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スタンレーさんのプロフィール

英語ですが、興味のある方はご覧ください。スタンレーさんのプロフィールが紹介されています。いずれ気が向いたら翻訳しますが、だいたいこちらで既に小出しで紹介しているような内容です。
スタンレー・キング氏のプロフィール
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by ammolitering7 | 2013-01-30 08:49

2010年6月C.K.Choiビル

これはスタンレーさんやスーザンさんの設計によるものではありませんが、ユースマニュアルの中で生徒たちが訪問している建物です。バンクーバーのUBCという大学の中にあって、カナダで一番エコロジカルな建物と言われるC.K.Choiビルです。様々な工夫をご覧ください。
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バスの中の広告。半分隠れてますが、「若者よ、行き詰っていませんか?暗闇から出てきなさい」というメッセージです。命の電話のようなものですね。ロゴのイメージが強烈だったので、思わず写真を撮ってしまいました。
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バスに乗って出かけた先は、ついこの前も行った大学です。構内には環境に配慮したデザインで知られる有名な建物があるので、それをのこのこと見に行ったわけです。私は全くの部外者なのですが、うろうろと見て回りました。ここは見学者の多いビルなので、それほど変でもなかったようです。

これは途中にあった建物。穴を掘って住むのは昔のネイティブインディアンの建築スタイルだったのだそうです。つい思い出すのは吉野ヶ里遺跡。高床式倉庫の反対で、50センチくらい掘り下げた円錐状の家がたくさんありました。やっぱり文化が繋がってたのかな、と思います。なお、これはスタイルはネイティブ風ですが、用途はオフィスです。地下にあります。
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これはすぐ横にあった別の建物。屋根が妙な具合にねじれています。一緒に行った友人と「面白いね」と言ってみていたのですが、彼女はなぜか「このねじれ具合は数学を思わせる」と発言しました。「どうやって計算するのかな。なんか、とたんに面白くなくなった」と述べていた彼女は、かつてこの大学で工学を学んでいて挫折したのでした。
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これも何やらネイティブ風の建物。真ん中の地面には火を焚いた跡がありました。
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中に入って上を見るとこんな感じ。一体何に使う建造物なのでしょう。
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これはスウェットロッジ(汗をかく小屋)と呼ばれるものの骨組み。ネイティブインディアンの伝統的な祈祷の儀式に使われるものです。ずーっと前に一度参加したことがありますが、そのときはこんなに狭い本物ではなく、どこかの公民館みたいなところで行われました。石を熱して、それに水をかけるのだったか、それとも乾燥したままハーブや煙草を燃やすのだったか、よく覚えていないのですが、とにかく煙が多くて暑苦しい儀式でした。
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さて、やっと着きました。すごく広い大学なのです。目的の建物は中国系カナダ人のチョイさんという方が建てたものです。(この方の設計によるのではありません。)そのため、あちこちに東欧風のものがあるのです。この建物のある一帯はアジア系の研究施設などが集まっているところです。
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鐘の前には「仁」「義」「礼」「信」などと彫った大きな石が並んでいます。チョイさんの好きな漢字なのでしょうか。私だったら何を選ぶかな。「実」(ベリー類)、「硝」(ガラス)、「露」(ロシア)、えーとそれから、、、と、しょうもないことを考えてしまいました。
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入り口のところでは狛犬様がお出迎え。入れるものなら入ってみろ、というお顔をなさってるような気がするのですが。。。
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この建物の正式な名前はこちら。
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前から見たら別に何てことない建物ですね。屋根の勾配だけは取ってつけたような東洋風ですけど。
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中に入ったらこんな感じ。吹き抜けのロビーは風通しの良さを確保するためのものです。この建物には、パッシブ・ヒーティング、およびパッシブ・クーリングという手法が採用されています。これは電力や機械を使わないで冷暖房をするというものです。換気をよくするための工夫もあちこちにされている、、、のですが、実際入ってみたら結構空気が淀んでいました。寒くも暑くもなくて、室温は別に問題なかったのですけれど。
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このビルの大きな特徴の一つはトイレ。水を使わず、排泄物が堆肥になる仕組みです。いろいろ説明してありますが、、、
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とにかく全く匂いがしないのです。清潔そのもの、びっくりしました。
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中には小さなオフィスがたくさんありますが、窓からの眺めは自然林なのです。こんな素敵な環境だったら仕事もはかどるでしょうか。
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これは換気のための工夫です。建物全体にありますが、窓枠のところに小さな穴がたくさん空いていて、、、
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、、、こんなふうに開けたり閉じたりできるようになっています。
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ロビーを二階から見たところ。
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建材の多くはリサイクルされたものだそうですが、それってちょっと不安だったりします。変な虫とか付いてたりしないのでしょうか。
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天窓があるので明るいのですが、修理中らしくて布で覆われていました。
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こちらは別に何てこともない庭に見えますが、実はこれが曲者、いや、すごいのです。ショウブみたいな草がぎっしり植えられていますが、これは深さ1メートル弱くらいの溝に植えられています。その溝に特別な工夫がしてあって、この植物もその工夫の一環なのです。これは浄水システムになっていて、建物から出る全ての廃水がここで処理されます。処理された水は飲用にもなるというからびっくりします。どんな味の水なのかな。
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建物の外で見つけた草の花。面白い形をしています。
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建物の裏手は自然林風の庭園。空気が綺麗です。
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背の高い木がたくさん生えていますが、そこにこんなポスターがありました。「この木の上にアオサギが巣を作っています」と書かれています。アオサギって、何となく水辺でぼーっと憂鬱そうに立ってるイメージがあるので、巣も水辺にあるのかなと思っていたら、全然違うのですね。
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中央の丸いのが巣です。そのお隣の木の上のほうにも黒い塊があるのが見えるでしょうか。
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アオサギは集合住宅を作るのだそうです。この写真の中にも実は5-6個あります。
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歩いていたら、友達が「あっ!」と言って見つけたのがこれ、アオサギの卵の殻です。巣立った後で、要らなくなった殻を捨ててしまうのだそうです。そりゃまあ、取っておいても邪魔でしょうね、そういえば。。。卵の殻はうっすらとした青。多分、割れてなければ鶏の卵くらいの大きさではないでしょうか。私の新しいカップとよく似た色です。これは今日ここに行く前に友達が「遅ればせの誕生日プレゼントということにしといてね」と言って買ってくれたのです。うっすらとしたアクアマリンは私の一番好きな色かもしれません。

ずっと前、お土産屋さんを兼ねた宝石店で働いていたときに、とてもきれいなアクアマリン色の石があったのです。それほど高いものではなかったのですが、私の給料のほうもひいき目に言えばそれほど高くなかったので、買おうかなあ、どうしようかなあと長いこと思い悩んでいたのです。ところが、あるとき店長さんにその石が好きだと言ったら、「ああ、あれね。風呂場にできる染みの色にそっくり」という非情な言葉が返ってきたのでした。バンクーバーの水道の水は、しばらく掃除しないでいると白いタイルや浴槽に青緑色の染みを残します。言われてみれば似ているけどさ、と思って深く傷つき、結局買わず仕舞いに終わってしまったあの石。。。いつの間にか売れてしまいましたが、今はどこにあるのでしょう。
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by ammolitering7 | 2013-01-26 04:19 | 「ユースマニュアル」

2008年4月ロブソン広場

こちらは知人の建築家の方が設計に協力なさった公園風の場所、ロブソンスクエア(広場)です。バンクーバーの中心地も中心地、ど真ん中にあります。平坦で縦横まっすぐの線ばかりが続く無機質な町並みの中で、ここだけは街の喧騒を一瞬離れたような安らぎが感じられるのです。

中心地で働いていた頃は、休み時間などによく訪れていました。疲れがとれる気がしました。

先日ちょっと時間があったので、ぱぱっと写真を撮りました。もっとゆっくり時間をかけてまわれば、小さな場所ですが素敵なスポットがたくさん撮れると思います。

ロブソンスクエアは大通りをはさんで両側に広がっています。片方は美術館と大学の飛び地、反対側には裁判所があります。両者をつなぐのは道の下の広い通路で、広場は道から掘り下げたような感じになっています。道の脇には小山が作られていて、くねくねと曲がる小道が続いています。車の通りの多い道が視野から遮られるのも、くつろげる理由だと思います。

このように人工的に大きな凹凸をつけてありますが、車椅子でも行けるようにスロープも忘れずについています。今は何かの工事中でしたが、普段は広い階段に座ってランチやコーヒータイムをする人たちがたくさんいます。
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ちょっとした山になっているのです。中まで登っていくと、小さな芝生の広場もあります。
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一人でチェスをしている人。ベンチにはチェスボードが作りつけになっています。夏の木陰でおじいさんたちが一日中たむろしてゲームをしている姿が見られます。
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by ammolitering7 | 2013-01-26 04:14 | ロブソン広場

2010年10月湿地帯での環境教育2

それから全員が集まり、レンジャーのお姉さんが屋外での授業の大切さや自然を尊重することの大切さを切々と語ってくださいました。土に触れることでストレスが減ることを述べた論文とか、お勧めの本などの紹介もあり、カリキュラムの作り方に関するアドバイスもありました。自然観察ノートを作ることの面白さも強調され、屋外で子供たちの関心を引き止めておくためのいろんなヒントも紹介されました。服装の注意もあり、至れりつくせりです。お姉さんのバックパックからはいろんな小道具が次から次に出てきて、これは準備が大変だっただろうなと思ったことでした。
Then everyone gathered and the ranger talked about the importance of spending time outdoors and respecting nature. She showed us lots of things like a copy of essay regarding the soothing effect of touching soil, and the recommended books for reading. She gave lots of advise on class planning and dressing for the weather and other essential issues. She emphacised the joy of keeping nature journal, too. Her backpack was full of little devices to help her lecture. It must have been a lot of work to prepare for the workshop this well.
ワークショップは早口かつ駆け足で行われましたが、それでも2時間の予定が2時間半に伸びました。ほんとはもっともっと時間をかけたかったのだろうなと思います。ワークショップの後は湿地帯のすぐ外でお茶とお菓子の茶話会がありました。
The workshop was done in a very fast pace, but it still took longer than they had anticipated. It was supposed to be 2 hours, but it took 2 and half hours, and they talked fast. After the workshop, we had a tea time just outside of the bog.
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もちろんラブラドールティーもありました。最後は名札を回収して、それを使ってくじ引きが行われました。当たった人にはイラスト入りの自然観察ノートの作り方の本などが贈られました。
There was Labrador Tea, of course. At the end, they collected everyone's name tag, and did a draw. The prize was a map and a few books on journal keeping.
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すごく寒かったけど、とても楽しいワークショップでした。何の関係もないのに混ぜていただき、有難い限りです。夏になったらまた来よう、と思いました。冬はどうも寒くていけません。しかし、いくらなんでも手がしびれるほど凍えていたのは私だけだったのかもしれません。体の中に熱が足りないのでしょうか。正直なところ私はあんまりちゃんと食べないので、熱帯向き、あるいはそういう馬鹿を言わずにちゃんと栄養を摂ったほうがいいのでしょう。ベリーやキノコばかりを採集して食べていてはいけません。
It was very cold, but the workshop was very enjoyable. I was grateful that Susan invited me even though I'm not a teacher. I will come to this bog again, but maybe in summer.
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by ammolitering7 | 2013-01-24 13:10 | 「ユースマニュアル」

2010年10月湿地帯での環境教育1

こちらはスタンレー・キング氏の後継者の1人である理科の先生、スーザン・エン先生が主催した教育者のためのワークショップです。Co-Designの手法はサスイテナビリティーの教育にも応用されています。この湿地帯(キャモサン・ボグ)のサイトはこちらです。英語のみ。Camosun Bog website
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学校の先生でもないのに、なぜか今日は小中学校の教師を対象とした環境教育のワークショップに紛れ込んできました。場所は地元の大学の近くにある小さな湿地帯です。その昔、1万2千年くらい前には氷河だったところが沼地みたいになって残っている場所で、こういう条件でしか育たない植物がたくさんあるし、動物たちにとっても大切な場所なので、環境教育には理想的なのでしょう。英語の下にある不思議なアルファベットはネイティブの人たちの言語を表しています。
I'm not a school teacher, but somehow I joined the special workshop meant for school teachers held at a bog in Vancouver. It is a small bog called Camosun Bog located near UBC. The workshop is meant to train teachers for environmental education. The area used to be a glacier some 12,000 years ago. Now there is only a small pond left. There are many species of plants which survive only in this specific condition. The bog is also important for the animals, too. Because of its delicate nature, it is an ideal place to teach children the importance of conservation. The unfamiliar alphabet under the English is the ones used for the native language.
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今回のワークショップは、メトロ・バンクーバーと呼ばれるバンクーバーおよび周辺市町村の森林課のようなところと、この湿地帯の回復運動グループ、そしてグループのメンバーである学校教師スーザン・エンさんが開催したものです。第一回目なので、つまり参加者はモルモット。予定の時間を大幅に超えてしまいましたが、充実した内容のワークショップでした。これは森林課のレンジャー(自然保護官、でしょうか)のお姉さんの制服についていたワッペンです。
The workshop was led by the collaboration of 3 groups; the bog restoration group, schools, and Metro Vancouver park board. It was the first of this type of workshops. It took longer than they had planned, but it was a very enjoyable experience.
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参加者は主催者たちを含め全部で22人、うち男性5人。小学校の先生8人、環境教育を学んでいる中学生一人、残りは中学校の先生および引退した先生、部外者一人(私です)、犬一匹という構成でした。朝の9時半に現地集合だったので、家からバスで行きました。メトロバンクーバーには幾つか湿地帯がありますが、バスで簡単に行けるのはここだけだそうです。
There were 22 people at the site, including the facilitators. 5 of them were males. About 8 of them were elementary teachers, and the rest were mostly secondary school teachers, with some retired teachers. And there was a dog, and there was me. I took bus to get there. It is the only bog that is easily accessible by bus in Vancouver.
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天気は不安定で、とても寒かったです。順番に並べると、小雨、曇り、晴れ、小雨、曇り、、、。雨天決行のイベントだったのですが、「雨だから」という理由で当日になってキャンセルした人が何人もいたというところがいかにもカナダです。家を出るときも寒かったのでちゃんと着込んで行ったつもりだったのですが、湿地帯は水気の多いところなので、もっと寒かったです。最後のほうには左手の親指と人差し指がしびれてきて、これはまずい、と思いました。
The weather was very unstable. Light rain, cloudy, faint sunshine, right rain, cloudy... The event was advertised as 'rain or shine' event, but several people called in to cancel in the morning because it was rainy. Rather strange, indeed. It was cold, too. I thought I was dressed warm enough, but I wasn't. I was freezing in the wetland.
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この湿地帯は、氷河が溶けてからは湖になりました。だんだんそれが小さくなって、今では小さな池が残っているだけです。湿地帯というのはほっといても自然に小さくなるのだそうですが、人間が入ってきてからは、というか、近代になって西洋人が入ってきてからは、その速度が急に速くなりました。人々はじめじめして蚊の多い湿地帯に住むのを嫌がり、湿地から水を抜き取り始めました。これは日本語で何と言うのでしたっけ。。。
After the glacier melted, there was a lake, and it eventually became a pond. Now the remaining pond is very small. The bog becomes smaller and drier naturally, but modern development by humans accelerated the process. People hated to live in a wet place with tons of mosquito, so they drained the water out of the land.
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彼らは水を抜いた湿地に木を植え、道を作り、たくさんの家を建てました。近くに大学ができてからは、湿地はゴミ捨て場にされました。バンクーバー市による水の抜き取り作業が始まったのは1929年だそうです。かなり徹底的に破壊された湿地帯でしたが、1990年からはボランティアによる回復作業が始まりました。1996年には最後に残った池を取り囲む木道も作られ、現在でも週に一回の作業が続いています。
They planted trees, and built roads and houses. After UBC was built, the bog became their garbage dump. The city of Vancouver started the draining in 1929. All these activities destroyed the bog quite badly. Then in 1990 a group of volunteers started to restore the bog. In 1996, a wooden walkway that surrounds the bog was built. Now they gather once a week on Saturday mornings and continue the restoration work.
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これはゴミ箱。周りに溶け込むデザインです。
This is a garage bin. It blends in so well.
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作業の内容は、乾燥に伴って入ってきた植物を取り除き、酸性の強い湿地の上に積もった土壌をおよそ25センチも取り除き、さらに湿地にもともと生えていた種類の植物を植えるというもの。地味な作業です。湿地帯を訪れる人にいろんなことを教えたりもします。
Volunteers remove the plants that came into the area after it started to dry out. They also remove about 25cm or so of top soil to expose the acidic bog soil. They plant carefully selected bog plants, too. They are very good guides for the people who visit the bog.
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このボランティアグループは通称「クレージー・ボガーズ」。湿地は英語でボグというのです。なお、じつはこれは言葉遊びで、「バガー」という言葉をもじったものです。バガーというのは軽い意味で「困った奴」というふうに使われたりしますが、もともとはかなりよろしくない意味の言葉です、と、割とどうでもよい英語の勉強でした。この名札は湿地から取り除いた木で作られています。
These people are called, or call themselves, 'Crazy Boggers'. This is a play on words, and the original word in Britain apparently means something very inappropriate. The name tag is made from the tree they removed.
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これは森林課のレンジャー(自然保護官)の人が参加者の一人をシェフに見立てて湿地の作りかたを説明しているところです。ボウルに水を入れ、それから土を一掴み。それを酢で湿らせ、スポンジとかコケとかも入れ、ピートモスも入れ、、、おいしいかな。
The park board ranger dressed up on of the participants as a chef, and demonstrated how the bog is made. The ingredients are water, soil, vinegar, sponge, moss, and peat moss. Very tasty, maybe.
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参加者にはそれぞれ自分で描いた名札が付けられました。この名札の紙に小さなイラストが付いているのですが、湿地に生えている3種類の植物が描かれています。私のにはクラウドベリーという私の憧れのベリーが付いていました。嬉しいな、と思っていたら、「はい、クラウドベリーの人はこっちに集合してください」との声がかかりました。こうして無作為に分けられた参加者は、3箇所に別れて3つのテーマを順番に学びました。
Participants were given name tags randomly, and wrote their own name on the tag. My tag had a illustration of cloudberry. It is my dream berry, so I was happy. Then they called out, 'All the cloudberries, gather here'. There were two other designs of bog plants, and participants were divided into 3 groups in this way. Then we learnt 3 different themes in order.
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クラウドベリーはカナダの北部や北欧ではとても大切な食べ物です。一度食べてみたいベリーなのです。
Cloudberry is an important food source in northern Canada and Northern Europe. I'd love to have some one day.
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最初は土壌です。湿地帯の土は5メートルにも及ぶピートモスでできています。ピートモスというのはコケの化石のようなもので、乾燥するとよく燃えます。飛び跳ねてみると、ふかふかしていることが分かります。グループの半数が飛び跳ねると、そばに立っている人たちには地面が揺れるのがはっきりと感じられるのです。なお、湿地帯はデリケートなので立ち入りは禁止されていて、比較的乾燥しているこの場所だけは立ち入りが許されています。
First, our group learnt about the soil. The bog soil is made of 5 metre deep peat moss. Peat moss is something like fossilized moss. It burns very well when dry. One can feel its bounciness when someone jumps nearby. The group was divided into two, and jumped alternately. It is not allowed to walk into the most delicate part of the bog. This part is quite dry, so we can walk there.
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ふかふかした地面には簡単に棒が突き刺さります。5メートルの棒があれば5メートル入るそうですが、今回は1メートルほどのを使いました。私もやってみたら、簡単に入るけど出すときには吸い付くような抵抗感があって、ちょっと力が要ります。冬の間は地面からおよそ30センチくらいの深さまで乾燥していて、今日は33センチだそうです。その下は水気が多くなっていますが、夏はこれが70センチくらいの深さまで乾燥します。最近では温暖化の影響で特に夏は乾燥が進んでいるそうです。
It is very easy to insert a stick into the bog soil. If there was a 5 metre long stick, it will go in 5 metres. We used a stick that is about 1 metre. It is easier to put it in that pull it out. There is some suction, and that makes it heavier. In winter, the soil is dry about 30 cm deep. Today, it was 33 cm. In summer, it is dry down to about 70 cm. These days, due to global warming, the soil is very dry in summer.
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なお、湿地帯の地面は生き物の死体を死んだときの姿のままで保存するのだそうです。マンモスとか人間とかの完全に保存された死体の写真を見せていただきました。ここでも何か見つからないかと思ってボランティアの人たちは熱心に探しているのだそうですが、あいにくまだ何一つみつかっていないそうです。ここで見つかるのは、保存活動が行われる前にこの辺りで遊んでいた近所の子供たちが捨てたおもちゃとか、腐食して薄くなったコインとか、そんなのだけだそうです。
The soil in the bog preserve the dead body very well. We were shown the photos of preserved humans and animals. The volunteers are hoping to find something like that here, too, but they have not found any so far. The only things they found here are garbage, coins and toys and such which were left by the neighbourhood children years ago.
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次は動物です。レンジャーのお姉さんがいろんな資料を取り出して説明してくれます。通りがかった親子連れも飛び入り参加して、熱心に見ていました。
Then we learnt about animals. The ranger took out many objects and showed them to us. A father and son who walked by joined the workshop and watched with us.
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ここにいるのは割と小さな動物たちばかり。もぐらとか、小さなネズミとかです。でも、コヨーテ(野犬の一種)もいるし、コウモリとかフクロウとかもいます。これはネズミの一種。
The animals here are mostly small. Mole, mouse, and more mouse. But there is coyote, too. There are many birds, too.
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コウモリ。
Bat.
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コヨーテの頭蓋骨。
Coyote skull.
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コヨーテの足跡。
Coyote foot print.
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コヨーテのフン。あいにくというか、幸いというか、プラスチックでできたおもちゃなのでした。かなりリアルなのだそうです。
Coyote poo. It is a very well made plastic toy.
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コヨーテの毛皮は本物です。
The coyote fur is real.
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きつつきは頭蓋骨が重くてびっくりしました。やっぱりこうでなくては脳震盪を起こすのでしょうね。
The woodpecker's skull is very heavy. It has to be this way, I think, to protect its brain.
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ワシは電線に触れて死んだもの。なお、野生動物の死体あるいは死体の一部を個人が所有するのは違法なのだそうです。知らなかった。。。
The eagle parts are from the one who died by flying into the electric wire. We were told that it is illegal to keep the dead body, or the part of it, of wild animal without permit.
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これはフクロウの頭蓋骨。目玉の部分が大きいですね。人間の頭に換算すれば、グレープフルーツくらいの大きさなのだそうです。
The owl skull. The eye socket is huge. If it was the size of human head, the eyes are the size of grapefruit.
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これはフクロウが吐き出した獲物の残り。
Leftover from the owl's dinner. They spit out this ball.
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フクロウの羽は動かしてもほとんど全く音がしません。とても滑らかで柔らかい肌触りです。
The owl wind is very quiet. It hardly makes any noise at all when moved. It felt so nice and soft.
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羽の裏側。
The back of the wing.
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これはワシが吐き出した残り物。
This is the eagle's pallet.
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次は植物。特に植生の種類が豊富な場所に移動します。
Then we learnt about plants. We moved to the spot where there are most variety of plants.
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こういう木は後から入ってきたものです。
Trees like these came in later.
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湿地帯に生えている10種類の植物のサンプルを特別に採取して、木のテーブルに並べます。
There are samples of 10 different kinds of plants on the wooden bench. It is usually not allowed to pick anything here. This time it is special.
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コケには雄と雌があるのだそうです。知らなかった。。。いや、そういえばはるか昔に学校でそんなことを聞いたかもしれないような記憶があるような、ないような。。。忘れっぽい身には、学び続けることは大事です。
So, there are male and females in moss. I may have heard that at school, but I had forgotten it completely. It is important to keep leaning to keep up with my forgetting.
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グループの人が一人一種類ずつサンプルを持って、それぞれの植物の特徴を身振りで表します。何と言っても今回のワークショップの目的は先生たちが環境教育をするときの助けにするということなので、こういうエクササイズが随所に見られました。私にあてがわれたのはラブラドール・ティーという木の葉っぱ。これはとても香りが良くて、ハーブティーとして使われます。まろやかでおいしいお茶です。
Each member of the group held a plant and did the imitation of that plant. Since this is the workshop for the teachers, they taught us lots of hints for learning exercise like this. I held Labrador Tea plant. It is very fragrant, and used as herbal tea. I like is mild taste.
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ラブラドールティーの茂み。
Labrador Tea bush.
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一通り終わってからは、小学校の先生と中学校の先生に分かれて教え方のヒントを学びました。部外者の私はどうしたらいいのだろうと思いましたが、小学生のグループに混ぜてもらいました。これは植物の進化に合わせてサンプルを並べるというもの。恐竜のおもちゃを置く場所はどこが正しいでしょう。
I joined the elementary school teachers' group when they taught us learning hints. This one is an exercise to arrange the plants in the order of evolution. Now, where is the right place to put the dinasour?
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正解はこちら。
And here is the right answer.
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この湿地帯での授業はとても人気があるので、今では予約が必要になったほどです。今回のワークショップを見ただけでも、そうだろうなと思いました。生物学を学んでいる中学生が湿地帯について学び、自分たちで資料を作って小学生に教えるという授業もあるそうです。これは表紙だけですが、絵や図をたくさん使った、とてもよくできた資料がたくさんありました。
It is very popular to have an outdoor environmental class at this bog, and now it is necessary to make appointment for it. I understand it now after seeing this workshop. Sometimes secondary school students who are studying biology do research about the bog and teach elementary school children, too. This is the front page of the material made by such students.
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次に子供たちに自然を「個人的に自分にとって大切なもの」と感じさせるためのエクササイズが行われました。全員が内側を向いて詰めて立って円陣を作り、レンジャーのお姉さんがそれぞれの人に石ころを渡します。石を見ないで触るだけで、「これが自分の石」というのを覚えます。それから右隣の人に順繰りに渡していって、途中で落っことしたり滞ったりしながらも渡し続け、全員自分の石が手元に戻ってきたら初めてそれを眺めます。たったこれだけなのですが、「こんな姿をしていたのね」というささやかな愛情が芽生えるから不思議です。この作業は、自分のペット・ロック(石ころ、岩)として石を絵に描いたり詩に書いたり、あるいはストレス発散のために握り締めたりして、子供と自然が親密になるきっかけになるそうです。
Next we did an exercise for feeling nature as our personal treasure. Everyone stood in a tight circle looking inside. We held our hands on the back. The ranger then walked around, putting a stone each in our hand. We felt our own stone without seeing it. Then we passed it along to the person next to us, and kept doing so until we each got our stone back. It sounds simple, but sometimes we drop the stones, and sometimes there is a 'traffic jam'. Stones don't necessarily get passed around in the original order. When everyone finally got their original stone, we each looked at our beloved stone for the first time. Amazing how easily we can develop affection by such simple connection. Children can use their own stone as stress release stone, paint it, write poetry, etc. It is a great way to make connection with nature.
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これは湿地帯の一部をミニチュアの湿地に見立て、保護のためにはどうしたらいいかを学ぶというもの。正直言って、よく分かりませんでした。湿地にもともと生えていた植物と外来種との戦いを表すゲームもありました。
I didn't really understand this exercise, but I think one has to be a child to really appreciate it. We chose a spot on the ground and marked it with a string. Then we pretended that it is a very special spot with lots of environmentally sensitive features. We marked such features with pepsicle sticks. There was also a game that depicts the battle between the original bog plants and the invasive plants.
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by ammolitering7 | 2013-01-24 13:08 | 「ユースマニュアル」

2012年8月 フォールスクリーク

カモメの若者。灰色です。
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若僧ばかりたむろしていますね。カモメの幼稚園、いや、中学校というところでしょうか。
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こちらは年齢層がやや高めで、大人ばかり集まってるようです。今日はときどきこちらでご紹介するフォールスクリークを通って帰ったのです。これも人工の池と人工の森です。
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海辺に沿って遊歩道が続いています。
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犬を放して遊ばせるための公園もあります。
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とても素敵なところなのですが、問題もあります。ご覧のように、自転車と歩行者の区別がなされていないのです。
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ところどころ、こんなふうに分かれている場所もあります。でも、歩行者の部分を自転車が通ったり、逆だったりしていることも珍しくありません。
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一応、自転車の速度は15キロまでと定められています。これは駆け足程度の速度ですが、ギュンギュンとスピードを出していく人も多いです。
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隣接するグランビルアイランドの中では、子供たちの遊び場も多いので自転車は押して歩けと書いてありますが、、、
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あいにく、もちろん平気で無視されています。
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絶対そのうち人身事故が起こると思います。悲しいことに、バンクーバーの自転車マナーは近年どんどん悪くなっています。その大きな原因には、残念ながら私の観察では自転車に乗るアジア人が増えたことがあります。本国では歩道で自転車に乗る習慣がある人たちが、カナダに来て同じことをしているのです。カナダでは歩道で自転車に乗るのは禁止されているし、自転車は車道を右側通行するという規則があるのですが、多くのアジア人たちがこれを全部無視して歩道で左側や右側など適当に通行しているのです。それを真似して普通のカナダ人(に見える人々)で同じことをするケースも増えてきています。先日などは躾の悪い中国系の若者たちが歩道で自転車レースをやっていて、後ろからやってくるのでひどく危ない思いをしました。

安心して歩道を歩けるのがカナダのいいところ、と思っていた時代は残念ながら過ぎてしまいました。もちろん、自転車で車道を行くのは自転車に乗る人にとってとても危険なものです。私もそれで自転車に乗るのをやめたのでそれは分かるのですが、のんびりふらふらと歩くことさえできない町は私は嫌だと思うのです。
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グランビルアイランド内には車の通行も許されていますが、ここでは意図的にすべての標識が排除されています。信号もありません。これは、スピード制限とか一旦停止とかいろんな指示をあえてしないことによって、運転者の自発的な意識を促す、という理由によるものです。1970年代に開業して以来、救急車の出動が必要になるほどの事故は起こっていないとのことです。自転車と歩行者の場合とはかなり様相が違います。
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by ammolitering7 | 2013-01-23 04:25 | フォールスクリーク

2010年12月ロブソン広場

ダウンタウンの中心地にあるロブソン広場に行きました。いつものイギリス人の建築家スタンレー・キングさんがコンセプト作りに関わった広場です。ここには無料のスケート場があって、冬はいつでも開いていたのですが、どういうわけかもう十年以上も閉鎖されたままになっていました。でも、オリンピックを期に再開されたのです。
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緑、赤、黄色、、紫と光の色が変わります。楽しそうですね。私はスケートは全然駄目なのです。いや、どれか一つでもまともにできるスポーツがあるでしょうか。。。
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音楽はライブです。やっぱりライブはいいですね。
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by ammolitering7 | 2013-01-23 04:23 | ロブソン広場

2012年7月フォールスクリーク

入り江のところへ散歩に行きました。カナダ雁が並んで泳いでいます。泳ぐ、でいいのかな?
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これは結構大きな鳥なのです。その昔、何を考えたかカナダの政府はこれを何羽か捕まえてイギリスにプレゼントしました。その後数を増やした彼らは、そこらじゅうに糞を撒き散らすので非常に迷惑がられ、イギリス人は「全部とっつかまえてカナダに返せ」と怒っているそうです。
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この時期、たくさんいるのです。カナダ政府がイギリスに捨てたくなった気持ちも分かります。渡り鳥なので秋になるとどこへやら去っていきますが、なぜか渡りながらとても哀愁のこもった声で鳴くので、「ああ、またもや冬がやってくるんだな」という絶望的な気分がいやおうもなく盛り上がります。
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野ばらには大きなローズヒップが実り始めました。
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食べられない白い実。
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こちらは食べられます。サラルベリーというベリーで、昔は原住民の人たちの大切な食糧でした。ペクチン分が多いので、簡単にジャムになります。多少タネが粒々してますが、まあまあおいしいです。
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これは一応ワイルドストロベリーなのですが、花はたくさん咲くのですが、まともに実が成ってるのをほとんど見たことがありません。 たまに成っててもとても小さく、色も薄いのです。オンタリオの田舎のほうでは真っ赤で大きいのがたくさん成るそうなので、一度山ほど収穫したいものだと夢見ています。
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花スグリの実が成ってました。食べられないこともありませんが、わざわざ食べるほどの味でもありません。ストロベリーと同じで、花は華やかに盛大に咲くのに、実はちょろちょろとしか成らないのです。しかもあんまりおいしくない。これでどうやってサバイバルしてきたのか、じつに不思議です。
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こんないろんな野草がどこにあったのかといえば、こちらです。入り江に人工の小島が作ってあるのです。
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引き潮だったので、小道ができていました。
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都会の真ん中とは思えない光景ですね。
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しかし、よく見るとやっぱり高層ビルがありました。
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ここはフォールスクリークという入り江ですが、新しく開発された地域にはすべて地元の野生の植生を再現してあります。農薬も必要なく元気に育つし、何よりも人工そのものの都会の雰囲気を自然に和ませてくれます。この辺りは、昔は全域が工業地帯でした。戦後になって製造業が衰退してからは木の一本もない汚染された荒地になりましたが、地域住民の努力によって見事に再生しています。一から作られた森さえあるのです。
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by ammolitering7 | 2013-01-23 04:20 | フォールスクリーク

2012年8月ワークショップ

今日はバンクーバー市の主催で行われた都市計画に関するワークショップに参加してきました。緑の少ない住宅地に畑などのグリーンスペースを作ろう、という案があって、候補地だけは決まっているのですが、今はまだ他のことは全然決まっていません。開発計画の一番最初の段階なのです。このワークショップは、これから行われる予定の開発計画に市民の声を取り入れようという試みです。
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ご覧のように、候補地は全くの住宅地の真ん中です。道路の一部を潰して緑地にしよう、という計画なのです。
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今回の予定地は4ヶ所あります。
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ワークショップは予定地の一つである道路を封鎖して行われました。特別イベント、と書いてあります。
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テントが出てますね。2時に開始の予定に少し遅れて行ったのですが、なかなか始まりませんでした。ここではカナダ時間で物事が進行するのだということを忘れていました。。。
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いつ始まるのだろうかと思っていたら、なんとなくいつの間にか始まっていました。いつもだったら一応市長さんの挨拶とか開発業者の紹介とか、多少は形式ばったことがあるのですが、全く何もありませんでした。ややうるさい音楽が始まっていたのが開始の合図だったのかもしれません。

こちらはスタンレー・キングさん。イギリス出身の建築家です。市民参加型の都市計画という分野でこのワークショップの手法を開発した方です。キングさんの方法はCo-Design(一緒にデザインする)と呼ばれ、北米やイギリスを初めとする英語圏で高い評価を得ています。でも、日本ではまだ全然知られていないので、私は今この方の著作を翻訳しているところなのです。この方法はいろんな面でとても効果的なので、できるだけ多くの人に知ってもらいたいと思っています。

どこがそんなに効果的なのかと言えば、たくさんあるのですが、一つにはお金の問題があります。広く市民の声を集めてから開発をすることで、反対運動が起こる可能性はゼロに近くなります。そのため、極端な例では座り込みなどの問題が起きてから解決するとか、デザインを一からやり直す、建築の途上でやり直す、という恐れがなくなるのです。こういうのはものすごくお金と時間の無駄になります。それに、市民が反対運動を起こしてしまったら、それに関わった建築家にはプロとしての未来が難しいことになります。精神的なダメージも大きいのです。ワークショップをすることで、そういうコストを未然に防ぐことができます。

計画に市民が参加していると、器物破壊の問題も減ります。それをするのは大抵はエネルギーを持て余した若者たちですが、ワークショップには大勢の若者たちが関わりますし、多少とも自分や友達が関わったものにはたいていは危害を与えないものです。それに、子供たちや若者たちにとっては、社会の未来に関わったことで責任感のある市民になる心構えも育つし、長い目で見れば郷土での愛着も湧きます。ほかにもいろんな利点があるのです。

キングさんが持っているのは、ワークショップのルールを書いたポスターです。
1、「私たちは」ではなく、「私は」と言う。例えば、妻や子の意見を聞きもせずに夫が「うちの家族はこう思います」と言ったりしていることがあるのです。そういうふうに言うことで、自分ひとりの意見じゃない、自分の意見には何人分もの重みがあるんだ、と印象づけようとする人は少なくありません。
2、解決策を見出そうとしない。あるアイディアと、それがもたらす結果だけに焦点を当てる。
3、他人の出したアイディアに対して批判を加えない。制約や問題点は後からゆっくり考察すればいいのであって、まずは各人が自分の個人的な希望を自由に出すことが大事なのです。
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テントがいくつか用意されています。ワークショップにはいくつかの段階があり、それぞれの段階ごとに別のテントがあるのです。
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人だかりがしていますね。私たちが来た頃にはボランティアらしき人たち以外はほとんど誰もいなかったのですが、だんだん集まってきました。通りがかりの人たちも飛び入りで参加しています。
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人々が集まっていたのはこちら、「開発予定地での一日」という表です。理想の場所が完成したら、自分はそこで何をしていたいか、ということを人々が自由に書き込んでいくのです。アイディアはだいたいの時間帯に合った位置に書き込みます。
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カナダには英語の分からない人も多いので、今回は現地に隣接する公民館で英語を勉強している中国人移民のグループが通訳つきで参加しました。アイディアも中国語で書かれています。日本人の参加者もいたので、英語と日本語で書かれたアイディアもあります。
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絵で描いたアイディアもあります。今回のワークショップの対象者は9歳以上ということでしたが、実際には通りかかった幼児も楽しく参加していました。
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公園で遊ぶ、車で、だそうです。おもちゃの車で遊ぶのか、それとも公園の横に車があるのか、それは本人に聞かねば分からない謎です。
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こうしていくつかアイディアが出されると、テーマ別に大きく分けて、人々もいくつかのグループに分かれます。今日はかなり適当に分かれてましたが、いつもはすべてがもう少しは厳密に進みます。それぞれのグループごとにアーティストがついて、人々が出すアイディアを絵に描いていきます。
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アーティストが描き、書記が人々のコメントを細かく書きとめます。絵を描いていると意見を聞き漏らしたりするので、書記の人が「この人のこのアイディアも描いてください」と促したりするのです。
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だんだんできてきました。
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できあがり~!人々にデザインの細かいところを聞いたりしながら、アーティストがどんどん目の前でアイディアを絵にしていきます。自分のアイディアをこうして目に見える形にしてもらうと、かなり感動します。
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キングさんは一応既に引退しているはずなのですが、なぜか多忙なお年寄りです。ワークショップでは後継者の育成に力を入れているので若いアーティストもたくさん育っていますが、キングさんも楽しく現場で活躍していらっしゃいました。建築を志す若者にとっては、こういう経験はかけがえのないものだと思います。
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デザイン画ができたら、アイディアの要素を文字で表してリストにし、参加者がみんなでそれを3段階で評価します。「すばらしい、ぜひ作ろう!」、「う~ん、もうちょっと工夫したほうがいいみたい」、「これはここではちょっとねえ」の3つです。

ワークショップの過程はこれで終わりですが、こうして出来上がったデザイン画はこの後で地域の人が集まる場所を巡回し、もっと多くの人に見てもらって評価をしてもらいます。数字の評価だけでは表せないコメントも併せて集めます。そうやって多数の市民の目に触れることで、市民のだいたいの意向が明らかになっていきます。その後、行政の担当者やプロの人たちが、予算その他の様々な実際的な制約と照らし合わせて市民のアイディアを検討します。それからプロの手になるデザインが作られ、さらにそれが市民の目に見える場所でしばらくの間展示され、最終的な意見が集められます。実際に建築が始まるのは、これだけの過程を経たのちのことなのです。ワークショップには手間と予算がかかりますが、最良の治療は予防だ、というのと同じようなものなのだろうと思います。この手法は既にカナダなど各地で繰り返し実践され、効果が証明されています。小さいのは小学校の中庭みたいなのから、大きいのは町を丸ごと移転して作りなおすというのまで、多数の事例があります。これが日本にも広まっていくといいなと私は思っています。
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会場にはちょっとした軽食や飲み物の用意もあります。こういうのは全部ボランティアの人たちが用意します。(費用はワークショップの主催者持ちです。)このワークショップには多数のボランティアが関わっているのです。ワークショップには必ず何らかの軽食が用意されるのですが、これは一緒に飲み食いをするという行為が共同体としての人間にとって根幹的なものだからです。予算が余っているから軽食でも、というわけではありません。ワークショップの根本的な目的は、市民参加を促してみんなで一緒に地域社会を築いていく、ということにあります。小さなことですが、この場でのちょっとした飲食はとても有効なのです。
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おまけ。公民館にかわいい絵がありました。子供の絵って、いつも風景の全体が入っているなと思います。私もそういうふうに描けたらいいなと思うのです。
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およそ100年前に建てられたこの建物は、かつては郵便局として使われていました。こういう優雅な建物で働いていたら、自然と立ち居振る舞いも優雅になるような気がします。100年経って私たちの周りの建築の様式はずいぶん様変わりしました。
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by ammolitering7 | 2013-01-23 04:19 | ワークショップ

2011年7月ワークショップ4

さて、できあがった作品を見てみることにしましょう。全部で20枚くらいあったような気がしますが、一部だけ写真を撮ることができました。これらのデザイン画は、今後さらにもっと多くの市民による評価を受け、それからプロの都市計画者やデザイナーたちによって検討されます。そして、最終的にはガイドラインとなって今後の都市計画に反映されることになります。
Now, let's take a look at some of the finished drawings. I think there were 20 or so of them all together. These drawing will be later rated by more citizens, then will be thought upon by the city planners and designers. At the end, they will work as a guideline for the future development.

これは、、、5歳くらいの男の子が手伝ってくれたのだそうです。
A little boy helped with this picture: )
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スーザンさんのお姉さん(妹?)もアーティストです。彼女のデザインの隅っこには(黄色いタクシーの横)ピンクのドレスを着た美しい女性が描かれていますが、これは私です。駅前にタクシー乗り場があったらいい、という私のアイディアを反映してくれたのですが、「美しく描くように」という注文にも答えてくれました。ジュディーさん、ありがとう。
Susan's sister, Judy, is also a co-design artist. Can you see a pretty lady in the corner beside the yellow taxi? That is me. She drew my image of a taxi station being at every station. I demanded that she draws me as a very beautiful girl. Thank you, Judy.
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これはジュディーさんがワークショップ前にウォームアップをしているところ。
Judy warming up before the workshop.
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新聞の自動販売機に座っているお兄さんをスケッチしているのです。
She is sketching a young man sitting on top of the newspaper box.
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向こう側のイラストを見ながら深く考えこんでいるお兄さん。
A young man in deep thought as he examines the drawing on the other side.
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バンクーバーにはほとんど列車のラインがありません。ひょろっと2本伸びてるだけです。これは「ここにこういう風に走る線路が欲しい」という希望です。
This is a map of train lines that people wish they existed. In Vancouver, the train system is rather sad. For a big city, there are only 2 and a half lines.
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コー・デザインのワークショップレポート、いかがでしたでしょうか。お知り合いの方にこのようなことに興味のある方がいらっしゃいましたら、どうぞ伝えてください。この手法はカナダでは非常に効果的であるとして定評があります。もっと詳しく知りたい場合は、私の過去記事を参照してください。ご質問があればできるだけお答えします。以下の資料はすべて英語ですが、ご興味があればご覧ください。
I hope you enjoyed the co-design workshop report. There are several other related posts on my blog somewhere. Please feel free to ask me questions if you have any, but I do not accept English comment here due to excessive spam. Please write me: leafyone55*gmail.com (change* to @)
サステイナビリティー・テレビジョンSustainability Television
キングさんの若者向けのマニュアルYouth Manual
キングさんの他のワークショップの様子Other workshops by Stanley King
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by ammolitering7 | 2013-01-23 04:19 | ワークショップ