)大きな頭、大きな腹部、そして短い腕と脚が子供の体の特徴です。眠っていなければすばしっこく動き回っているので、スケッチして観察するには難しい対象です。ある特定の姿勢を観察することに集中し、彼らがその姿勢を取ったら素早くスケッチします。

(第2段落)この同じテクニックは、動いている人物の観察にもあてはまります。一度に一つの動きを学び、人物が再びその姿勢を取るまで待ちます。体のバランスと、足の位置と胴体の中心線に注目します。
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(イラスト)子供:
A.子供の頭は大人の頭と同じくらいの大きさで、腹部も大きい。腕と脚は短い。
B.動いている人物は、バランスが取れて見えるように均衡の線を維持しなければならない。


2-11 影
影は、明るい日光の印象を与えます。絵を生き生きとさせたり歩行の動きを明らかにしたりするのも、非常に有効です。帽子の下の影になった顔、コートやスカートの裾の下の影になった脚は、人物に実体を与えます。地面に落ちた影は、床の平面の形状を明らかにします。
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(イラスト)影の使い方:
A.影を使うときに明暗をはっきりさせると、人物の形が定まる。
B.影は表面の様子を表したり、隙間のあるところとないところを明確にさせたりするのに使われる。

3、植生
おそらく、ワークショップでコ・デザインのアーティストが頼まれることの一番多い環境要素の一つは植生でしょう。樫の木が並んだ住宅街の道を描くことから、中庭の様子、あるいは窓から遠くに見える田舎の景色まで、いろいろあります。植生は、それらしく見える絵を描くのに大切な役割を果たします。

アーティストは、植生を描くように言われると萎縮しがちなものです。木に葉っぱを一枚一枚描くのは時間がかかって大変な作業だと思うからです。実際には、植生は難しそうに見えて簡単で、むしろ楽しいものです!
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(イラスト)葉の描き方:
A.個々の筆遣い。
B.まとまり(グプティルの技法に基づく。注32)。

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(イラスト)木の平面:
A.木の平面を3つまで減らす。
B.3つの平面を葉の筆遣いで融合させる。(グプティルの技法に基づく)


3-1 木の芸術的な解剖学

(第1段落)アーティストの最初の課題は、植生の解剖学を知ることです。周りの木をよく見て、それがどういうふうに地面から生えているか、どういうふうに幹が細い枝に分かれているか、どういうふうに枝が葉の茂みを支えているかを観察します。

自然なのは、木が成長していくかのように描いていくことです。地面から上に向かい、骨格にあたる枝の構造を作り、それを葉で覆います。

(第2段落)個々の葉はもっと大きな葉の塊を構成します。個々の葉を描くより、大きな塊を描くほうがもっと簡単で効率的です。特定の筆遣いをまとめることで、量を思わせるように描くことができます。様々な種類の木々を描くことができるように、筆遣いを練習してください。

上向き、下向き、左、右、その組み合わせ、尖っている、放射状、三角、そして繋がった三角という種類があります。3と5のリズムを交互に使う古代中国の描画テクニックは、葉を描くときの単調さを和らげてくれます。

(第3段落)木や潅木の平面を3つまで減らします。日の当たっている部分、中間部分、影の部分です。影は筆遣いを詰めて描くことで作ります。影はそれぞれの木の性質に応じて加えます。できあがった木の姿は、日の当たるところと影の部分のはっきりした対比が中間部分を加えることで和らげられています。

(第4段落)本物の木には枯れた枝が2、3本あったり、茂り方が均等でなかったり、葉が薄くて枝が見えているところがあったりするのを覚えておきましょう。そのような細部を加えると、絵がさらに本物らしくなります。風に吹かれているように葉を一定方向に描くと、動きのある効果が得られます。ところどころ舞い落ちる葉があるのもいいでしょう。

3-2 中くらいの距離にある木々

中くらいの距離にある木々は、塊として描くのが一番簡単です。例えば、ポプラ、樫、糸杉、モミ、柳など、その地域で一般的な木々の基本的な樹形を学んでおきます。中くらいの距離の景色は最も描きにくいものですが、木やフェンス、建物、車などがあると描きやすくなります。そうした要素は奥行きを制限し、景色を狭め、描画が必要な部分を減らします。

現実の木を見てスケッチし、それを簡単な筆遣いで表そうとするのは良い練習になります。中くらいの距離にある木の幹が落とす影は、地面の様子を表すのに効果的です。
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(イラスト)中くらいの距離にある木々を塊として描く:
A.見慣れた木々の形・・・柳、樫、ポプラ、糸杉、モミ。
B.樹形。

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(イラスト)針葉樹:
A.現地で詳しくスケッチしたもの。
B.明暗をはっきりさせたもの。
C.ワークショップで描く単純化した木。

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(イラスト)落葉樹:
A.現地で詳しくスケッチしたもの。
B.明暗をはっきりさせたもの。
C.ワークショップで描く単純化した木。

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(イラスト)木々が落とす影は地面の平面の性質を表すのに効果的。

3-3 遠くにある木々
遠くにある木々は、植生の種類を示す輪郭を持ったグラフィックなパターン、またはトーンとして描くのが最も簡単です。針葉樹の尖った枝は落葉性の低木の丸みのある塊とは異なります。木々のトーンは遠くに退くにつれて薄くなり、奥行きの印象を強めます。背景の植生のトーンは建物などの前景にある物体の縁取りを定めるのにも使われます。
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(イラスト)
遠くの植生は連続するグラフィックパターンのトーンとして描かれる。

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by ammolitering7 | 2013-06-21 13:34 | 「コ・デザインの手法」

第7章 (イラスト込み)

第7章 コ・デザインの描画の分析

1、描画の流れ

コ・デザインの描画の各部には、それぞれ特定の機能があります。カルガリー市のランジェヴィン・コミュニティースクールを例に取りましょう。屋上に温室を作るという提案のための調査です。ある物語を語る場合、対話が物語の背景を設定する一方で、そうした言語によるアイディアを継続するために絵が描かれます。以下、描画のそれぞれの部分を章ごとに説明します。

(1)人物を描く
人物の絵から始めることは、コミュニケーション上のいくつかの利点があります。人が景色の中心に置かれることで、見る人はその景色を自分の周りの本物の経験として視覚化することが可能になります。人物を空間の基準として確立することにより、絵は一層人間的な大きさを持つことになります。

景色は人物の目の高さを基準にして作られるので、参加者とアーティストの双方にとって本当に視覚的な経験になります。アーティストにとっては、人物は景色の中に縮尺を確立するための基準にもなります。目から地面までの長さは、他のすべての物を絵の中に正しく配置する基準になるからです。

(2)家具と床の表面について話し合い、描く

環境との最初の接点、すなわち座っている椅子や立っている床について考えます。形、仕上げ、素材が景色の雰囲気と質を確立し始めます。

(3)中心人物の周りに他の人々を描く

これは景色の中で周りの人々が与える社会的な距離の感覚を表し、デザインの過程における「人優先」の考えを強めます。つまり、全体的な人間の風景、社会的な活動を視覚的に描写し、さらに参加者が景色の中に自分を見て、描かれている活動を自分自身の経験と関連づけられるようにします。他の人物の存在は、活動全体に必要とされる空間の大きさ、平方フィート数に翻訳されます。

(4)参加者の指示に従って他の人物を描き加え続ける
人物が使っている家具、歩く床の表面、その他の周囲との接触点を描きます。周囲に関する話し合いは、光と、それが当たる場所(人々の顔、明るい休憩所、植え込みなど)に焦点を当てます。これは窓や天窓の数や配置、それらの間の間隔を決めるのに役立ちます。
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(イラスト)ワークショップの絵の流れ:
A.グループの指示に沿ったポーズの人物を描き、次に家具を描く。
B.参加者が指示する位置に他の人々と家具を描く。
C.人物を加え続け、指示に従って周りの細部を加え始める。
D.景色を完成させる。特徴を説明するメモを加える。


(5)景色を完成させ、メモを加える
絵の周りに書き込むメモは、視覚的でない要素を記録する助けになります。絵そのものは、望ましい経験の完全な姿を他の人たちに伝えるための細部、すなわち滝の音、植物の匂いなどを描き出すことはできないからです。

(6)参加者にサインするように頼む
この単純な行為によって、参加者の作画体験が完成し、絵の内容に対する責任感を強めることになります。また、描かれたものを現実とするために、プロジェクトに対して関係者としての関心を持ち続けることにも繋がるでしょう。


2、ワークショップに必要なものを用意する
(第1段落)アーティストにはそれぞれ、イメージ・ワークショップのための道具一式があてがわれます。まず、19インチ(48センチ)x24インチ(60センチ)のスチレンボードを、軽くて持ち運びやすい画板として使います。これはアーティストの膝の上に置きます。アーティストにとって描きやすく、参加者にとって見やすい位置にします。

立って描くのを好むアーティストもいるので、その場合はイーゼルを使ったり、ボードを壁に貼ったりするのも良いでしょう。どちらにしても、大事なのは参加者が絵とアーティストの目を見やすいようにすることです。

(第2段落)インクのにじまないベラム紙の上に、フェルトペンでくっきりした絵を描きます。ワークショップの前に、スチレンボードと同じくらいの大きさの紙を何枚か重ねて、ボードの上にマスキングテープで貼っておきます。参加者が替わる度に、毎回新しい紙の上に描き始めます。

紙の大きさとペンは、PMT(photomechanical transfer 写真転写)プロセスを使って白黒で複製するときに向いているという理由で選んだものです。

(第3段落)先の尖った黒のマーカーと、先が斜めになったカラーペン10色セットも用意します。選色はあえてシンプルにしていますが、描いてくれと言われることの多いものを描くには十分なバリエーションがあります。コ・デザインの絵における色の使い方に関する章で、選色の詳細を述べます。

3、描画のためのウォームアップ・エクササイズ
「筆遣いの6つの要点」
『第一は霊と呼ばれ、
第二はリズム、
第三は想念、
第四は景色、
第五は筆、
そして最後は墨である』荊浩(けいこう、生没年不詳)、唐末・五代後梁の山水画家
(注30)

(第1段落)経験を積むことで、他の人たちの前で少々の自信を持って描けるようになります。コ・デザインのアーティストは、ワークショップでの描画セッションの前に、ウォームアップするために特定の描画練習をします。このシンプルで短い練習によって、目と手の整合、他の人のために描く自信、そして遠近法のレイアウトの正確さを高めます。

(第2段落)最初は、点を線で繋ぐ練習です。紙の上に点がランダムに描かれています。一つの点から始め、次の点へまっすぐな線を引きます。常に目を第二の点に置くようにし、手で視線を辿ります。次は別の方向に引いてみます。目と手の整合が向上するにつれ、2つの点の間の間隔を長くします。

(第3段落)次の2つの練習は、一点に集中する遠近法の線の配置の正確さを増すためのものです。さきほどと同じ、点を線で結ぶテクニックを使って、想像上の頂点または消失点から扇状に伸びた2本の線を引きます。次に、この消失点に目を置いたまま、最初の2本の間、つまり扇の内側に第3の線を引きます。

同様に、想像上の頂点から2本の線を引き、3番目の線がこれらの外に(扇形の外側)になるように引きます。

(第4段落)最後に、これらの線描の原則を、遠近法の中の後退する台形を定めるのに使います。まず、水平線上に集中する3本の線を引きます。それから、遠近法上に現れるように、最初の台形の位置を推測します。次の台形は最初の台形のおよそ半分の大きさにします。推測の正確さは、台形の斜めの線を水平線上の集中する点に引くことでチェックできます。
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(イラスト)描画のためのウォームアップ・エクササイズ:
A.点を線で繋ぐ。
B.扇形の内側。
C.扇形の外側。
D.遠近法上の後退する台形。


4、絵を描き始める

(第1段落)クライアントグループまたはユーザーグループとの対話で絵を描くことになり、19インチx14インチの紙の前に座りました。目の前の果てしもない白い広がりは威圧的で、頭の中も同じように真っ白になります。どこから始めたら良いでしょう!?答えは、まず、話すことからです。描くことからではありません。話は、描こうとする活動に焦点を当てます。
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(イラスト)描く準備をする:
A.硬く縮こまった姿勢だと、硬く縮こまった絵になる。
B.見る角度が正しくないと、絵が歪む。
C.腕全体を動かして描くと、自由でリズミカルな絵になる。


(第2段落)悪い姿勢と描画に対するネガティブな態度には、体の硬さが関係しています。紙の表面に覆いかぶさるようにして身を硬くして座ると、同じく小さく固まった様子の絵ができあがります。水平な面の上で描くと、歪んだ絵になります。この歪みは、紙に少し角度をつけることで軽減されます。

(第3段落)ボードから十分に離れ、腕全体が動けるようにすると、より大きな自由と、緊張のほぐれた状態が得られます。肩から出る振り子のように腕が自由に揺れることができるのが理想的です。手首と指を使った小さなコントロールされた動きは、細かい細部を描くのには向いていますが、コ・デザインの絵の大きく、流れるような、そしてリズミカルな動きのためには、肘と肩を支柱として使うのが向いています。

(第4段落)軽い音楽があるとこのリズムが生じやすくなります。紙の上で、紙には触れずに、目に見えない線が見えてくるくらいまでペンを揺り動かします。利き手の小指の下側で軽く紙に触れて、支えとコントロールを与えます。そしてペンは、手が痛くならない程度にしっかりと持ちます。(まるでゴルフのコツのようですね!)

(第5段落)それでもまだ紙は白紙のままです。これから描こうとする絵は活動に基づくものなので、食べている、自転車に乗っている、机についているなど、その活動をしている人を描きます。この中心人物の目から水平に描いた線がこれからの遠近法の水平線になり、他のすべての環境的な要素を配置するにあたっての基準になります。

その最初の人物を描いたら、絵の他のすべての要素はそれに関連づけられます。そして、もはや絵は白紙ではありません。

5、景色を作る:対話の中で描くためのグラフィックなツール
(第1段落)コ・デザインのアーティストは、デザイン対話から絵へと滑らかに移行するためのツールを幾つか持っています。おそらく、中でも最も重要なツールは遠近法でしょう。絵は常に、活動にいそしむ最初の人物から始まり、それから立体的なスケッチへと進展します。

テクニックは、伝統的な遠近法の絵よりもシンプルです。コ・デザインの絵は、あらかじめ平面図や立面図を用意することなく描きます(注31)。

(第2段落)これ以降は、読者は遠近法を使って描くことに対して基本的な理解があるものと想定します。

5-1 対話の中で描くための便利で大切なツール
コ・デザインのアーティストは、絵のスタジオの落ち着いた環境の中で描くのではなく、市民ワークショップの混沌として騒々しい環境の中で描きます。参加者は、アーティストが消せないフェルトペンで描いている途中で気が変わったりします。どうやって作業を進めればよいのでしょうか。

5-1-1 計測の基本ユニットとして人物を使う

(第1段落)コ・デザインの絵はいつも、現地で何らかの活動にいそしむ人物像から始まります。この人物は、紙の中央あたりに高さ4インチほど(10センチほど)の大きさで描かれます。人物の絵のところから薄く水平線を引きます。これがこれからの遠近法のための水平線になります。

この最初の人物の目は、遠近法の消失点にもなります。この時点で、スケッチの他の要素について参加者にあらかじめ尋ねておくのも良いでしょう。しかし、まだ遠近法の枠の中には描きこみません。参加者は、もっと人物や家具や植生を入れるように指示するでしょう。最初の人物を定規として使って、やがてこれに歩道や車道や建物が加わり、その場をさらに形作っていきます。
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(イラスト)空間を測る物差しとしての人物:
A.4インチほどの高さの人物から始める。
B.他の人物を描くことで景色が定まってくる。
C.人物は水平および垂直の物差しとして機能する。ここでは、8フィート(2.5メートル)幅の歩道が簡単に加えられた。

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(イラスト)活動を絵と相関させる:
A.コ・デザインの絵は活動の集合とも見なされる。
B.それぞれの活動は、次のものと重なる2次元の平面と見なされる。
C.子供のおもちゃであるシャドーボックスのように活動を層にして重ねるのは、その場に生き生きとしたパターンを描くグラフィックな方法である。

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(イラスト)室内の景色を配置する:
A.室内の景色の始まり。
B.身長5フィート(1.5メートル)の人物が部屋の水平および垂直な限界を定める基準となる。
C.奥行きの長さは、背後の壁になる位置を決定する。最初の台形の大きさを横の壁に描き、それを遠近法に反映させる。


(第2段落)コ・デザインの対話が活動に焦点を当てるように、コ・デザインの絵も同じように活動がその焦点となります。景色を、「互いに重なる活動の連続が絵という平面に後退したもの」と考えるとよいでしょう。複数の活動が層となって平面の上に重なったものが絵です。子供のシャドーボックスが、二次元の紙を切り抜いたものを重ねて三次元の錯視を見せるようなものです。

(第3段落)最初に描かれた人物は、遠近法上で距離を決定するための測定単位になります。この人物の目の位置を、床から5フィート(1.5メートル)とします。この単位は、描画用のペンで描く水平および垂直の値を決めます。この基準人物が立っている平面に、壁と天井の位置を枠取りする想像上の「窓」(枠線)を描きます。

この「窓」は、部屋の境界を決定するための助けとして実際に描きこむこともできます。絵全体が、それぞれが一つの活動に呼応するそのような「窓」の集合体であると考えることもできます。

(第4段落)基準人物の目に決められた消失点は、今では、壁、天井、そして床の交差を決める線の開始点になります。利き手でないほうの手の人差し指をこの消失点にあてると、扇状の遠近法ラインの指標になります。

(第5段落)こうして、既に奥行きという幻想が表れました。しかし、背後の壁の奥行きはまだ決まっていません。奥行きを決めるときは、深くなり過ぎないように気をつけます。遠近法において奥行きをすばやく決定するためには、昔から伝わる2つのテクニックがあります。その一つはレオナルド・ダ=ヴィンチの方法、そしてもう一つはもちろん、だいたいこのへんだろう、といって決めることです。

レオナルドは、まず床または壁の四角いパネルの大きさを測り、それからこの四角の上の角から反対側の中心を通して、それが床と壁の線と交差するまで斜めの線を伸ばしました。この交差の点が次の四角の辺になります。

このプロセスを続けると、壁にはすぐに遠近法上では同じ大きさの四角が描かれ、絵の中に他の環境的な要素を描き入れることができます。

(第6段落)スタンレー・キングが開発した第三の方法は、基盤となる平面状に奥行きの深さを決定するために、算数上の比率と基準人物そのものを使います。4インチ(10センチ)高さの人物は、30フィート(約10メートル)先にいる人になります(巻末資料Dの計算を参照)。この人物の膝の高さから描かれる人物(身長は4分の3の高さ)は、40フィート(約13メートル)離れています。

第二の人物の膝の高さから描かれる人物(身長は第二の人物の4分の3の高さ)は、見る人から60フィート(約16メートル)離れています。

(第7段落)最初の2人の人物の間の距離は10フィート(40-30)、およそ3メートルです。次の2人の間の距離は20フィート(60-40)、およそ6メートルです。地面にこれらの長さを描くと、5フィートの人物の身長を基準として縦の長さを決めることができます。
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(イラスト)遠近法で奥行きの深さを決めるための方式:
A.離れたところにいる人物を置く高さを決めるため、基準人物を膝と腰で分ける。
B.正しい奥行きの深さが決定したので、他の環境的な要素を加えることができる。
C.同じ方式を使って遠近法から平面図を作ることができる。


5-1-2 絵の中で焦点を移動させる
(第1段落)デザイン対話の中では、討論の焦点が移るにつれて、絵の焦点も移ることがよくあります。グループの人たちの興味が絵の右端のほうで起こっている活動のほうに移ったのかもしれず、奥の壁の近くで起こっていることのほうが面白そうに見えたのかもしれません。消せないフェルトペンで描いていると、既に描いたものを変えることはほとんどできません。しかし、次の幾つかのペンの動きでデザインd対話を継続させることができます。

(第2段落)そのようなテクニックの一つは、絵を徐々に一点透視から二点透視に変えることです。右側で起こっている活動が話題の中心になった場合は、扇形になるように水平の線を描き直すことで絵の中の活動または焦点が右に動きます。そうすると、新しい焦点は以前の絵の平面上にはなくなり、新しい右側の部分の水平線上の点に消失します。同様に、景色は部屋の中から隣の部屋へ、あるいは隣接する外の空間へさえも移ることができます。つまり、壁を突き抜けて見ているようなものです。

こうなると絵は普通の人間の視界を越えますが、遠近法の決まりは単にデザインのアイディアを話し合う上での助けに過ぎません。要点は、絵の融通性と適応性を保つことです。できあがったときはごちゃごちゃしているかもしれませんが、デザインに関する話し合いが自然な流れに沿って続くこと、そして環境に関する情報を記録することのほうがずっと大切なのです。

(第3段落)アーティストは、絵の基準と方向性が望ましい情報を伝えられるように、常にコントロールすべきです。決して参加者が言いたいことを絵が制約することのないようにしてください。絵は単にアイディアを共有してコミュニケーションを取るための道具に過ぎないからです。

最終的な絵は、あとから報告書に入れたり展示したりするときに整えることができますが、この時点では活力のあるごちゃごちゃした様子を気にしないでください。間違った線を引いてしまったら、修正しようとして何度も引き直すのは避けます。単に間違いが目立つだけです。
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(イラスト)絵の焦点を移動させる:
このワークショップ画は、左側の会議室から始まったが、その後グループは隣接する受付部分に話題を移したため、一点透視から二点透視への移行が必要となった。また、構図の横には対象の相対的な位置づけを明らかにするためにメモを入れた平面図も描きこまれている。このような視覚的なメモは、デザインの次の段階の仕事をする人に役立つ。

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by ammolitering7 | 2013-06-21 09:15 | 「コ・デザインの手法」

第6章 (イラスト込み)

第6章 対話の中で描く

1、コ・デザインのアーティスト
(第1段落)コ・デザインの描画技術には、想像上の景色を生き生きと描くことに慣れていることと、意味のある環境的な情報を伝える能力が必要です。できあがった作品は、公共の美術館で展示されたこともありますが、本来は環境に関する情報交換のための便利な作業用「文書」です。ある一定の芸術的な技術が必要ではありますが、ワークショップで描かれる絵はいわゆる芸術作品ではありません。

(第2段落)簡単に言うと、この技術に必要なのは、素早くスケッチする能力、豊富な心の中のイメージ(グラフィックな語彙)を使って正しい構図で描く能力、そしておそらく一番大切なのは、他の人たちの前で彼らの指示に従って描く能力です。

この章では、こうした特定の技術について、そしてそれがデザインの過程で市民との協力関係を形作るのにどのように役立つか、ということを詳しくみていきます。

2、アーティストの役割について

(第1段落)コ・デザインの絵には、「アーティストに環境をデザインする上で大きな影響を持つリーダーとしての役割を与える」というユニークな性質があります。

(第2段落)アーティストは、この経験を珍しくて気分が高揚するようなものだと感じます。ワークショップの参加者たちは、アーティストを人ではなく自分たちの手や目の延長として見るようになります。参加者がこれまで自分の心の中だけで見ていた景色をアーティストがその優れた能力で紙の上に表していくにつれて、参加者の喜びと高揚感は増してきます。

アーティストが本当に参加者の手や目の延長だということを示す幾つかの徴候があります。参加者は、アーティストを飛び越えて完全に絵に注目します。ときたまちらっとアーティストの目を見て、絵が思うようにできているかということに関して同意を示すだけです。

アーティストと参加者の間で意志の疎通をするための主な手段は、目を合わせることです。絵が出来上がると、グループのメンバーはそれにサインしますが、アーティストにもサインするように頼むのを忘れる、ということもよくあります。

絵が出来上がると、グループのメンバーは「自分たちの」絵を見せるために他の人たちを連れてきます。そして作品について個人的な誇りを持って語ります。

(第3段落)コ・デザインのアーティストの役割は、他の意味でも特殊です。つまり、絵は公開の場で描かれるので、アートスタジオの孤独な作業とは違って社会的な状況におけるコンセプト化と描画の能力を示すことができます。

アーティストは作業の進展に欠かせない存在として機能することを要求されます。そして、彼らの芸術的な技術は、実際的、必要性がある、稀なもの、そして有益な能力として見られます。アーティストはリーダーの役割を果たし、討論の焦点を絵の作成に置く手伝いをします。

考えやアイディアは、すべて創造的な直観とアーティストの知覚、すなわち言語を線に変えるフィルターや転換機を通されます。つまり、アーティストは受身的な役割を果たすのではなく、集合的な作業の発展を導き、プロセスにおける動的な想像力を伝えます。アーティストの影響については、のちほど詳しく論じます。

3、触媒としての絵
他の数人の人々の指示の下で描く能力、すなわち彼らのアイディアを促し、提案に耳を傾け、そしてそれを一貫した視覚的なイメージに組織化する能力は、コ・デザインのアーティストにとって最も難しいものです。

左脳の論理的で合理的な言語に基づく活動と、右脳の芸術的、創造的でイメージに基づいた活動の間を、行ったり来たりしなければなりません(注29)。話すことと描くことを同時に行うのは、とても難しいものです。ここでは、描くという作業を物語を語っているのだと考えると役に立ちます。

参加者の物語、想像の中の新しい場所で何らかの活動にいそしむ物語です。アーティストとワークショップ参加者が一緒に絵に取り組む様子を見てみましょう。
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(イラストA)
アーティスト:あなたが座っているところを描きましょうか?それとも立っているところですか?
参加者:きっと座っていると思います。

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(イラストB)
アーティスト:どんな椅子に座っていますか?
参加者:屋外のレストランにあるような、背もたれの丸い椅子です。

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(イラストC)
アーティスト:どんなテーブルについていますか?
参加者:丸いテーブルです。脚が金属で、先がくるっと丸まっているタイプです。
別の参加者:パラソルがあります!

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(イラストD)
アーティスト:テーブルには他に誰かいますか?どこに描きましょうか?
(アーティストは次の人物を描く場所を探して絵の上でゆっくりと手を動かす。)
参加者:そこです!


「対話の中で描く」:
A.アーティストは座った姿勢の人物を描くが、椅子は描かない。
B.アーティストはグループの中の他の人たちをちらっと見て、同意があることを確認する。
椅子を薄目に描きながら、アーティストはもう一度同意を確認するためにグループを見る。
C.アーティストは再びグループを見て、認められていることを見てとったら、テーブルとパラソルを薄目に描く。
D.アーティストはグループの指示に従ってテーブルについている人と他の人たちを描く。



この場合、絵は屋外のカフェの様子を伝えることを目的としており、質問は常にそれに基づいて展開しなければなりません。アーティストとグループのメンバーとの間の対話は、アイディアと情報の双方向の交換です。グループは絵を描く上で文字通りアーティストに指示を下していますが、皆が創造的な瞬間を共有しています。

対話の流れを維持して参加者に彼らの個人的な内面の視界を明確にするように促すのはアーティストの仕事だからです。

4、アーティストは支配的になるのか
(第1段落)アーティストが皆で共有するイメージではなく自分が作った個人的なイメージへとグループを誘導するのではないか、という恐れは杞憂です。潜在意識的に、アーティストは個人的かつ文化的な価値観と好みを差し挟んでイメージの発展を導くかもしれません。

しかし、コ・デザインのアーティストは大抵の場合は都市計画やデザインの分野の人たちなので、プロとしての十分な技術と知識があります。環境に関する知識があり、建築的、技術的に十分な能力があることを考慮すべきです。

対話に私たち自身の考えを入れるのを避けるために、そうしたプロとしての知識を否定して、言うなれば「馬鹿な振りをする」のは無益なことです。コ・デザインのアーティストとワークショップ参加者の間の特別な関係はむしろ、アーティスト/デザイナーにとって参加者一人一人と機能的な協力関係を築くためのエキサイティングな機会です。両者の合同による知識と経験を共有することで、どちらかが自分たちだけで作り出すよりも良い結果を作り出すことになります。

(第2段落)イメージの発展において、アーティストの見方が支配的になるのを防ぐための構造的な仕組みもあります。たとえば、参加者は投票のときに棄権したり、無視したりすることができます。皆で一緒に絵を描いている間に、小さなグループの間に強力な共有感覚が生じます。

グループの中のそれぞれの人がスケッチの要素に貢献すると、絵全体への所有の感覚が育ちます。グループのメンバーは、絵が提案に合わないように見えたり、何かが正しくないと感じたりすると、すぐにアーティストに知らせます。

(第3段落)そのためにも、絵ができていく中で、提案がなされたときに参加者の目を見てチェックすることが大変重要になります。これはグループの満足度を測るのにもっとも速くて最も正確な方法です。

アーティストは、グループが描写するビジョンに近付くために、絶えず目を合わせます。そして、グループの静かな反応を観察することによって、絵への同意または不同意を知ることができます。こうしてアーティストは、できあがった絵がグループの希望を正確に反映するものとなるようにして描いていきます。

参加者の独創性と想像力を通して絵ができあがっていくにつれ、グループの中で最も内気な人の中にもインスピレーションが広がり、創造的になっていきます。これは視覚的なプロセスなので、関わる機会はグループの中で一番弁の立つ人に限られるということはありません。英語に困難のある人でも、自分のアイディアを共有することができます。

(第4段落)もちろん、絵のスタイルがアーティストの特定のスタイルを反映するのは避けられません。誰もが紙の上で自分を独自に表現するからです。しかし、絵の内容はグループの産物であり続けます。このようにして、アーティストとグループの両方が絵に対して所有の感覚を持つようになります。

私たちの経験から、アイディアを肉付けして、より豊かな環境を描いた物語を絵という形で伝えようとする中で、参加者がアーティストの芸術的な能力に対して持つ畏怖の感覚は、すぐに共同作業の感覚の影に隠れてしまいます。

程なくして、参加者たちは「違います、椅子にはクッションがついていて、背もたれは丸っこい形です」、「歩道のこのへんに、もっと木がたくさん要ります」などと堂々と発言するようになります。
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(写真)アーティストが指示とアイディアを求めてグループのほうを見る。(撮影:フレッド・クリングベール)
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(写真)対話の最後の色塗りの段階で、参加者が自ら塗っているのでアーティストは離れて見ている。(撮影:ジョン・マッケンジー)
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by ammolitering7 | 2013-06-21 08:45 | 「コ・デザインの手法」