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リバービューワークショップ3

さて、本日もまたはるばるワークショップへ出かけてまいりました。最初はこんな陰鬱なお天気だったのですが。。。
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着くころには晴れてきました。しかし、ちゃんと住所を調べて行ったのに、ここではないようなのです。
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おかしいなあ、こっちかな?
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さらに次に行った建物も違うし、困ったなと思って尋ねたら、目指す会場はこの奥にあったのでした。本日のワークショップは、いくつもの大きな建物が点在するだだっ広い複合施設の一角で行われたのです。まさかそういうこととは思わなかったので、すっかり迷ってしまいました。
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会場発見!
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椅子やパネルなど、もうすっかり準備されていました。遅れてしまってすみません。
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前回のワークショップでできた絵も展示されています。
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見てみたら、評価表のところに「安全性についてはどうなんだ!!!(ホームレスの?)子供のためのシェルター(以下不明)」と書き込んでいる人がいました。どうしても感情的になる人はいるものです。
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軽食の準備もできています。
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ワークショップが始まるまで何となく手持ち無沙汰に待っていると、この前のときにイラストを描いたアーティストが「僕はこの熊が気に入らない」と言って自分の描いた絵に修正を加え始めました。この二日間は気になって寝られなかったものと見えます。耳と鼻にちょっと手を加えた様子がこちらですが、熊だと言えば十分に熊に見えますよ、Pさん。動物を描けと言われるのは苦手だ、という人は多いようです。建築家というのはたいていが人間用の建物をデザインするもので、熊の別荘が得意です、という人はあんまりいないと思うのです。
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10時に始まるはずなのに、早10時半。やっぱり迷っている人が多かったようで、最初はあんまり人の集まりがよくありませんでした。結局、10時半ぴったりにキングさんが開会の挨拶を始めました。
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最初は40人くらいで始まりました。スタッフとボランティアのほうが多いんじゃないか、と思うほどでした。前回と同じ顔ぶれも何人かありました。でも、ほんとはワークショップの参加は一人一回という決まりになっています。他の人たちにも発言の機会を与えるためです。そうは言っても、「あなた、この前も来たでしょう、帰ってください」と言われることはありません。
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参加者は手を挙げて、当てられるのを待ってから発言します。でも、やっぱり司会者一人では気づかないこともあるので、ボランティアが見張っていて「ここ、ここ、この人に当ててください、次はそっちにも」と指図をします。
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参加者の発言は記録係がすべて記録して、内容ごとに分類します。この後のグループ描画のテーマにするのです。
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描画のときは、やっぱりこの前と同じように興味関心に大きな幅がありました。一人のアーティスト(一つのテーマ)に大勢が群がるかと思えば、、、
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こんなふうに個人セッションになったりしました。私の担当はここで、お客さんが最初はゼロだったので他から4人引っ張ってきて、それが二人ずつに別れ、さらに一人が離脱してこうなりました。分かれていった二人というのは、意見が強くて独占的に振舞っていた女性と、なんとなくそれについていった気の弱そうなおじさんです。女性のほうは前回のワークショップにも来ていて、やっぱり独占的で他の人たちを黙らせていた人でした。残る二人が一人になったのは、それぞれの関心事に大きな違いがあったため、テーマを分ける必要があったからです。
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おじいさんの絵ができました!彼は昔からこのあたりに住んでいた人で、精神病院に家族や友人がお世話になったわけではありませんが、地域にとって欠かせない大きな要素としての精神病院に長らく親しんできた住人です。高齢でありながら、何年という長い時間のかかる都市計画に積極的に関わろうという姿勢はとても前向きで素晴らしいものだと思います。

政策が変わる前に精神病院が地域と密接して活発な活動をしていた頃を知っているので、彼は昔実際に行われていて良かったことをアイディアとして出していました。敷地のすぐ横を通っている鉄道が停車駅を持っていたり、そこから病院で作られた作物が出荷されたりしていたことなどです。でも、懐古趣味ばかりでもなく、新しい病院設備や医療活動なども提案していました。

ワークショップの参加者は精神病患者の家族や親戚などの関係者も多かったのですが、こうして単に近くに住んでいるだけの人もたくさんいました。これもまた、地域の受容性を示す大事な点だと思います。どこでも同じだと思いますが、火葬場やゴミの処理場、ネガティブな印象のある施設などは、近くに建てられるとなると住民が大反対する、というのがよくあるパターンです。精神病院も例外ではありません。でも、ここでは少なくともワークショップにわざわざ参加しようという人たちの反応を見る限り、昔からあったこの大きな施設を精神病院のままで維持したい、という意見が大勢を占めています。

バンクーバー地域では人口の集中が進んで住宅の不足が大きな問題になっています。主催者の一つである住宅省としてはこの広大な土地に大きな集合住宅をできるだけたくさん建てたいようなのです。この場所の開発計画が持ち上がったとき、一番最初に行われたのが住宅省による市民に対する提案会でした。このときに精神病院を全く無視した提案がなされたために住民たちが頭にきて、事がこじれてしまったのでCo-Designが助け舟として呼ばれた、というわけなのです。

前回のワークショップのあとでさえ、ある参加者は「やっぱり私はまだ疑ってる。あの人たちは私たちの意見を本当に聞こうとはしていない」という感想を述べていました。これは本当に残念なことだと思います。Co-Designの人たちは本当に心から住民の声を汲み取ろうとしているのですが、実際に開発を行う業者や行政がせっかくのワークショップの結果を全く無視することだってないわけではありません。そうなると住民の信頼は完全に失われるし、ダメージが大きいのです。たくさんの利害団体が関わると難しいことが多いものだなと思います。
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できあがった絵の中では、おじいさんは医療研究者になっています。かっこいいですね。自分の意見をアーティストにしっかりと受け止めてもらったおじいさんは、「これはとても良いセッションだ」と満足した感想を述べてくださいました。できあがった絵は、この後インターネット上で市民評価を受けるほか、市内各地のショッピングセンターなどの人の集まるところで展示して、さらに多くの人に見てもらって評価を集めます。

この時点ではアイディアは予算も技術的な制約も何も考えていないものなので、実際に実現できるものばかりとは限りません。それでも、市民評価を経ることで開発のためのガイドラインができるし、将来的な開発のためのガイドラインとしても利用されることになります。
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今回もまたたくさんの絵ができました。私もこの絵を描けるようになりたいな、と思います。心に思い描くものを言葉の助けを借りて紙の上に表す、というこの作業は、人生のいろんな面で大切なスキルではないかと思うのです。Co-Designの技法をまとめた本は既に絶版になって久しいのですが、40年を経て今なお全く色あせず、建築学の古典として古本の値段が上がり続けています。今200ドルくらいです。今回はこの本の主たる著者であるスタンレー・キングさんの他に共著者の皆さんがたにもお会いしてご一緒に働くことができました。

40年前、若き建築家や学生としてスタンレーさんに師事していた彼らも、それぞれの町で経験を重ねながら老齢を迎えています。お一人の方は、スタンレーさんの「別荘」でみんなでタイプライターで書いては話し合った当時のことを、人生で一番幸せな時間の一つだった、と振り返っていらっしゃいました。(なお、「別荘」というのは森の中にある単なる隙間のことで、とても建物とは呼べないような掘っ立て小屋(壁もない、水道も電気もトイレもない)があります。)

私はこの方たちにお会いできてほんとに幸運だったと思います。まったくの部外者なのに受け入れてくださり、著書を翻訳する栄誉もいただきました。残念ながらまだ出版には至っていないのですが、本当に大切な内容だと思うので、少しずつでも広まっていくといいなと思っています。興味のありそうな方に伝えていただければ嬉しいです。

なお、この後は利害団体の一つである原住民団体の人たち限定のワークショップが行われますが、これはボランティアも含めて参加できる人が極めて限られるため、私も入れてもらえません。原住民の意見は大きな力があるので、どんなことになるのか興味があります。これからもまだまだいくつもの段階を経てようやく再開発が実現するわけですが、一般市民の声が反映されたものになるといいなと思います。私は多数決の民主主義が一番いいものだと思っているわけでもなく、実を言うと民主主義というのは往々にして衆愚主義と紙一重だとおもっているのではありますけれど、こと地域開発に関してはできるだけしっかりと一人ひとりに意見を聞いて、その上で住民たち自身が決めるのがいいと思うのです。
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by ammolitering7 | 2014-09-28 14:14 | ワークショップ

リバービューワークショップ2

こちらが異様に忙しいご隠居、スタンレー・キングさんです。
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会場には必ず軽食が用意されます。腹が減っては戦ができぬ、というのもありますが、同じ釜の飯を食いつついがみ合うこともしづらい、という心理を利用したものでもあります。
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席が半分くらい埋まったところでワークショップが始まりました。時刻は4時半くらいです。
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テレビカメラも入っています。なお、登録した参加者は撮影と肖像使用に関する同意書に署名しますが、それは嫌だ、という場合でも参加は可能です。その場合は「撮影お断り」と書いた印を胸元につけておきます。
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マイクを持って意見を述べる参加者。一人で何度でも手を挙げてマイクを離さない人もいるので大変です。
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参加者が発言したアイディアを紙に書いていきます。
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最後にはこんなにぎっしりになりました。
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アイディアをその性質に応じて分類して、こんなふうにタイトルにします。今回はアーティストの人数に合わせて8つのテーマに分けました。参加者はその中から自分が一番興味のあるテーマを選んでグループを作ります。私は「レクレーション」というテーマを掲げるグループの書記になりました。普通はレクレーションというテーマに集う人はけっこうたくさんいるのですが。。。
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なんと、今回はたったの一人でした。
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他のグループは10人くらいいたりするので、今回の参加者は病院の敷地を単なる公園以上のものとして活用する意志が強いということでしょう。特に大勢集まっていたのは病院施設の存続を前提としたテーマのものと、コミュニティー活動に関するものでした。
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人懐っこいおじいさんが「私はサイクリングをしていて、その辺にいる人たちに手を振ってて、子供たちとも仲良くなって、、、」などと語る様子を絵にしました。
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最後にこういうマーカーを使って、、、
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色を塗ります。最初に私がかなり適当にちょっと塗って、「ご一緒にいかがですか?」と声をかけます。おじいさんは嬉しそうに「それじゃあ」と言っていそいそと一緒に塗ってくれました。あとはもう、ほったらかしても大丈夫です。「こんなに楽しいのは久しぶりだ」と言いながら、にこにこして熱心に塗って、、、
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できあがり!楽しいこんな様子が実現するといいですね。
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そうこうするうちに、次のお客様がいらっしゃいました。実は、この方は他のグループにいらしたのですが、あまりに意見が強くて他の人たちを黙らせてしまうので、体よく追い出されてしまったのです。ワークショップには必ず一人監視係がいて、こういうことが起こってないかを巡回して見張っています。困った人がいると、「あなたには特別に専任のアーティストをつけてあげましょう」と言って引き離します。そのためにアーティストとしてのスキルのある予備のスタッフを用意しておくのですが、今日はテーマが多くて人数も多くてアーティストが全員手がふさがっていたので、閑古鳥の鳴いていた私たちのグループに白羽の矢が立ったわけです。

彼女はペットに関して並々ならぬ情熱があり、意見もペットに関するものばかりでした。今回のワークショップで意見を述べるのをものすごく楽しみにしていたので、あらかじめ20ページ以上ものレポートを作成し、手書きのアイディアノートも添えて持参していらっしゃいました。それをアーティストに突きつけてここぞとばかりに独占的に振舞うので、グループでの話し合いはできません。彼女は実は密かにペットの猫を隠し持ってきていました。猫も気の毒なことです。彼女は猫がいたばかりに部屋を借りることができず、夏の間の数ヶ月はホームレスだったそうです。コンクリートの建物の裏で寝泊りしていた、と言いました。今もあまり状況が良くないのか、あまり清潔を保てていないような匂いもします。

最初のうちはとにかく威張って自分の意見を無礼なまでに押し付けるだけでしたが、アーティストが辛抱強く話を聞いて彼女の意見を絵にし、私も彼女の意見を紙に書き取って要所要所で同意したりしているうちに、やっと誰かに話を聞いてもらえた、という実感がでてきたのか、だいぶ落ち着いて笑顔さえ出るようになってきました。ワークショップが終わってからは私のところにやってきて、「次のときも来るのか」とおっしゃいました。土曜日にも別の場所で同じワークショップを開く予定があるのです。「来ます」と言うと、「良かった、それなら私もまた来る、まだまだ伝え足りないことがある」とおっしゃいました。

正直なところ、私は「参ったなあ」と思ってしまったのです。でも、考えてみればこれはとても特別なことかもしれません。孤独で、おそらくは何らかの精神的な病気を抱え、多分に自業自得とはいえ自分の声を誰にもまともに受け入れてもらえなかった老いたる人が、「やっと誰かに聞いてもらえた、またこの人に聞いてほしい」と強く思っているのです。毎日彼女と顔を合わせることになるわけでもありません。今度の土曜日のほんの30分ほどの時間が彼女にとってとても大きな意味を持つのなら、私はやはり喜んでそのお手伝いをしようと思います。
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最後は出来上がったたくさんのイラストを展示します。
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他にもたくさんありますが、これくらいにしておきましょう。
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参加者がイラストとリストを見て評価をします。こうしてできたイラストは、今後地域のいろんなところを巡回してもっとたくさんの人に見てもらいます。今回はオンラインでもリアルタイムでアップしているそうです。Co=Designの手法はきわめて有効であることが実証されていて、後継者の育成も積極的に行われています。若い参加者たちはハイテクなので、ワークショップもだんだんハイテクになってきています。

なお、理想としてはこのワークショップは開発の一番早い段階で行われるのが最も有効です。開催には多少の費用がかかりますが、これによって住民の意見の傾向が分かれば計画を早い段階で調整できますし、場合によっては中止ということもあります。最悪なのは工事を始めてから座り込みなどが起こることで、そうなったら金銭面だけでは計れない大きなダメージが出ることになります。

今回も、原住民との交渉次第ではこうした努力が水泡に帰す可能性もあります。それでも、できるだけ早い段階で住民参加を促すことは長期的にも得策です。原住民はまた全く利害の異なるグループなので、来月には原住民だけを対象としたワークショップが予定されています。スタンレーさん、今日はボランティアのお招きありがとうございました。土曜日のワークショップも楽しみにしています。
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by ammolitering7 | 2014-09-28 14:01 | ワークショップ

リバービューワークショップ1

今日はけっこうたくさん雨が降っていましたが、そんな中をはるばる遠くまで出かけていきました。
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鉄道の建設工事が進んでいるコキットラムという郊外の町に行ったのです。バンクーバーにはあんまりたくさん鉄道がないので、増えると便利になっていいです。
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コキットラムのどこに行ったのかと言えばこちら、ダグラスカレッジという学校です。
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構内を歩き回ったわけではないのでよく分からないのですが、幾つもあるらしい建物の一つであるこちらの、、、
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中央ロビーのようなところが目的地です。さて、ここで、、、
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100人分ほどの椅子を並べるのが私の最初の仕事です。そう、何でもやって稼ぐのがポリシーの私は、今日は都市計画ワークショップの書記兼雑用係という仕事をしにやってきたのでした。
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ワークショップのテーマはこちら、半ば放棄された形になって久しい精神病院です。本来ならワークショップは現地の視察を含み、ワークショップそのものも現地がその近くで行われるのが普通なのですが、今回は安全性に問題があることから別会場で行われました。ワークショップの主催者は病院の所有者である州政府と住宅省、都市計画会社、および私がお手伝いしているCo-Designという組織です。

Co-Designというのはときどきこのブログにも出てくるイギリス人の建築家スタンレー・キングさんの非営利会社で、都市計画に関して市民の声をくみ上げることで開発を潤滑にすることを専門としています。今回の件では住民側と行政の対立に加えて原住民グループも積極的に利権を追及する姿勢を見せているため、助けてくれ~ということでCo-Designにお声がかかったのでした。大きな問題に対処するので、今回のワークショップには大御所のスタンレーさんに加えてCo-Designの百戦錬磨のベテランスタッフが大勢顔を揃えました。怒鳴り合いや殴り合いの大騒ぎになることもあるので90歳近いスタンレーさんは前線からは一応引退したはずなのですが、これだけ大きなプロジェクトとあってはやっぱりじっと黙って見ていることはできなかったのでしょう。

リバービューというこの病院は244エーカーという広大な敷地があります。エーカーで言われても分からん、と思って調べてみたら987 432.967 m2だそうですが、それでもやっぱり分かりません。要するにものすごく広いのです。この辺りは郊外で、1904年に病院ができたときには周囲に建物などもなく、早い話が町から遠く離れたところに精神病の患者を隔離して閉じ込めておいたわけです。あまりに隔絶していたので病院は自己完結している必要があり、敷地内に発電施設も作られました。農園も学校も郵便局もあったそうです。

病院ができてから90年くらいたった1990年代には、当時の政府の中に「精神病患者はもっと家庭的な環境で治療されるべきだ」という声が強まり、多くの患者がグループホームと呼ばれる小さな施設に移されました。それは別に良さそうな気もするのですが、実際には監視の目の行き届きにくい施設が住宅地の真ん中いたくさんできてしまったこと、スタッフの労働状況が悪くなって不規則な長時間労働が増えたことなど、いろいろ問題がありました。

そして何より、グループホームにも移れず、病院にも残れず、ただ単に道端に放り出された軽度の精神病患者が大量のホームレスとなり、行政にとってはホームレス対策で余計にお金と手間がかかる、という馬鹿げたことになってしまいました。冗談でしょう、と思うほどひどい政策ですが、本当なのです。

グループホームに入れられないほど重度の患者たちはそのまま病院に残され、その数は現在64名だそうです。ただ、今はそのうちの一人が脱走して行方不明になっているので、警察から警報が出されています。何というタイミング、と思います、ほんとに。でも、危険でワークショップが現地で開けない、というのは別にそれが原因ではなく、建物が老朽化していて安全性が確保されないためです。地震対策は全くできていないし、水漏れもしているし、コンクリート自体も風化してもろくなっているのです。
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人が住まなくなると建物は急速に生気を失うように見えます。
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なんとなく後味が悪くて嫌なのですが、この病院は閉鎖されてからホラー映画などの撮影に頻繁に利用されています。幽霊も出るそうなので、理想的かもしれませんけれど。
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病院のジオラマ。
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往時の精神病院。静かな森の中の壮麗な建物です。治療方法は古くて効果も薄かったかもしれませんが、こんな環境の中に患者を置くことそのものは悪くないのではないだろうかと思ったりします。
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会場にはこういうパネルが何十枚も用意されていました。行政が行う通常の公聴会では、こういう情報パネルがずらりと並んでいて市民がそれを見て意見書を書いて投書する、という形が多いようです。Co-Designが違っているのは、投書箱の代わりに生身の人間が話を聞いて、市民が心に描くものをその場で絵にしてくれることだと思います。
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会場の準備をします。話し合いのルールを書いた紙を張り出します。これはCo-designのワークショップのときのルールですが、どんな対話にでも当てはまることだと感じます。1、「私たち」ではなく「私」と言うこと。自分の意見はあくまで自分ひとりの意見であり、何人分もの価値があるように見せてはいけません。2、解決策を見出そうとしないこと。いろんな可能性を考慮する柔軟性があればこそ、最終的には最善の解決策も結果として生じるものと思います。3、他の人の意見を非難しないこと。その代わりに「自分はこれを望む」という別の意見を出すことで、考慮の枠が広がります。ワークショップでは人々が心に描いているものを紙の上に描き出しますが、「これをしている」は描けても「これをしていない」を描くことはできないのです。
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この大きな紙もワークショックを特徴付けるものです。弧を描いた線は一日の時間の流れを表していて、参加者は「理想的に出来上がった現地で、ある日あるとき、自分は何をしているか」というアイディアを出していきます。
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「秋祭り」など、一年一度だけのような特別な行事は「スペシャルイベント」として別に書き出します。
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人々が出したアイディアをこの紙に描いていきます。こういうパネルを用意するのも雑用係りの仕事です。
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アイディアをリストにして評価するための紙もあります。
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会場にはテレビも用意されていて、現地の事情を説明した短いビデオが繰り返し流れます。
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参加者の目となり手となるアーティストたちは実戦前の腕ごなしをしています。これは私の引越しの様子です。私が家や庭や門の様子を語り、アーティストがそれを描いていく、というものです。話を聞いて絵にするというのはなかなか難しいものです。
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ぼちぼち人が集まり始めました。熱心にパネルを読んでいます。今回登録した参加者は77名ですが、通りがかって参加した人もいたので、実際は100名前後というところでしょうか。このほかにも、招待されて参加した地元の偉い人たちなどもいました。
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by ammolitering7 | 2014-09-28 13:57 | ワークショップ