カテゴリ:「コ・デザインの手法」( 36 )

コ・デザイン デザイン参加の手法6

ワークショップに必要なもの

およそ40名が参加するワークショップに必要なものは以下の通りです。

(紙)幅48インチ(1.2メートル)長さ200フィート(60メートル)のものを1巻き。(新聞用紙よりも厚みがあること。)
18インチ(46センチ)x24インチ(60センチ)のベラム紙(上質紙)50枚
または36インチ(90センチ)x180フィート(55メートル)のベラム紙1巻き。

(フェルトペン)黒のフェルトペン15本、先細タイプ。
色付きフェルトペン10セット、先が平らになったタイプ。

(鉛筆)   柔らかい消しゴムがついたHBの鉛筆 1ダース

(マニラフォルダー)   レターサイズ(21.59 × 27.94 センチ )のファイルフォルダー20個

(テープ)   4分の3インチ幅(2センチ弱)のマスキングテープ2巻き

(スチレンボード)市民ワークショップ用 19インチ(48センチ)x 24インチ(60センチ) 20枚
子供ワークショップ用 同10枚
タイトル(?)と写真用 同10枚

(写真)   カラースライドフィルム 36枚撮り 4本

(案内用紙)   人々を会場に導くための張り紙

(見取り図)   大縮尺の見取り図を壁に貼る。

(アセテート)   30インチ(76センチ)幅1巻き。絵を覆って保護するのに使う。

(資料)   組織委員会とコ・デザインが資料を用意する。参加者を歓迎する言葉、計画の内容の説明、その日のプログラムと将来の計画イベントを盛り込む。


話し合いの決まり
とても大切な3つの決まりごとがあります。これによって参加者の間に共通の理解のための枠組みができ、ワークショップが滑らかに進行するようになります。

(1)「私たち」ではなく、「私」と言う

1、代理人はいません。自分についてだけ語り、他の人のことは他の人に語らせます。直接的な経験と個人的な反応に焦点を当てることによって、人々が自分の利害のために巧みに言葉を操りあうような事態を避けることができます。

つまり、ある人が他の人たちの意見を代表していると主張して議論を支配する危険を減らすことになります。ある人が他の誰かの意見を正確に代弁することはできません。そのため、私たちは参加者たちに、自分自身の経験に基づいて自分自身の望みを自ら語るようにお願いします。

他の人たちがどう感じているかを第三者が推測するということがないので、対話はもっと直接的で正確て正直なものになります。

2、この決まりを守ることで、参加者に自分の個人的で私的な意見が尊重されたという厚遇の感覚を与えることができます。これは彼らの個人的な権威の感覚を強めます。

特に子供にとっては、自分の意見には価値があると感じて成長するために、これは非常に大切です。
自分の意見は軽んじられるだろうと思っている人々についても同様です。こうすることで、彼らは権威者が自分の言うことを認めるかどうかとびくびくする必要がなくなります。

3、「自分は地域全体に対して何か立派な意見を求められている、何か都市計画者らしいことを言わなければ」と感じて意見が出せなくなってしまう人々もいます。その場合には、「あなた自身は何を望みますか?」と尋ねることで議論の流れを自由にすることができます。

(写真)参考資料があると便利です。この場合は現地の地図と写真。(撮影:スティーブン・ヘイワード)

(イラスト)話し合いの決まり:
A、「私たち」ではなく「私」と言う
B、解決策を見出そうとしない
C、他の人のアイディアを批判しない


デザインの解決策を決めようとしないこと


1、デザインが生み出す効果についてのみ語り、解決策を決めるのは後回しにします。「解決策」とは、すべてのアイディアをコンセプトにまとめることを意味します。この時点では、それらは互いに無関係な部分に過ぎず、大いに異なってさえいますが、それぞれがそれぞれの状況において価値を持ちます。

2、形成的な段階では、すべての可能性が考慮されます。そして、自由にアイディアを考えることが奨励されます。このワークショップはインスピレーションを得て視覚化する時期です。デザインの解決策を決めようとしないことによって、この段階ではすべてのアイディアが有効であることを確認し、アイディアの流れが奨励されます。

3、こうすることで、地域の人々があとで取捨選択をするときの幅が広がります。それは創造性の二次的な段階に先行します。そのときデザイン作りに向けて再考、編集、コストの削減がなされます。この第二段階は投票のあとでなされ、地域の人々が投票したすべてのアイディアを優先的に取り入れてコンセプトデザインを作ります。早急に第二段階に入ってしまうと、踏査の段階が切り詰められ、考慮の幅を狭めます。


他の人のアイディアを批判しないこと

1、ある提案が気に入らないなら、自分は何が好きかと考えて自分なりの前向きなアイディアを出します。アイディアが流れ出るのを阻まないようにします。

2、地域社会が何らかの本当の代替策を作り出そうとするときは、投票のためのたくさんの案が必要です。選択肢は多いほど良いのです。

作られる本物の代替案の質を高めるため、コ・デザインのプロセスは前向きで非競合的であることを目指しています。調和と一致のあるエリアに焦点を当てることで前向きな考えの雰囲気を作り出し、あざ笑われることを恐れてアイディアを述べることを神経質に抑制するような雰囲気を助長することなく、可能性について考えることを奨励します。

明確な発言ができない人々にも自分のアイディアを発言することを勧めます。それによって他の人々はそのあいまいなアイディアに更なる考慮を加えることができます。


起こりうる問題 - ワークショップでのトラブルの対処法

時として、他の人の見方を省みずに自分の意見を言う参加者がいて、問題が起こることがあります。よくあるパターンは以下のようなものです。

*政治的な発言や抗議をする
*プロジェクトに完成された案を出す
*グループの中で支配的に振舞う
*法外なアイディア


政治的な発言
1、参加者の中には、ワークショップを政治的な発言の場として利用する人々がいます。その場合には、参加者に新しい場所で行う活動に関する質問をします。政治的な返事を考えている人々は、「周りにもっと広い場所を取らないでいて、新しい場所のことなどどうやって考えろというのですか?」などと反論したり、もっと限定的に「市は町の中心部に母子家庭のための住宅を作る用意がありますか?」などと聞き返したりします。

2、そのような質問は、参加者に彼らの政治的な心配事は十分に解決されたという前提で考えるように指示し、そしてその状態ではその場所で何をしているだろうかと考えることで、和らげることができます。こうすれば参加者は一時的に政治的な事柄から離れることができます。

3、また、遅れてやってきて抗議をしたがる人々もいて、言いたいことをぶちまけたがります。その場合は彼らを壁に貼った地図の横の白紙のところに連れて行き、フェルトペンを渡して抗議の内容を書き出してもらいます。そうすれば対立的な心理状態が消えるので、それからグループに参加して一緒に作画してもらいます。

ワークショップの焦点である開発計画に関して政治的な論争が過熱している場合は、この目的のために大きな紙が必要になる場合もあります。参加者には、ワークショップでの反応は抗議も含めてすべて報告書に含めるために記録されることを伝えます。


完成された計画案
ときとして、イラストや模型など完成された計画案を持ち込む人がいます。その場合はそれを展示するのを手伝います。もしも計画案が口頭で述べられるなら、ボランティアの書記をつけて詳細を書き取ります。あとで投票するとき、ワークショップで作られた他のイメージと一緒にこれらも展示して、コメントを集め、投票も行います。


支配的な参加者
1、イメージを作っているグループの中で、ある参加者が他の人たちのアイディアに同意せず、議論の流れを止める場合があります。集団力学の世界では、この人物はブロッカー(遮断する者)として知られています。議論がこのように批判されると、グループの他のメンバーによる肯定的な努力を黙らせてしまうかもしれません。目的は皆のアイディアを得ることなので、この場合の解決策はグループを分けることです。

2、ワークショップのときには、まさにこのようなトラブルに備えて控えている訓練されたアーティストたちのグループがいて、会場を見回っています。あるグループの議論の中にブロッカーがいることに気づくと、アーティストはしばらくの間は議論の流れに耳を傾け、それから口を挟んで支配的な参加者にこう言います。「あなたのアイディアは力強いので、それを発展させましょう。あなただけのイラストを作りましょう。こちらでどうですか?」

(写真)ある参加者が支配的になると、コ・デザインのアーティストはいったん手を止めます。この状況に対処する最良の方法は、別のアーティストをあてがうことです。

3、1対1のセッションのためにその参加者をグループから離します。グループの他の人々は、これでブロッカーの脅しを恐れずに自分たちのアイディアを進めることができます。支配的な参加者は非常に確固たるアイディアを持っていて、イラストが自分のアイディアを厳密に反映していることを要求しがちなので、能力の高いアーティストが必要とされます。

また、彼らはそのような強い味方を視覚的に表すことに困難を感じる場合もあります。


法外なアイディア
ときには、地域の人々を憤慨させるようなアイディアを表明する人もいます。繰り返しますが、ワークショップの目的はすべてのアイディアを表すことです。対処法は投票にあります。本当に法外なアイディアは、投票で「ここではなく他の場所にふさわしい」という評価を得るものです。

こうすることで、参加者は自分の心からのアイディアを表すことができ、さらに、他の人々はそれを「悪いもの」ではなく単に「もっとデザインに工夫が必要」あるいは「この地域ではなくもっと他の場所に向いたアイディアだ」という理由で、他のアイディアと同じような優先順位を得られない、ということを知る機会が得られます。


十代の若者を巡る問題
1、十代の若者たちは、性的な落書きなどを含む多少反抗的な振る舞いをすることがあります。それでも彼らにも耳を傾ける価値があります。アーティストをあてがわれて議論をするように導かれたなら、往々にして、もっとも創造的なアイディアは彼らから出されます。

2、内気で無愛想で、仲間同士で固く結びついていると見られがちな彼らは、抜きん出て価値のある参加者です。社会のしきたりに対する彼らの反抗の態度は、創造的な代替案の基盤であり、彼らの過度な感情は現状への敏感さから生じてきます。

往々にして、最も賢明なアイディアはそのようなグループから出されます。これらの参加者たちはコ・デザインの目的を代表します。彼らは早期に疎外された人々です。(?)

(写真)年若いワークショップ参加者たちが、誇らしげに自分たちの絵を展示します。アーティストは背後に退けられます。参加者たちは、絵が本当に自分たちのものだと感じます。(撮影:スティーブン・ヘイワード)

(写真)若者たちから創造的なアイディアが出されます。(撮影:ジョン・マッケンジー)
[PR]
by ammolitering7 | 2013-01-22 15:13 | 「コ・デザインの手法」

コ・デザイン デザイン参加の手法5

メディア

1、コ・デザインのワークショップは新聞やテレビその他のメディアによって好意的に取り上げられます。人々、特に子供たちが建築家と一緒にイメージを作るということは、ニュースにする価値のある事柄です。さらに、ワークショップはしばしば政治的な議論のある中で行われます。

2、アーティストが人々のアイディアを目に見える形にして描いているところは、テレビにとって格好の主題になります。ボランティアによるワークショップが放映されると、それはあとに続く公共のワークショップにとって格好の広告になります。

3、ジャーナリストも参加者として加わって、コ・デザインのダイアログの一部として行われる記者会見は一般への周知に役立ち、最高のデザイン材料を作り出します。ジャーナリストたちは描写能力に優れており、公のイベントを報じてきた経験から、公共の場所の環境について深く知るようになります。


開発者にとっての利点

1、時として開発者たちがコ・デザインのワークショップを主催します。これは経済的な理由によります。コ・デザインを行うのにかかる費用は、提案される開発のイラストができる、そしてそこで営まれる暮らしのイラストができる、ということで正当化されます。

そのようなイラストは、開発者が政府の都市計画責任者や近隣の住人や将来的な投資家や賃貸人にデザイン提案をするときに役立ちます。初期の段階で市民を交えることは、開発アイディアのための市場を、多額の投資をして資材を確保する必要が生じる前にテストすることになります。

2、開発プロセスの初期における市民対話によって、デザイン要素に対する反対意見を早期に発見して、時間の余裕をもってそれらに対処することが可能になります。反対する開発の要素に変更を加え、それをデザインの長所として取り込むこともできるので有益です。

市民対話によって調和と意見の一致が可能になります。それがなければ反対する市民の声は硬直した立場になることを余儀なくされます。そして、開発者は皆、市民による反対運動が非常に高くつくことを知っています。

3、地域社会にデザインへの助言を求めることで、開発者はもっと実質的なことでも利益を得ます。例えば、参加者の中には引退したエンジニアや経験豊富な管理職の人々もいるかもしれません。そのような参加者たちは、地元の知識に基づいた確固たるアイディアを提供するにあたって熱心に貢献してくれるものです。

開発者たちは、普通なら高いコンサルタント料金を払わねば得られないこうした広い経験を無料で得られます。先立つものが不足しているとき、これは多大な利点です。このようにして貢献するように依頼された参加者たちは、提案や開発計画や開発者を自分のものと感じるようになります。

地域社会が開発によって利益を受けることが分かると、「彼ら」が「私たち」となります。そして、計画が受け入れられることが確実になります。


組織化の段階

組織化には、大きく分けて4つの段階があります。

1、準備
2、ボランティアを集める
3、ボランティアによるワークショップ
4、市民ワークショップ(子供ワークショップ、早朝ワークショップ、イメージ作りを含む)

準備

コ・デザインのワークショップを開催するための議論は、およそ3ヶ月前に始まります。中心委員会と関心のある住民の全員が最初の会議に出席し、コ・デザインがそこで準備と手法について話し、ワークショップのプロセスを説明し、過去のワークショップの例とその結果を紹介します。

学童が参加する「壁の町」エクササイズについて、学校の担当者への説明も行われます。そのようなプロジェクトの詳細は契約書の中で説明されています。しかし、その内容は大いに幅があります。通常、ワークショップの料金はこれらすべての段階を含む均一料金です。(準備、ワークショップ、展示、レポート)

しかし、中心委員会がボランティアの役割として提示しているようにワークショップの組織化を行うなら、料金を割り引きます。ワークショップの組織化そのものに委員会を招き入れることによって、コ・デザインはワークショップ・プログラムにおける公共の所有の感覚をさらに強めます。


ボランティアを集める


1、ワークショップのおよそ6週間前、中心委員会がワークショップの組織化に責任を持つ少人数のボランティアグループを作ります。このグループは中核グループと呼ばれ、そのチームワークによってワークショップを可能にします。

2、コ・デザインの代表者は、地域の中核グループのメンバーと頻繁に顔を合わせます。最初の頃の会議では、ワークショップの目的は何か、ボランティアの役割は何か、ボランティアはどういう段取りで行動するのか、組織するにはだいたいどれくらいの時間がかかるのか、などの疑問に答えます。

3、ボランティア組織の役割は2つあります。
(1)ワークショップを地域のイベントにすること
(2)ワークショップにできるだけたくさんの人を集めること

多数の小さな仕事が明確化されます。これらは40人~100人分の参加者の助けが必要です。ワークショップの準備にたくさんの人が関わり、これらの人々がイベントに参加する可能性が高まります。

4、中核グループは、最初に60人までのボランティアを集める必要があります。これが不可能だと考える人もいます。「ボランティアをしようという人を60人もどうやって集めたらいいのか?委員会の会議に出る人を集めるのだって難しいのに!?」しかし、大した努力もなく、それは可能です。

5、例えば、コ・デザインとの準備会議に出席する中核グループのメンバーは、通常、ワークショップで使われる市民参加のプロセスについてよく理解しています。これらの人々は、ボランティアを集めるのに明らかにもっと大きな成功を収めます。

ボランティア候補者に打診するにあたっては、参加したくなければ断ってもよい、ということを分かってもらうことが大切です。また、他にもその仕事ができる人はたくさんいること、参加したいなら1つの仕事がある、ということを知らせます。

その地域で積極的にボランティア活動をしている人は、他の人々にその役割を譲るために断るかもしれません。それでもこれらの人々は、通常、このイベントに大きな関心を寄せ、成功すると安心するものです。

6、ボランティアを集めるときの要点は、あまり煩わしくない仕事、誰にとっても楽しい仕事、ということです。次に挙げるボランティアのリストは、およそ40人の参加が見込まれるワークショップのものです。挙げられた役割を果たすために必要なボランティアの人数(合計40人)は括弧の中に記されています。

(図)ボランティア構成
   中心委員会組織委員会
   進行係アーティスト
   コ・デザイン
   広告チーム
   電話チーム
   受付
   司会者
   カメラマン
   書記
   軽食担当者
   音楽担当者
   報告書作成チーム
   準備・後片付けチーム

A、組織委員会   イベントを計画し、報告書の作成を監督する(4~5名)

B、広告チーム   ポスターを作って掲示する(4~5名)

C、準備・後片付けチーム   壁に紙を貼り、あとで絵を丸めてラベルをつける。椅子を並べる。受付のテーブルを用意する。イベントのあとで会場を片付ける。(4~5名)

D、電話チーム   すべてのグループとコミュニケーションを取り、全員にワークショップへの参加を忘れないように連絡する。(4~5名)

E、受付   参加者を迎える。資料を手渡す。遅れてきた人たちを会場に案内する。(2名)
(イラスト)「本日、コ・デザインのワークショップを開催」

F、司会者   ワークショップの開会、目的の説明、コ・デザインの進行係を紹介する。ワークショップの閉会(1名)

G、ワークショップ進行係   タイムラインにすべての活動を記入し、アーティストを紹介する(コ・デザイン)

H、書記   現地視察でグループに同行し、発言を記録する。また、現場の様子を描写する少人数のグループでの話し合いをリードし、グループがアーティストに描画の指示をする間、知覚的な性質を記録する。(10名以上、参加予想人数の4分の1)

I、アーティスト   グループの指示に沿って活動の様子を描写する。(コ・デザインのアーティスト、参加者4人に対し1人)

J、軽食担当   飲食物の購入、並べる準備、ドリンクの用意(4~5名)

K、音楽担当   ギター、フルート、ハープなどで緩やかな音楽を演奏して議論の流れを和やかにし、デザインワークショップに穏やかなBGMを作り出す。ミュージシャンの手配ができない場合は、静かでリズミカルな音楽を録音したもので代用する。(1名)

L、カメラマン   イベントの様子や、ワークショップで作られたデザイン画や表を報告書のために記録する。(2名)

M、報告書チーム   報告書を書いてまとめる。(4~5名)

書記、軽食担当者、音楽係、カメラマンなどは本番のワークショップの間は仕事で忙しくしているので、通常一週間前に行われるボランティアのためのワークショップに招いて参加してもらいます。


ボランティア・ワークショップ

1、ボランティア・ワークショップは、典型的なワークショップを予行する形で行われます。これによってボランティアは自分のデザイン・アイディアを表すことができます。(本番のときには時間がないからです。)また、これによって市民ワークショップの当日の流れを知ることができます。

2、3時間のセッションの間、コ・デザインのアーティストを補助する地元のアーティストたちは、それぞれに描画を練習します。その後、イメージ・ワークショップの間、アシスタント・アーティストはコ・デザインのアーティストが大まかに描いた絵を完成させます。

3、コ・デザインのアーティストは、地元のアーティストと書記を含むボランティアグループと一緒にアイディアを視覚化するためのセッションを行います。地域のアーティストらは、これによってグループ・ディスカッションの流れや描画、描画に必要なメモの取りかたなどを実地に経験します。

それぞれのグループの絵が完成したら、コ・デザインのアーティストと書記は地域の人々と交代します。別のドローイング・ボード(フォームのついた厚みのある画用紙)を使って地元のアーティストと書記がコ・デザインの手法を練習し、グループの参加者たちが絵と文章の作成を指示していきます。

大勢の人々の前で絵を描くことに尻込みする人もいますが、それを楽しむ人々もいます。練習を重ね続けることによって、人々に作画能力を試されているという感覚は消えていきます。

4、セッションはとても心楽しいものです。ボランティアたちは自分のアイディアを発言する機会を得るし、市民ワークショップへの期待が高まってきます。そして自分たちのアイディアがすべて市民の声の一部として本番のイベントで展示されることにもわくわくしてきます。


市民ワークショップ

本番のイベントは大きなホールや体育館や同様の場所で開くことができます。窓やドアのない壁が少なくとも一面あること、40人以上が座れるように椅子を並べる広さがあること、アクティビティーに必要な明るさがあること、軽い飲食のための設備があること、が条件です。

地域の中での位置づけも大切です。地元の学校の体育館、教会の地下室、公民館などが向いています。そのような場所がない場合は、テントを立ててワークショップを開く必要があるかもしれません。


イメージ作りのための参加を促す


それぞれのコ・デザイン・アーティストは、半円状に詰めて座った4人の参加者のために絵を描きます。アーティストは、グループからの提案に応じて絵に描き加えていき、デザイン作りを行います。参加者と軽く目を合わせ、人々が提案に同意しているか、そして作画が参加者の意向に沿って進んでいるかを確認します。4人より大きなグループだと、素早く目を合わせることが難しくなります。

(イラスト)ワークショップのための典型的な会場の間取り
*子供たちのための作画エリア
*ステージ
*ミュージシャン
*作画タイムのときに子供たちが描いた絵のディスプレイ
*アーティストと書記のトレーニングの際に描かれた絵のディスプレイ
*アーティストと書記、および4~5人の参加者、「デザイン・タイム」のステージ用
*軽食エリア
*受付
*入り口(1つ)
*案内エリア
*PEP図、3つの決まり、現地見取り図、現地写真、スケッチなどを大きく展示
*タイムライン上のリストのための長くて白い紙
*進行係
*開会時およびアクティビティーをタイムラインに記入する時に使う椅子を並べる

(写真)実際的な理由により、グループの最大人数は参加者4人およびアーティスト1人に留める。この写真のような大きなグループだと、どうしても1人や2人の視界が遮られ、積極的な参加が難しくなる。(撮影:SAIT電子メディアサービス)


市民ワークショップのスケジュール

普通は、地域で他に大きなイベントのない土曜日に行います。午前遅くから夕方くらいまでです。詳しいスケジュールは以下のようなものです。

9:30-10:00AM ボランティアが到着して会場と託児エリアを整える
10:30        参加者が到着する。資料を受け取り、コーヒーやクッキーなどをつまむ
10:45        司会者が開会の挨拶をする
11:00        コ・デザインの担当者が子供たちを対象にして「壁の町」のエクササイズを行う
11:30        タイムラインに一日の活動を記入し始める
正午         現地視察と戸外での昼食(悪天候の場合は現地視察の後で会場に戻って昼食を食べて温まる。)
1:00PM      現地視察から戻って参加者の発言を書き出す
1:15        イメージ作りを開始する。ミュージシャンが演奏を始める
3:15        優先順位を決めるための投票を行う
4:00        司会者が閉会の挨拶をする。同時にコンセプト・デザインのための集中作業スケジュールと展示会のスケジュールを発表する。
4:15        後片付け担当のボランティア・グループが絵を回収し、会場を片付ける
[PR]
by ammolitering7 | 2013-01-22 15:11 | 「コ・デザインの手法」

コ・デザイン デザイン参加の手法4

21ページから
2、ボランティアと支持者を惹き付ける

コ・デザインのワークショップには大きなボランティア・プログラムがあり、それぞれのボランティアに何らかの小さな仕事が割り当てられます。これは積極的な支持者の大きな集まりを意味しており、プロジェクトの最初の段階と融資の成功のための大きな要因です。

3、都市計画者の能力の向上に貢献する

プログラムは通常、部分的に地域団体と市によって財政的に支援されているので、都市計画者のプロとしての能力を高め、彼らの仕事を参加プログラムに集中させます。

4、たくさんのアイディアを生む


大人も若者も、ワークショップに参加する人は皆、能動的な参加をすることができます。アイディアは相反するものであってもすべて受け入れられてイメージ化され、地域に提示されます。

5、議論を集中させる

議論は、新しい場所、あるいは新しくされる場所で経験される生活に関する一連の質問に焦点を当てます。どんな活動がなされるか、いつ何人が参加するか、どんな場所であるべきか、などです。これらの問いに集中することで、参加者は自分の経験から、その地域に関する自分の知識、そしてそこにある暮らしと仕事の知識から、議論に貢献することができるようになります。

6、参加への障害を取り除く

マネージメント方針を知らないこと、都市計画や建築に関する専門知識がないこと、年齢なども、参加への障害にはなりません。主に視覚的な手法なので、言葉の壁を越えることができます。政治的な事柄に関して述べられた意見は、「もしもあなたの他の目標がすべて達成されたなら、この場所で何をしていますか?」と尋ねることで焦点を戻すことができます。

7、地域の人々がアイディアの意味合いを理解するのを助ける


それぞれのアイディアに添えられた絵と言葉によって、理解しやすくなります。そして、それぞれの住人の暮らしの中での実際の経験として想像しやすくなります。

8、重要な事柄を浮き彫りにする

参加者は、どのアイディアを優先するかということを決めるために、すべてのアイディアに投票します。多数のアイディアと、それらを描写する絵と言葉によって、地域の優先事項の定義を緩和します。(?)

9、人々が建築計画を理解する助けになる


計画の詳細部分のそれぞれがイメージと関連しています。細部は計画の現実を説明し、個人の経験の中ではそれが何を意味するのかということを説明します。

10、アイディアに再考の機会を与える

ワークショップの2、3日後にコンセプト・プランを展示すること、そして最終的な展示の前に地域を巡回する展示によって、誰もがもう一度見直し、膨らみすぎたアイディアを静めさせ、もっと現実的に実店する方法を探ることができます。

11、強く一体化した提案を可能にする


ワークショップに多くの人が参加すること、多くのアイディアが出されること、優先投票、作品を地域で巡回することによって、市の担当者や融資機関に説得力のある提案ができます。

12、住民の希望をプロの手で目に見える形にする


コ・デザイン・チームのプロとしての専門知識や経験によって、地域と都市計画者との間の橋渡しをすることができます。また、住民の希望を現実的に形にしたものとして、担当者に深い印象を与えることができます。

13、意思決定を導き、将来的な開発を促進するためのイメージを作る


イメージは、ライフスタイルに加えて新しい場所の雰囲気や特性も示します。計画に添えられたイメージを見た融資担当者、開発者、企業らは、これらのイメージが地域住民によって作られたことを知り、将来的な開発案を提出する際にガイドラインとして用い、安心して仕事を進めることができます。

14、地域の活力を増す

大勢の人が集まって自分のたちのアイディアを表明し、共有し、そして優先すべき事柄は何かと探ります。ワークショップはそれぞれの人々が得意とする分野に議論の焦点を当て、可能性を可視化させ、アイディアをまとめてコンセプトにする手助けをします。

15、地域の価値観を尊重する

地域の価値観とは、共有される理解と希望を指します。人々は、地域に受け入れられるだろうと感じるアイディアを出します。多くのこのような個々のアイディアをまとめてみると、それが地域の理想の表明となります。それは地域の価値観の認識を目覚めさせ、人々がその真価を再評価するきっかけとなります。そしてそれは生き生きとした力強い地域の姿を浮き上がらせます。

16、それに続くデザインにおける創造性の広がりを強める


デザイナーたちは、コ・デザインのワークショップで地域の人々が予想以上に多くのアイディアを出すことに驚くものです。また、ワークショップによって利用者のニーズをよりよく知ることができるため、時間の節約にもなることに気がつきます。ある造園建築家は、子供向けのコ・デザイン・ワークショップのあとで、「すばらしい、ほんとうに楽しめた。子供を含むのはほんとうにいいことだ」と言いました。子供を除外すると、デザインは「子供の刺激を欠くことになる。私は疎外されたように感じる。」しかし子供が入ることで「デザインをもっとずっと簡単に思いつく。」(注10)


23ページ
参加者:人々を集める

計画会議に人を集めるのは、共同体の大小に関わらず、繰り返し起こる問題です。地域の計画会議は、計画者があらかじめ人々に知ってもらおうと大変な努力をしたにも関わらず出席者が少ないというのが普通です。コ・デザインの手法には、人集めに役立つ2つの特徴があります。

1、ボランティアとその家族や友人
2、現場で絵を描くこと

まず、40人以上の大きなボランティアグループを作り、それぞれに小さな仕事を与えてワークショップを組織します。彼らがポスターを作って配り、会場を整え、軽食と音楽を用意し、書記や現地視察のガイドとして働き、または仕事の一部としてワークショップに参加します。ボランティアはワークショップイベントの当日に家族や友人を連れてきます。

第2の特徴は、アーティストがその場で絵を描くという点です。これらの特徴によって、ワークショップがイベントの様相を呈するようになります。準司法的に行われる正式な計画会議と比べ、参加者のアイディアを尊重する祝いの場になるのです。

氷点下40度の真冬の吹雪の中で行われた100人以上が参加したワークショップについて、カルガリー・ヘラルド新聞のボブ・シールズ記者がこう書いています。「冷やかしにきた多くの人々が信奉者になった。たしかに、妙なアイディアに思えた。市の中心地にあるハイ・リバー地区のイメージを改善するにはどうしたらいいかということについて、アイディアを持っている人たちが招かれ、アーティストたちと一緒に提案を絵にしていく---最も人気を集めたのは、その場で絵ができるということだ。人々は町を改善するためのアイディアを出し、アーティストたちがそれを絵にしていった。」(注11)


利用者の貢献

1、その場所を利用する人々はとても豊かな情報源となり得ますが、大概はデザイナーはそれにアクセスすることができません。コ・デザインは利用者の参加を3つの段階に分類します。

(1)現在の環境を固定したプロジェクトではなくプロセスと捉えること
(2)環境の「現実」を経験すること
(3)「理想的な」目標へ向けて環境の開発への次のステップを踏むこと

2、利用者たちは次のような分野においてデザイン作成の過程に貢献します。

(1)暮らしのあり方

利用者たちはそれを詳しく、細かく知っています。そして彼らは、建築物が持たねばならない詳細な機能について最良のアドバイスをしてくれます。

(2)現場の価値

その場所に住む者、あるいはそこで働く者として、彼らはその場所とその価値を熟知しており、現地データの書類よりよほど効率的に、早く、そして詳しくこの知識を伝えてくれます。彼らの知識は、建物において行われる活動に焦点が当てられています。

(3)時間

利用者は、その場所の暮らしについて、朝、夜、そして一年中の様子を知っています。何事もないときの様子、華やいだときの様子など、すべてを知っています。

(4)歴史

彼らは、その場所の過去、懐かしい思い出、愛してやまないものを知っています。

(5)動き方

彼らは、歩道や近道について、歩いたり自転車に乗ったりするときの流れについて、自転車でいくときの一番便利な道順などについて知っています。

(6)費用

経験から、大金のかかることを要求するかもしれないという恐れにも関わらず、利用者は費用を抑えることに協力的です。彼らは、何が必要かを知っています。普通車で十分なときに高級車は要りません。彼らはどこを節約したらいいかを知っています。彼らはまた、費用は税金となって跳ね返り、自分たちの懐から出て行くことを知っているため、担当者が過度な出費をするのを止めようとします。

行政の担当者は、往々にして私たちが「ナポレオン風」と呼ぶ壮麗な建物を建てたがります。自分の業績の集大成として、偉大な記念碑を残したいという心理によるのです。

(7)現実的な配慮

利用者たちは、何が実現可能か、そして未来に持ち越すべきは何かについて、経験に基づく適切な判断を下します。彼らの考えは現実的です。


若者たち

「都市計画の理想は、子供たちが町を利用できるようにすることだ。なぜなら、これは自分たちの町だという感覚を持った市民を育てられない都市は統治可能ではないからだ。」ポール・グッドマン(注12)

変化する環境に対する不安と抗議の声を上げた子供たちとのやり取りがコ・デザインの手法のきっかけとなりました。それは手法の特徴を形作ることにもなりました。難解な専門用語を避けること、議論のベースとしてその環境の個人の経験に焦点を当てること、そしてイメージを使うことによって、子供たちも大人と一緒に参加することができます。

(写真)ワークショップに託児サービスを設けるのは良いアイディアですが、子供たちが大人と一緒に参加したがる場合も少なくありません。ここでは、アーティストが幼児とその母親のために描画をしています。(撮影:スティーブン・ヘイワード)

(写真)ぬいぐるみを持って参加している子供(撮影:ドン・ワイズ)

1、子供が参加した最初の2回のワークショップは1972年にカナダのノヴァ・スコシア州で開かれました。最初のワークショップがポート・ホークスベリーで行われたあと、中学生の少年3人がヒッチハイクして200マイル(およそ320km)離れたハリファックスでの2回目のワークショップを手伝いにやってきました。

2、次の二つのワークショップはバンクーバーで開かれました。2回目のでは、1回目のに参加した5年生の少年7人に見覚えがありました。市街地を25区画歩いて助けにきてくれたのです。このような反応がその後も繰り返されました。

3、子供たちには二つの傾向が見られたため、彼らがデザイン・ワークショップに参加する前に行う特別イベントを開発しました。最初の傾向は、建築された環境が変化するのを受け入れることができない、というものです。彼らは人生の早い段階で安心と安全と必要としています。

彼らは、両親は部屋を出て行っても戻ってくる、そして後には、近所に出かけて戻ってきたら家がそこにある、ということを知る必要があります。子供の中のこの傾向が、彼らの中に環境が変化するプロセスを認識できないようにし、変化を見るとそれを恐れと嫌悪を持ってみるというようにするのかもしれません。

4、第2は、子供に限ったことではありませんが、変化に対して「彼ら」という存在に責任を転嫁する傾向です。遠く離れた「彼ら」とは、政府、開発業者、エンジニア、建築家、そしてブルドーザーさえも意味します。この見方を取り除くために、コ・デザインでは「壁の町」と呼ぶ特別なイベントを行います。そこでは、子供たちが小さな村が大都会へと発展していく様子を大きな紙の上に描きます。

5、子供たちは都市化のプロセスと結果を自分たち自身に、そして見る人々に示します。彼らは、開発とは異質な力がやってきて環境を駄目にしてしまうというものではなく、私たち自身の行いだということを示します。最初はのどかな村でしたが、賑やかな町になり、やがて高層ビルが立ち並び、高速道路といろいろな産業と人口過多でごみごみした巨大な都市になります。子供たちは自分たちが描いた都市をみて、それを嫌います。彼らは自問します。「どうしたらもっと良い町が描けるだろう?」

6、プロセスの次のステップは、現地を実際に歩いて視察することです。これによって子供たちは開発に参加しているという実感を得ます。彼らは自分たちの住む地域をとてもよく知っています。そこは彼らの遊び場であり、彼らは大人たちを自分たちにとって時間を忘れて楽しめるような特別な場所に案内してくれます。子供にとって安全な場所は、すべての人にとって安全なのです。

7、身体的な感覚をデザインの基盤とすることを通した議論のあり方によって、子供も参加することができます。動きと地面の様子には足、トイレと食事の時間と間隔にはお腹、友人や身近な人のためには心臓、雰囲気には頭、風景には目、音には耳、空気の動きと物の表面の感じには顔と手、そして匂いには鼻。

子供たちは大人よりずっと感覚的です。コミュニケーションにイメージを使うことによって、子供たちは自分の意見を言うときの気後れを乗り越えることができ、安心して絵を描くことができます。

8、1974年にバンクーバー市内の住宅地マウント・プレザントの開発のために行われたワークショップでは、私たちは若者たちの興味を計る機会を得ました。この地域の人口構成は、子供から老人まで均等に配分されていました。調査の最初の頃には、25歳から34歳までの人々が私たちと一緒に地域の未来について議論するのに最も積極的でした。その次は15歳未満のグループでした。

第3は15歳から24歳でした。老人グループを訪問したりビジネスマンたちとの会合を持ったりもしましたが、調査の間中、この割合は変わりませんでした。年長の人々を惹き付けようと努力すればするほど若者たちが集まる結果となったのでした。興味を示した参加者たちの80%以上は34歳以下の人々でした。


老人

1、老人たちの中には、「若者たちのいいようにさせたらいい。私たちの時代は終わった」と言って参加を渋る人たちがいます。彼らはしばしば、その場所の歴史や過去の様子や問題について語ることのほうを好みます。彼らはそうすることで大きな役割を果たすことができます。

これから起こる変化を歴史的な継続性に基づいたものにする助けとなるほか、過去にこの場所で改善に向けて働いた多くの住人たちへの地域としての尊敬の念を強めることができます。

2、グループでの話し合いの中で、老人たちはしばしば若者たちへの親近感を見せ、彼らのアイディアを喜びます。そして若者たちもまた、老人たちの経験に喜びと驚きをもって耳を傾けます。普通は若者と老人は互いに大いに楽しみながら参加します。

しかし、一部の老人たちは、若者たちのエネルギーに当惑し、彼らがいることに怒りのこもった抵抗感さえ示します。若者たちがいることで、彼らは会合が正式なものではなく、議論も取るに足らないと感じます。イベントを組織する段階で、老人たちにこの会合には若者たちも参加するということを知らせておく必要があります。

3、社交的なイベントとして計画されているこのワークショップでは、老人たちのために特別な手配がされています。無料の軽食が用意されており、これは往々にして老人たちを惹き付けるための重要な要素になります。さらに、その場所の歴史について語ることを希望する老人のためには、ボランティアの書記を用意します。

明確な発言のできる老人が望む環境について語るときは、特に注意深く記録されます。それは普通、黄金とも言うべき知恵の言葉です。長い経験と人生に対する深い理解に基づき、誰に対して偉ぶるでもなく語られるからです。それは特に強調するでもなく小さな声で語られることが多く、繰り返して語ってもらえない場合もあります。したがって、書記係は注意して聞き、よく聞き取れるように他の人たちの議論を静める必要もあります。


政治家と都市計画者

コ・デザインのワークショップでは、政治家はその場をともに楽しんで利用する地域の一員として受け入れられます。彼らは明確な発言ができ、各地に旅行した経験も豊富である場合が多いので、すばらしい参加者になります。彼らは個人的に好むことを言う機会を得て喜びます。彼らの存在は地域と政府の間の結びつきを強め、政府の行為が地域のアイディアを認識するような雰囲気を作ります。

同様に、都市計画者の存在は、ワークショップに続く実践計画に関する議論との継続性を作ります。都市計画者は、地域が目的を達成するのに必要な事実(データ?)を提供します。そして、コ・デザイナー(特別に訓練を受けたアーティストたち)は、地域のために自分たちの才能を共有し、自らの表現能力を高めます。
[PR]
by ammolitering7 | 2013-01-22 15:06 | 「コ・デザインの手法」

コ・デザイン デザイン参加の手法3

2.Co-Designワークショップ
「典型的なCo-Designのワークショップ」
この情景を思い描いてください。土曜日の朝、Co-Designのワークショップの日です。地域の人々は、大きなイベントに期待を寄せながら何週間も計画を立ててきました。レクレーション・センターであれ、公園の計画であれ、大通りの活性化計画であれ、学校の新しい施設であれ、ワークショップの主題に馬取り組もうという希望が人々の心で躍動しています。

参加者が会場にやってきて、すっかりワークショップの用意が整っている様子を目にします。地域のボランティアの人たちが挨拶をして、その日のプログラムを手渡し、脇に用意されたテーブルでコーヒーやスナックでもてなし、小さな子供たちを託児室に連れて行きます。

別のボランティアの人たちが壁に当該地域の大きな航空写真と地図を貼ります。他の人たちは壁に大きな白い紙を貼り、その前に半円状に椅子を並べ、やってくる参加者たちに着席を促します。行政府の議員たちが挨拶をして周ります。参加者たちの間に記者たちが座り、最後の準備が進んでいます。

Co-Designのアーティストたちは芯にフォームが入ったスケッチボードに製図用紙を貼り付け、色とりどりのフェルトペンを揃えて絵を描く準備を整えています。彼らの周りの壁には、あらかじめ現地周辺を視察したときに描いておいたスケッチが何枚か貼ってあります。ワークショップの始まりが告げられ、地元のギター奏者の演奏が止まります。

「ワークショップを始める」
地域の町長など、地元の有力者を司会者として招き、開会の挨拶をしてもらいます。司会者は参加者に歓迎の言葉を述べ、その日のイベントの趣旨、ワークショップで取り扱われる計画問題の状況、そして長期的な計画過程における参加者の貢献を説明します。それから司会者は、これからワークショップを指揮するCo-Designの担当者を紹介します。担当者はワークショップで行われる活動の順番を説明し、子供たちを前方に招きます。ワークショップは子供たちから始まるのです。

「壁の街」
子供たちは壁に貼った長くて白い紙の前で床に座ります。そして、自分たちなりに原野が都会へと変わっていく様子を絵に描きます。子供たちは、海に突き出した想像上の場所を訪れて想像するように促されます。Co-Designの担当者が誰もいない場所の様子を描き、子供たちは自分がそこにカヌーでやってきて水辺に小さな家を建てる様子を想像します。次に子供たちは、そこに友達もやってきて近くに家を建てて住みたいかもしれない、と告げられます。ここで子供たちは村の発展の始まりを見て、新しい村で人々が何を必要とすると思うか、と尋ねられます。店、教会、あるいはスケート場かもしれません。子供たちが思い思いの答えを叫ぶと、彼らは前へ出てクレヨンで自分のアイディアを紙に描くように促されます。10分もしないうちに、50人もの子供たちが紙の前で押し合いへしあいしながら地域で必要なものを描きます。

(写真)海に突き出した土地

(写真)「壁の街」エクササイズで友人たちが近くに家を建てている(写真:ジョン・マッケンジー)

(写真)子供たちが店を描いている様子(写真:マーガレット・キング)

23ページ
「壁の街」エクササイズは、都市が発展する中で生じる多くの人間的な特徴を微細なレベルで表面化させます。子供たちは互いを押しのけてダウンタウンのスペースを確保します。街の真ん中に無理矢理高速道路が作られます。公園が無くなると不満の大声が聞こえます。ある子供はまだ空いているところに木々に囲まれて馬が家などがある緑の島を描き、その上に何か建てようとする子供から土地を守ります。別の者は脇に立って、他の子供たちがわいわいと我先に振舞う様子を疎ましそうに眺めます。自信たっぷりの子供は紙に突進し、他の子供たちもそれに続いて都市の破滅をもたらします。また別の子供は仲間たちに「ちょっと待って。どんな街にしたいか考えなくちゃ」と発言します。そして彼らがそう言ううちにも、その後ろにいる子供たちは描き続けます。(注8)

(写真)レストラン(写真:ジョン・マッケンジー)

一歩離れて自分たちの作った街を見ると、子供たちは直ちにがっかりした顔をします。自分たちの作った街に住みたいか、と聞かれると、彼らは決まって「住みたくない!」と答えます。30分の間に子供たちは街の始まりから破滅までを見ました。そして、指導者は、私たちの環境を滅ぼすのはどこかから来た宇宙人ではなく、私たち自身なのだ、と説明します。

(写真)Co-Designの指導者が子供たちに自分のアイディアを描き加えるように促す。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)これらの子供たちは自分たちが描いた「壁の街」を見てがっかりした様子を示す(写真:ジョン・マッケンジー)

「一日の活動」
Co-Designの指導者は、新しい紙に太陽の動きを表す螺旋を描いた時間線を引き、昼と夜を表す時間を書き込みます。そして「新しい場所で、何が行われますか?午前6時には?7時には?」と尋ねます。聴衆は、自分たちの日常の生活に照らした活動を返答します。「朝寝坊」、「ジョギング」、「歩いて仕事に行く」などです。それぞれの返答が時間線の対応する場所に書き込まれます。指導者は質問を続けます。新しい場所での平日と週末、祝日や特別なイベントのある日、すべての季節での生活のすべての側面をリストアップするように促します。もしも聴衆からの返答が多すぎて担当者が正しく記録できないなら、書記を選んで返答を指導者に伝えたり、すべての返答を記録したりして、誰も見落とされないようにします。

(図)活動の時間線

(写真)参加者は現地の様子を予想して、思いつく活動を発言する。(撮影:チャック・ニズベット)

(写真)ワークショップの指導者が時間線に活動のアイディアを書き入れる。(撮影:チャック・ニズベット)

これが終わると、参加者たちは筆記係一人あたりに3人のグループに分かれて、リストアップされた活動の中からどれか一つを選ぶように促されます。それからグループごとにCo-Designのアーティストを選び、皆で軽食テーブルに行ってサンドイッチをつまみます。

(写真)活動リストの詳細。実際のワークショップで作成された活動時間線の一部。参加者の発言が多く、多岐に渡ることが見て取れる。その中で、例えば「バスが子供たちをピックアップする」、「車が止まる」などの活動が続くイメージ・ワークショップのテーマとして丸で囲まれている。(写真:ドン・ワイズ)

「現地を歩く」
次に、天気がいい場合には、グループは昼食を持って現地に赴きます。それぞれのグループは、自分たちの選んだテーマに関わりのある特質に留意しながら現地を視察します。アーティストと筆記係は、参加者たちに体の動きや行動、時間や季節、周囲にいる人数、場所の雰囲気、光、方角、眺め、音、手触り、匂いなどの観点を考慮するように促します。残すべき特徴や改良すべきこと、制約などを書き留めます。

筆記係はすべてのコメントを記録し、その地域の地図に特徴を書き込みます。会場に戻ると、それぞれのグループが壁に貼った大きな地図にコメントを書き入れます。その際、ギター奏者が静かな音楽を奏でています。椅子は5つのグループ別に配置し直されています。それぞれのグループは、Co-Designのアーティストを中心として座ります。

「話し合いの決まり」
続く話し合いの間、参加者は3つの決まりを守るように言われます。
1、自分自身の意見だけを述べる。「私たちは」ではなく、「私は」と言い、他の人のことはその人の発言にまかせる。
2、否定的な発言をしない。もしも誰かが挙げるコメントが気に入らないなら、代替案を挙げる。
3、この段階で解決策を導こうとしないこと。その代わり、すべての案を記録しておく。アイディアが自然に流れ出るにまかせること。

「イメージ図を作る」
アーティストがスケッチ・ボードの上部に活動の名称を書きます。最初はその活動を行っている人物を描き、そしてアーティストはグループの指示に従って更に人物を加えます。質問と返答を通して、参加者たちは(屋外)家具や植え込み、車、建物その他の環境要因を示唆します。そのどれもがイメージ画に加えられます。示唆されるたびに、アーティストは参加者の目を見て、イメージが正しく描かれているかを確かめます。計画、メモ、その他の描写項目はイメージ画の横に列記されます。

(写真)現地の視察。筆記係はクリップボードを持ってアーティストと参加者たちに付き添い、一緒にデザイン課題の設定条件を自分の目で見ます。(写真:チャック・ニズベット)

筆記係は絵の作成と同時進行でコメントを記録し、「体の動きと行動」、「人々」、「時間」、「雰囲気」、「景色と光」、「色」、「音」、「手触り」、「味わい」、「匂い」などの項目の下に書き込みます。相反する提案がなされたときは、速やかに解決策が出されない限り、代替案も書き込みます。

(漫画)「8時には何をしていますか?」「ご飯を食べています。」「食べる」、と書き込む。
「温かい色」「光と色」の項目に「日光、日中の光、夜にはロウソクの明かり」と書いてある。
「どんな入り口ですか?」「アーチ型の、丸みのある入り口です。」

活動のリストからイメージ画までの流れ。
A.活動リスト
B.グループが一つの活動を選んで詳しく調べる。
C.現地を視察したあと、アーティストが活動の名称を書く。
D.参加者が情景を描写する。
E.F.アーティストがグループのアイディアを絵にする。

イメージ画の線画が完成したら、アーティストはグループに色やテクスチャーを加えるように促します。最後に、参加者が自分の名前を記入します。アーティストは最後にグループに促されてからサインをします。完成した絵とそれに添える説明書きを壁に貼ります。その横には今日のプログラムの最後の項目である採点評価のための用紙を貼ります。

「優先順位を決めるための投票」

参加者は軽食を手に会場を歩きまわり、たくさん貼り出された絵を見ていきます。彼らは互いにそれぞれの絵の特別な特徴を説明し、、アイディアの意味について議論します。

アーティストが絵の横に立って、採点方法に関する質問に答えます。参加者たちは、時間線の上の自分たちがテーマに選んだ項目を丸で囲みます。それから絵に添えられた評価表に、それぞれのイメージについて4段階の評価を行います。

1、すばらしい。ぜひ実現したい。
2、もっとデザインに工夫が必要だ。
3、費用がかかりすぎる。
4、ここには向かない。

評価の要点を強調するためにコメントを加えます。項目の横にたくさんの印がつけられるので、人気のあるアイディアはすぐに分かります。

(挿絵)情景ができあがっていく。

(写真)イメージ・ワークショップは多くの人々を結びつける。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)公共デザインはすべての人を引き入れる。Co-Designのアーティストが子供のアイディアを絵に描き、彼をグループの議論に参加させる。(写真:ジョン・マッケンジー)

(写真)アーティストが熱心なグループのために2枚目の絵を描き始める。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)参加者がアーティストを手伝っている。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)子供たちの中には自分で絵を描きたがる者もいる。(写真:ドン・ワイズ)

(写真)参加者たちが自分たちが作り出した絵を評価して採点する。(写真:ドン・ワイズ)

「ワークショップを終える」
地域の代表者がプログラムの次の段階を説明してワークショップを終える。この後は、市民全体が見て採点できるように絵を展示され、都市計画者、デザイナー、そして行政府に報告書が提出されます。ボランティアたちが絵とコメント表を集め、地図と活動リスト図を丸め、会場を片付けます。

30ページ
(写真)アーティストたちと地域住人たちがアイディアを集めて構想プランに練り上げる。

「アイディアを有効化する ー 構想デザイン最終仕上げの討論」
Co-Designの中心的なアーティストたちがワークショップの後日に集まり、アイディアを持ち寄ります。都市計画専門家と一緒に社会計画、交通、経済などの事柄について議論します。地域の計画委員会も出席します。

アイディアを視覚化するセッションの結果は現地を何度も視察して議論を行いながら解析されます。Co-Designのアーティストは、イメージと言葉を相応のデザイン用語に翻訳します。例えば、ワークショップの参加者が静かに会話を交わせる場所を望んだ場合、これは音響状態を意味し、交通の騒音を無くしたり抑えたりする必要性を意味します。日光があるほうがいい、という希望があれば、それは南側の建物の高さを制限する必要性を意味します。活動に参加する人々の推定数は、必要とされる広さを示しています。徐々に、ワークショップの優先的なアイディアは「デザイン部品」へと発展します。それから部品は図案構想デザインへと組み合わされ、大きな設計図が描かれます。イメージとして表現されたそれぞれの優先項目が構想計画内に番号で示されます。

(写真)ワークショップで作成された絵と、それに基づいて作られた構想計画が市役所のロビーに展示されている。(写真:ジョン・ハート)

「一般展示」
絵、説明書き、構想デザインが一般展示で公表されている。その後2~3週間、展示物は地域の会合などで順次展示される。計画委員会が募集したボランティアがすべてのコメントを書きとめる。

「報告書」
報告書にまとめられたワークショップ・プログラム全体の結果は地域のアイディアを記録しています。報告書は、アイディアを現実に翻訳する意思決定者、開発会社、都市計画者、都市デザイナー、および建築家のための参照資料となります。

(32ページ)
3.組織化の原則
「Co-Designのワークショップの性質」
建築の専門家と都市計画者に自分たちが何を欲しているかを述べることによって、住人たちは創造性、地域精神そして政治的な影響力の驚くべき潜在力を発揮した。(注9)(リン・ニューマン・マクドウェル)

参加者たちは、しばしばCo-Designのワークショップに参加した何年も後で私たちに自分たちの経験について語ります。彼らは、結果としてできた建造物に誇りの感覚を感じ、「私はこれを作るのに関わったのだ」と言うことができます。疎外はありません。彼らはその場所を自分たち自身のものとして捉えます。これらの場所では生命力があふれます。それを使う人々によってデザインされたからです。

注目に値するような建造物が結果としてできます。アーサー・エリックソンによってデザインされたバンクーバーのロブソン広場と、その近くにある、バンクーバーの建築家チームと都市および造園デザイナーたちによってデザインされたフォールス・クリーク住宅団地は、すばらしい例です。これらについては後で詳しく述べます。

建築的な担当者として活動するCo-Designのアーティストたちにとっては、それは気分が高揚するような経験です。いったんそれを経験すると、他のすべての建築デザインの過程は不十分で、使用者が提供することができる必要不可欠な要素に欠けています。住人との話し合いはデザイナーの能力を引き延ばします。伝統的な方法だけよりももっと優れたデザイン能力が必要とされるからです。そして最後には、建築的な教育におけるデザインの非常な集中の甲斐のある課題を提供します。デザイナーの熱望のすべてを吸収するに十分な範囲を伴って。多量の情報を交換する中で、幅広いデザイン能力を振るう機会が生じます。計画、都市デザインそして造園建築のデザイン能力すべてが適用されます。

どのような人間の環境の改良でも、使用者によるデザイン参加に適しています。Co-Designのプロジェクトは、大きな都市空間から小さなレストランまで、大自然からとても小さな公園まで、様々です。環境の種類は住宅地、商業地域、教育的、レクレーション、宗教的、そして公共の用途まで含みます。すべてのワークショップの性質は、同じ基本的な形を持っています。

(写真)バンクーバーのロブソン広場。建築家:アーサー・エリックソン(写真:スタンレー・キング)

(挿絵)ワークショップ・プログラムの段取り
   活動を列記する
   現地視察
   アイディアを視覚化する
   優先課題を採点する
   構想デザインを作成する
   地域で展示する
   目的を達成するための方法について報告する

「Co-Designプログラムの段取り」

これらの7つの基本的なCo-Designワークショップの段取りは、住人の環境の改良のデザインのために参加者のアイディアを集めるにあたって指針となります。

1.当該現場が正しくデザインされた場合に行われるであろう活動を列記する
2.その特質を理解するために現地を視察する
3.それぞれの活動のための適切な環境のためのアイディアを視覚化して描写する。これらは「パーツ(部品)」と呼ばれる。
4.パーツの優先事項を採点する
5.パーツを組み合わせ、構想デザインにする
6.構想デザインを地域で展示し、さらなる意見を求める
7.目的を達成するための方法を議論するために、構想デザインを報告書にまとめる

様々に異なる市民が参加する場合、別個にワークショップを開いてアイディアを視覚化して構想デザインに貢献するのも良いでしょう。典型的には、子供のためのワークショップ、ボランティアのためのワークショップ、そして一般市民のためという3つが開かれます。商店主たちは朝食会を兼ねたワークショップに出席して、それから店に戻るのが都合が良い場合が多いようです。

「コ・デザインのワークショップにおいて考慮される場所」
街中や広場などのコ・デザインのワークショップで考慮の対象となる場所は、歩いて見て回るのに適している場合がほとんどです。参加者たちが見て回りたい活動の場所は大抵1マイル四方にあります。その活動のほどんどは歩行者を想定しています。例外としては、自転車や乗馬のための専用道路、ボートやクロスカントリースキーのルートをデザインする場合などがあります。

「コ・デザインのワークショップ・プログラムを行う時期」
コ・デザインのワークショップは、デザインの早い段階で行われます。該当地域を改良するという提案がなされてからコンセプトがデザインされる間のことです。専門的な用語で言えば、コ・デザインはプログラミングとコンセプト・デザインを繋ぐ役割をします。

この段階では、個人またはグループでアイディアを構築します。プランニングや建設委員会、地域の委員会、市の建設課、公園課、市民グループなどです。

一般に彼らの仕事はアイディアが実現可能であるかどうかを調べてコンセプトを構築することです。細かく言えば、プロジェクトに関心を集めること、対抗するグループ同士から寄せられる関心をコントロールすること、プロのデザイナーに指示を与えること、資金繰りをすること、共同体と市の必要性に合ったコンセプトを構築することなどです。コ・デザインのワークショップを開くことについて議論が行われるのはこの時期にあたります。
[PR]
by ammolitering7 | 2013-01-22 15:00 | 「コ・デザインの手法」

コ・デザイン デザイン参加の手法2

17ページ
「背景(事実関係) 需要の広がり」
建築とは地域全体に関する事柄である、というのは、古くからある考え方です。私たちの社会でも昔はそうでしたし、多くの発展途上国では今でも地域社会を作ることや納屋などを建てること、教会を立てることなどは、社会生活で大切な部分を占めていました。彼らは単に建物を建てただけではなく、地域の活力をも築き上げたのです。これらの社会では、地域の公共の建物がないということを社会的な退廃のしるしであると見なします。(注1)

現在では、典型的な地域社会では人々は滅多に自分たちが使う公共の建物を建てる作業に参加することはありません。私たちの都会生活では、社会的な疎外と非人間的な環境は全くありふれています。Co-Designは、地域社会の人々を自分の環境をデザインするという作業に引き込むことによって、この動きに対抗しようという試みです。

歴史的に、地域社会に関わりを持つことは社会的、文化的な重要性が非常に高いとして認識されてきました。ケネス・クラーク卿は古い言葉を引用しています。

「1144年だと伝えられているが、まるで魔法のように塔が空へ向かって建てられていたころ、信仰深い人々は石を運ぶ荷車に体をくくりつけ、石切り場から大聖堂へとひっぱっていた。

情熱はフランス中に広がった。男たちも女たちも、労働者のためにブドウ酒や油やトウモロコシなど重い食料を持って遠くからやってきた。領主たちや貴婦人たちもいて、他の人たちと一緒に荷車を引いた。人々は完全に統制が取れた振る舞いをし、そこには深い静寂があった。すべての人の心が結びつき、誰もがそれぞれの敵を許した。(注2)」

劇をするときやクリスマスツリーの飾りつけをするときなどには、私たちもこのような、共に何かを達成する感覚を味わいます。私たちは互いに対する好意的な感覚に輝き、互いに成功を祝いあい、それほどうまくできなかった者がいれば励まします。私たちのグループあるいは家族としての生命力が強まります。

Co-Designのワークショップでは、私たちは同じ輝きを、参加者の間の友好的な感覚を、そして地域共同体の健全な生命力を目の当たりにします。共同的な創造性は、ないがしろにされていた公共の建物や広場に命を吹き込みます。器物破損行為はなくなります。芸術に社会が関わることの重要性について書いた文章の中で、フランク・アヴレー・ウィルソン(訳注:1914-2009 、イギリスの抽象画家)はこう述べています。「個人が癒され、社会全体が癒される。個人の体と心の状態が癒されるに留まらず、グループや社会の関係全体の病への癒しが生じる。」(注3)

都市デザインと造園を含む建築は、その規模と社会的な影響の面で他のすべての芸術を超えています。特に公共の建築は社会に設定条件を提供し、私たちの日常生活の様々な側面で不可欠な役割を果たします。芸術における社会の関わりの源として、その大きさと恒常的かつ直接的な接触という点で建築は他に比べるものがありません。公共の建築物のデザインは社会全体の生活に影響を与えるので、誰もが関心を持つ権利を有します。

デザインに参加した後は、人々はその成功に自分が貢献したことを誇りに思うことができます。そして、そのことについてのちのち何年も、日々、思い出すことができます。社会の中の建築物が人々の共通する価値観を反映するとき、人々は地域社会の一部であるという感覚を育むことができます。建築デザインへの参加は疎外感を打ち消します。

(18ページ)
「公共建築への関心の高まり」
建築の公共の側面は昔から認識されています。ルネッサンス建築の創始者の一人であるレオン・バッティスタ・アルベルティは1450年代に建築は社会的な関心事であると書いており、建築が完全に公的な活動であるという見方をしたことで知られています(注4)。1800年代の半ばには、ジョン・ラスキン(訳注:1819-1900、イギリスの芸術評論家)「建築はすべての人が学ぶべき芸術である。なぜなら、それはそれはすべての人に関わる事柄だからである」と主張しました(注5)。1900年代の初めには、ウィリアム・モリス(訳注:1834-1896、イギリスのデザイナー)は次のように述べて市民が建築に責任を負うよう促しました。「建築の偉大さは、、、人の人生全体を包み込む。私たちは、自分たちに関わりのあることを一握りの学識のある人々に任せて、彼らに何から何までさせておくわけにはいかない。、、、私たち一人一人が(建築が)環境に対して公正であるか、そして私たちの街の住み心地の良さが確保されるか、ということに目を光らせていなければならない。」

今、私たちは一世紀に及ぶ公共教育のお陰で、比較的平和な世界と知識の高まりという新しい状況を手にしています。人々は自分たちの環境に対して発言権を要求しており、かつてないほど強く意思を主張します。アルヴィン・トフラー(訳注:1928年~、アメリカの評論家、未来学者)は、参加型民主主義について書いた文章の中で次のように述べました。

「状況は国によって違うが、適度に教育があり、全体としてこれほど多種多様な知識を備えた人々がいたことは、歴史上かつてなかった。これほど多くの人々が非常に高い水準の豊かさを楽しんだことはなかった。それは不安定ではあるかもしれないが、社会的な関心事や行動に時間とエネルギーを注ぐことができるようになるのに十分なほどの豊かさである。これほど多くの人々が外国に旅をしたり外国人と意思を疎通したり、他の文化からこれほど多くを学んだりしたことは、かつてなかった。」

人々の知識と明確な主張がCo-Designのエネルギー源となります。地域社会の人々は、自分たちの住む地域をデザインする過程に参加するために、私たちに手助けを求めます。Co-Designの手法は、そのような必要性に応じて、そしてデザインに関する議論の過程で生じる状況に応じて発達します。伝統的な建築教育でも、建築の現場でも、市民と共にデザインをするためにはどうしたら良いかは教えられません。建築学の教育の場において、社会的な事柄や地域社会の組織化、大人数のグループと意思の疎通をするための方策と技術を含めた教育がなされる必要があります。高度な視覚化の技術が習得できるように訓練する必要がありますし、建築デザインの技能にはインテリアデザインやプラニングや都市デザインも含めなければなりません。コミュニティー・デザインに対する新しい見方に対応する新しい手法を開発する必要があります。

一面では、新しい手法は従来のやり方に反する場合もあります。例えば、間取り図に始まって完成予想図で終わる伝統的な建築コミュニケーションの過程を辿るのではなく、Co-Designではその過程を逆に行います。人が過去の記憶を呼び覚ますときは、それは心の目に浮かびます。未来の様子も同じようにして想像することができます。このように、未来の情景に関して意思の疎通を図るときに重要なのは視覚化です。Co-Designの過程では、見る人がその情景の中で経験することを想像する手助けとなるよう、完成予想図を先に描きます。それから、より良い理解をもってその場所のデザインに関する議論を深めることができます。情景がデザインされた後で、私たちは部屋なり空間なりの見取り図を描き、情景を説明し、それを立体化します。

「伝統的な手法の危険性」
提示された開発計画について行政府が市民に意見を求める際の伝統的な方法は、往々にしてデザインという目的に照らせば不十分なものです。一般投票、公聴会、意見交換会などは、地域デザインに関心のある人々の心に「デザインが本当に地域の人々の意見を反映したものになるだろうか」という疑念を残します。これらの方法では、個々の市民が計画に参加したくても障害が多々あります。利害の対立は否定的な意見を促します。会議が行われることが十分に知らされない、情報の入手が間に合わない、などの原因で議題に関する理解が深まらないという問題もあります。一度に一人の人しか発言できないため、声が大きくて主張の強い人が発言権を握ってしまう、さらに、過程そのものに創造的な代替案を視覚化する手段が欠けている、ということもあります。その結果、結果はデザイナーにとってあまり役に立たないということになりがちです。

伝統的なデザイン過程における市民計画委員会は、小数の人々を選んでデザイナーと一緒に議論を行い、地域の代表として意思決定を行います。

デザインに関する議論が進むと、この少数の人々は問題の事柄に関して地域の他の人々より多くの知識を持つことになります。議論を地域全体に広げるに当たっては、伝統的な手法の問題点を避けるための議論の方法が必要になります。もしもこの少数者のグループがうまく意思の疎通をすることができないと、人々はこのグループは自分たちとは遠い存在で、意見が固まっていて、地域のエリートの利害に叶うような行動をしていると感じます。もっとひどいときには、彼らが自分たちの個人的な利益のために行動しているのではないかという疑いをかけられます。この小さなグループにとっては、地域の中で利害の対立するグループが分裂する危険が生じるかもしれず、あるいは軽蔑と怒りの混じった嵐が吹き荒れるかもしれない市民との会議は、恐ろしいものとなります。

(19ページ)
「板ばさみになるデザイナー」
公共の会議の場で伝統的な方法で開発計画を提示するデザイン関係者は、どちらに転んでも良い目にはあわない板ばさみになることがあります。提示する内容が詳細であればあるほど批判も多くなります。絵や模型が良ければ良いほど、既に何でもかんでも決めてしまっている、と非難されます。萎縮した感覚が忍び寄ります。肯定的な詳しい反応がないと、デザイン関係者は往々にして批判された要素を削除し、デザインの特徴を縮小させます。削ったものを他の何かで埋め合わせない場合も多々あります。

彼らは自分の考えていたことをだんだん言わなくなります。否定的な反応はデザインに関する意思決定を遅らせます。そして、認可の遅れはデザイン料金に食い込みます。公共の会議でデザインが却下されると、それはプロジェクト全体をデザインし直さなければならないことを意味しかねません。たいていの場合、デザインのやり直しまでする予算の余裕はありません。さらに、次のときに何が受け入れられるかを示す肯定的なヒントはありません。何を避ければ良いかという否定的なヒントがあるだけです。

会議が大失敗に終わると、市民に対するデザイナーの態度が悪化するという危険もあります。学校を出て活動を始めたばかりの若いデザイナーにとっては、ことに市民のために都市環境を良くしようという強い情熱を持った若者にとっては、公共の会議での悪い経験は心に深い傷を残しかねません。市民参加のためにさらなる努力をしようという意欲を削いでしまいます。環境を利用する人が計画に参加することへの欲求が高まる中にあって、これは望ましい心構えとは言えません。

極端な場合には、行政府や開発会社が過熱して広く知られるようになった論議の只中に計画を押し付けると、失敗の値段は非常に高くなります。あるケースでは、大きな市民センターの計画でしたが、失敗で50万ドル近くかかりました。このうち、およそ35万ドルは建築家に支払われた料金で、およそ10万ドルが一般投票に要した費用でした。この一般投票では、建築計画はあやうく撤回されるところでした。そのようなケースでは、不人気な開発計画に取り組む建築家は論議と無駄金の源と見なされる危険を冒します。のちには、その地域の行政府や開発会社は皆、そのような公共の侮蔑にさらされた建築家を雇うことを躊躇するおそれがあります。

これらは、デザイナーが伝統的な方法で利用者とのコミュニケーションを図った場合に負いかねない危険性です。デザインに関わる者は、緊急にこれらの危険性を回避するための新しい方法を必要としています。

「私的なデザイン対話から公共のデザイン対話へ」
従来の開発過程では、開発に結果によって影響を受けるけれどデザインに関する議論に関係しない人々が疎外されます。子供たちは、ブルドーザーが彼らの遊び場だった空き地を更地にするとき、期せずして影響されます。彼らは、自分たちの人生の一部に対して無力であるという事実に苦しみます。大人もまた疎外感を経験します。彼らは自分の周りの環境に愛着を持ったり、少なくともそれに慣れ親しんだりします。そして建築家がやってきて、結果によって影響を受ける人々を議論に招かずに計画を立てます。環境が彼らの人生の一部になっているので、大人たちは子供と同じように自分の人生に対して無力であるという感覚を得ます。

しかし、建築家が個人の顧客と関わり、デザイン対話に顧客を引き入れる場合には話が違います。建築家は、通常は個人の顧客をデザインから疎外することはしません。個人の顧客が自分の新しい環境における新しい暮らしについて予見することを建築家に話すとき、彼らはデザインを形作り始めます。対話は、建設予定地の特性と制限が調査され、費用の優先順位が計られ、完成したデザインが評価されるデザイン条件を提示します。これらの条件を作り出す対話は、デザインの発展と成功に大きな役割を果たし、建築家はこれに細心の注意を払い、時間を取ります。

対話には特定の性質があります。話は顧客が予見する暮らしの様子、彼らが日常の暮らしや特別のときにしているであろうこと、を中心とし、彼らがどういう暮らしをしたいかという予想図を描けるところまで続きます。光、空間、動き、感覚、そしてすべての感覚を通した知覚において顧客が好む環境の効果に配慮は集中します。デザイン条件について顧客と建築家の双方が完全な図を理解するまで、時期尚早なデザイン解決案は避けられます。予定地の顧客の人生との関係における性質を理解するために、予定地を訪れて時間を過ごします。対話はすべての利用者を含みます。家族の長だけではなく、普通は家族全員です。

これらの特徴は、長い建築的な経験において見られます。もしもそれらが守られないなら、トラブルが生じます。例えば、もしも夫が妻の代わりに彼女の好むところを語ろうとする場合などです。顧客が自分の考えをよく吟味する前にデザイン案が出される場合も議論が生じます。

この対話の原則を無視した公共計画の実行は疎外を招きます。これには、議論せずにアイディアを提示すること、実際の予定地での経験の代わりに予定地での暮らしのパターンを無視した技術的な予定地データに依り頼むこと、そして統計的な調査に基づくデザイン条件に完全に依存することを含みます。これらの方策はデザイナーが何が望まれているのかを知るのに役立ちますが、それらは創造的な地域共同体の参加という重要な要素を含みません。

「都会での疎外を減らすための鍵」
若い人も年配の人も、貧しい人も豊かな人も、無力な人も有力な人も、地域共同体のすべての人がデザイン対話に参加することができるようにすることが、都会での疎外感を減らす鍵です。今日のデザイナーは、多数の市民に意見を聞かねばなりません。求められているのは、変化によって影響を受けるであろうすべての人にデザインに関する議論を開くことです。疑いもなく、これは非常に大きな仕事です。しかしそれは可能であり、私たちはそのためにCo-Designの手法をご紹介します。

成功は、問題への解決法以上のものをもたらします。新しい秩序が生まれる、あるいは先述の引用文に沿った言い方をすれば、古い秩序が再び現れます。予期せぬ、そして歓迎されない変化への恐怖からの開放感が、共有する創造性における高揚感と交じり合います。それは、地域共同体の中に夢が生まれ、それが調和の図へと発達するにつれて、喜びの高みとも言うべき経験になります。
[PR]
by ammolitering7 | 2013-01-22 14:54 | 「コ・デザインの手法」

コ・デザイン デザイン参加の手法1

1ページ 
「Co-Design、デザイン参加の手法」
スタンレー・キングおよびメリンダ・コンレー、ビル・ラティマー、ドルー・フェラーリ

2ページ
Co-Design(コ・デザイン、「一緒にデザインする」の意)は、地域共同体の中で人々が協力的かつ共同作業的に考えを寄せ合ってデザインする、というものです。Co-Designの作業には基礎的なスケッチと視覚化の技術を用い、一般の人々を招いて計画ワークショップを開きます。本書「Co-Design、デザイン参加の手法」は、デザインに関わるすべての人々がアイディアを視覚的に共有することによって、都市計画者、建築家、デザイナー、そして地域社会が確かなコミュニケーションを取れるようになる方法を示唆します。

人々が自分たちの周りの環境のデザインや計画にもっともっと積極的に関わる姿勢を強めている昨今、「Co-Design、デザイン参加の手法」は地域社会が都市計画に創造的に関わる上で有効な手法を提供します。本書ではCo-Designプログラムの全容を詳細に紹介しており、環境デザインへの既存の市民参加方法とは異なった効果的な方法を容易に習得できます。

地域社会の人々が持つデザインのアイディアをどのように議論し、焦点を当てるか、人々をデザインの過程でいかに導くか、人々のアイディアをどのようにデザインに生かすか、そして視覚化によってコミュニケーションを豊かにするための方法など、結果的に建築に役立つ過程を紹介しています。

Co-Designプログラムの基盤は、組織化すること、教えること、そして技術を伸ばすことにあります。市民参加型のデザインの背後にある理論、並びに、地域社会で開くデザイン・ワークショップで使う簡単なスケッチの技法を順を追った分かりやすい説明は、デザイナーと都市計画者にご活用頂けるものと思います。田舎の町の公園から都会の中心地まで、実際に行われたワークショップを例にとって生き生きとCo-Designの様々な活用法をご紹介します。教育的なコースやワークショップでの活動の例も多数あります。

本書は建築家スタンレー・キングの20年に渡る経験に基づいてまとめられました。197回の公開デザイン・ワークショップには延べ1万人以上が参加しました。過去10年間にはCo-Design協会として共著者たちとの協力によるチーム研究を行い、ワークショップの方法もさらに洗練されました。ワークショップの準備、トレーニング、コミュニケーション、公開デザインへの参加のすべてにおいて、有効な方法を確立するため、継続的な努力がなされています。

本書は、ワークショップの実例、インタビュー、分かりやすい解説、200点以上のイラストや写真などで構成されています。「Co-Design、デザイン参加の手法」は、対話型のデザイン作りを成功させるための斬新で有効的な手法として、建築や都市計画、造園デザインやプログラミングなどに携わるプロの方、地域共同体や企業、政府などで政策や方針の決定に携わる方、これらの事柄に関する活動をする学生や教育者など、幅広い分野の皆様に活用していただけます。

「著者および共著者について」
スタンレー・キングは建築家であり、南アルバータ州立技術学校(Southern Alberta Institute of Technology)の教師でもあります。彼はブリティッシュ・コロンビア州立大学で建築学の修士号のための論文を書いていた1969年にCo-Designの手法を作り出しました。その後20年間、スタンレー・キングと彼の独創的な手法は国際的に高い評価を受け、研究およびデザインの分野で多数の賞を受賞しました。

スタンレー・キングは、地域共同体が自分たちの環境を明確にデザインする手助けをするために、1979年に非営利団体Co-Design協会を設立しました。カルガリー大学の建築学の学生であって建築技術者でもあるメリンダ・コンレーとドルー・フェラーリ、さらに建築家であってエンジニアでもあるビル・ラティマーが加わり、Co-Design協会の中核メンバーとして活動を始めました。彼らは協力してCo-Designの技術を教え、熱意と興味を示した大勢のデザイナーやアーティストたちにトレーニングを施し、市民が参加した多数のワークショップを記録して本書の基礎を作りました。

表紙:1973年にバンクーバー市民1,000人を対象に行われたワークショップで最も人気の高かったイラスト。このワークショップのテーマは、当時荒れ果てた工業地帯跡地だったフォールスクリークの再開発だった。

左上:そのワークショップの結果として実現した造園デザイン。

3ページ
「Co-Design、デザイン参加の手法」
スタンレー・キングおよびメリンダ・コンレー、ビル・ラティマー、ドルー・フェラーリ

4ページ
本書をカナダおよび米国各地でワークショップに参加してCo-Designの手法の発達を促した1万人以上の若者たちと大人たちに捧げます。

5ページ ~ 8ページ
目次 (省略)

9ページ
「はじめに」
本書は、最終的に環境を利用することになる市民と共にデザインをイメージすることに関するものです。私たちは視覚化に重点を置いており、それが他の市民参加型のデザイン手法とは一線を画するところです。内容の大部分はスケッチ技術を育てることに当てられています。本書は私たちが行った190回のワークショップ経験に基づいており、それらを通して育んだガイドラインと技法をご紹介しています。

私たちが依頼されたワークショップのテーマは、大きな都会、地域社会の中のレクレーション・エリア、小さな町、都心部の住宅地、大学の学部、学校、協会、オフィス、商業センターなどです。それらに共通して必要だったのは、自分たちの環境をデザインする上での手助けであり、様々なアイディアを一つの概念のもとにまとめる方法でした。

私たちは本書において、人々がアイディアを議論するときに中心となる主題を提供する方法、デザインの過程を通して人々を導く方法、アイディアにデザイン的な側面から肉付けする方法、そしてコミュニケーションを視覚化によって容易にする方法をご紹介します。一言で言えば、建築を容易にする方法を描写しています。

さらに、参加者がデザインの過程に加わりやすくなるような「分かりやすい」絵を描く方法を教えます。私たちは、対話を促し、のちに正確なデザインのデータを提供するものとしての建築技術である、「その場で情景を描き出す絵」を描くことに重点を置いています。アーティスト訓練のコースを開いたときに最もリクエストの多いのが、スケッチ技法です。スケッチに関する本は多数出回っていますが、それらではカバーされていないこうした技法を本書では詳しく説明しています。読者としては、基礎的な遠近法と人物画の技術のある方を想定しています。スケッチの入門書ではないことをご了承ください。

本書の全体を通して使用されるCo-Designという言葉は、地域社会における(Community)、協力的(Cooperative)で共同作業的( Collaborative)なデザイン、という意味を総合したものです。私たちがCo-Designのアーティストについて語る場合、私たちが指しているのは他者の指示に基づいて人々や情景を描く高度な技術を持った人のことです。Co-Designのアーティストには、建築された環境のデザインに関する基礎的な知識があること、つまり建築、都市計画、建築技術、造園建築、インテリアデザイン、都市デザイン、立体造形などの素養が必要となります。本書では「建築」という言葉を広義で用いており、これらの職業技術のすべてを含みます。「環境デザイン」という言葉でなく「建築」を使うのは、本書の著者が元来建築家であり、他国における同様の業績が建築家によってなされているからです。ボランティアとして本書の制作に参加したライターたちはプロのライターではありません。ワークショップの概念を理解して記録を取るためのトレーニングを受けた、地域社会の人々です。

10ページ
「Co-Designの名前の由来」
地域社会における(Community)、協力的(Cooperative)で共同作業的( Collaborative)なデザイン=Co-Design

11ページ
「本書の読者想定、および望み」
本書は以下の5つの種類の読者を想定しています。
1、プログラミングおよびデザイン建築、プランニング、都市デザイン、インテリアデザイン、および造園デザインを職業とする人。顧客およびユーザーにデザインに参加してもらう上で有効なガイド、および大きな地域社会と生産的にコミュニケーションを取る方法を示します。

2、上記の職業を目指して学んでいる学生には、それぞれの分野でのデザイン手法の開発に役立つガイド、デザイン対話を導く方法、そしてデザイン・スケッチの技術を伸ばす方法を教えます。本書を活用することによって、将来的に顧客やコミュニティーと創造的に働く技能を身につけることができます。

3、地域社会、企業、および政府で方針や政策の決定に携わる人、ならびに人々を意思決定に参加させる手法において多数の成功例を求める市民による計画委員会の人々。

4、企業の中間管理職にある人、および彼らが市民参加プログラムを実行する上でアシスタントとなる人。本書は組織化の過程をステップ・バイ・ステップで紹介し、作業の遂行を容易にします。

5、小学校から大学にいたるまで、様々なレベルで教育に携わる人。本書は学生が自分たちの学校や近隣の地域や都市内のエリアのデザインに関わった多数の事例を段階を追って説明しています。
市民が意思決定に参加することの重要性がますます認識されるようになってきている現在、本書は読者が環境を創造的にデザインする際に人々を効果的に導く能力を育みます。

12ページ
空白

13ページ
「謝辞」
Co-Designは子供たちと共に始まりました。彼らは怒りに燃える目で私を取り囲みました。彼らの中には私の息子もいて、彼は「ブルドーザーが僕たちの遊び場を壊しているよ。そんなことが許されているの?どんな決まりがあるの?」と叫びました。大人にとってはただの空き地でしたが、子供たちにとってはそれは、自分たちで切り開き、木の上に砦も作って自分たちの領域と決めた大切な場所でした。彼らの環境を破壊し、それなのにその意思決定に彼らを含めなかった開発に対して、彼らは強い疑問と怒りを感じていました。それがCo-Designのきっかけとなったのです。

これは、Co-Designの過程がシンプルであることや、使われる言語が直接的であること、そのイメージ、そしてそのデザイン認識が知性を通した経験というより感覚的なものであることなどに反映されています。1960年代半ば当時、モントリオールには建築ブームが起こっていて、多数の古い建物が取り壊されていました。市内のそうした古い住宅地を訪れて美しい建物のスケッチをするにつれ、私は自分が破滅の使者であるかのように感じ始めました。私が訪れると、まもなくこれらの建築物は取り壊され、無味乾燥で世界中どこにでもあるような大規模開発の建物に取って代わられるのです。住人たち、とくに子供たちは、こうした破滅を食い止めるには自分は無力だと感じていました。

私は彼らの不安や疑問に対応しようとしました。そのとき以来、私は家族や友人たちや、やがては建築学その他でプロとして働く同僚たちの助けを得て、答えを見出そうという努力を続けています。私は彼らと共に本書を著しました。

最初は、教育を通した答えを目指しました。美術教師である妻のマーガレットと3人の子供たちと共に多くの学校を訪れ、教育資料を作成し、都市開発の過程を説明するために配布しました。これには多くの教育者のご協力を頂きました。特に、BC州立大学のエメリタス・フランク・ハードウィック教授、バンクーバー教育委員会のゲイリー・オンスタッド氏、サイモン・フレーザー大学のミルト・マクラレン教授、そしてビクトリア大学のマーク・ベル教授です。

国立芸術寄金のアース・エリクセン氏は、建築された環境に関する教育というご自分の研究で手助けしてくださり、建築家と教育者の会議で私が自分の研究を発表する手配をしてくださいました。イギリスの「都市と田園計画協会」の教育担当者であるコリン・ワード氏は、私の研究および同様の研究をしている他の人たちの仕事に関して文章を書き、激励してくださいました。子供たちと一緒に行った研究は実際のデザイン問題に関するものであり、親たちや他の大人たちも参加しました。

(挿絵)遊び場がブルドーザーで壊されているよ。どんな決まりがあるの?

14ページ
カナダ政府からは、1970年代にこの手法をさらに発展させるために補助金を授与していただきました。都市問題に関する担当大臣であるロン・バスフォード氏、都市問題に関する担当大臣代理であるピーター・オバーランダー氏、首相室のコートニー・タワーズ氏からは、特筆すべき助力を賜りました。また、国立映画局の局長であるバリー・ハウエル氏は、私のワークショップの様子を収めた「チェアズ・フォー・ラバーズ(恋人たちの椅子)」という映画に多大な励ましを下さいました。

また、建築と都市計画に関わる大勢のプロの皆さまから積極的な支援を頂きました。特に、共にバンクーバー市の都市計画部長であったウィリアム・グラハム氏、続いてレイ・スパックスマン氏、カナダ地域計画協会のヒルダ・サイモンズ氏、ジョン・デス氏、ならびにガイ・スペンサー氏、ブリティッシュ・コロンビア州立大学の建築学部の部長であるヘンリー・エルダー氏、そして当時そこで学ぶ学生だったメリー・ベッカー氏とキャサリン・アーバネック氏からは、特筆すべきご協力を賜りました。

1979年、アルバータ州のカルガリーで建築ブームが起きていた頃に研究の規模は拡大しました。非営利団体Co-Design協会を設立したのはこの頃です。中核メンバーには、アーティスト、建築家および建築技術者がいました。メリンダ・(ミンディー)・コンレー氏は、この中核グループの会計係兼秘書のボランティアとして継続的かつ効率的な奉仕をしてくださいました。

ワークショップでのアーティストの技能が優れていれば参加者からの反応が大きいことが分かると、私たちはカルガリー、およびブリティッシュ・コロンビア州のビクトリアとペンダー・アイランドでスケッチのクラスを始めました。中でも特に才能があって熱心に勉強を続けた生徒たちであるメリンダ・コンレー氏、ビル・ラティマー氏、およびドルー・フェラーリ氏は、やがてワークショップの運営や協会組織の中心として指導的な活躍をするようになりました。彼らは現在では本書の共著者であり、彼らの協力なくして本書はあり得ませんでした。

カルガリーの南アルバータ技術学校の建築技術コースの指導主事であるフレッド・クリングベール氏からは長年に渡る支援を頂きました。また、同学校の他の多くの同僚たちや学生たちからも様々に支えていただきました。

カルガリー大学の環境デザイン学部のタン・リー教授およびロバート・カービー氏は、一時的な宿泊の手配やコンピューターの使用などを通して支援してくださいました。また、本書の共著者であるメリンダとドルーの研究作品を、同大学における建築学の修士課程で指定学習材料の一部として使用していただきました。また、同大学では、図書館でのコンピューターを使ったリサーチにマイク・ブリッジズ氏が、そして絵の複製ではランディ・ハドレー氏が協力してくださいました。カナダ都市計画従事者協会のアルバータ支部は、私たちの研究に激励と資金面での多額のご協力を賜りました。
Co-Design協会のメンバーたちは皆、アーティストあるいは運営担当者として多くのワークショップを行いました。中でも特記すべきは、妻のマーガレット、オードリー・クリスティー氏、ジーニー・カリン氏、エリザベス・アレン氏、ピーター・ウォルシュ氏、ワレン・ガウル氏、ロバート・アグニュー氏、そしてチャック・スミス氏です。娘のシリアは研究およびワークショップ現場での写真撮影で協力してくれました。

フリーランス作家のリン・マクダウエル氏、タン・リー教授、そしてアンドレ・アイフリッグ氏は、原稿の編集において洞察の深い助言を下さいました。カルガリー市役所の都市計画者であるフィリップ・ダック氏は、地域社会とプロの都市計画者の間に架け橋を作る上での激励とご指導をくださいました。
本書を作るまでに、カナダとアメリカで若者たちと大人を合わせて1万人ほどの人々が参加しました。彼らの一人一人が、反応や熱意や激励を通してこの研究に貢献しました。彼らは自分たちの好みをはっきりと表し、その結果、何百という公共の場がもっと人間的なものとして完成しました。おそらく、これこそが25年前に私の息子と彼の友人たちが求めていた答えなのだと思います。彼らの怒りのこもった苦情は、場所を利用する人々、特に若い人々は、その場所の未来について議論するときに積極的に参加したちと思っていることが私には今では分かるのです。彼らの訴えは正当なものであったことが、こうしてはっきりしました。

15ページ
第1部 市民参加の必要性に応える

16ページ 空白
[PR]
by ammolitering7 | 2013-01-22 14:52 | 「コ・デザインの手法」